ひよっこ救命士の戯言

ひよっこ救命士の戯言

現場とテキストは必ずしも合致しない。現場に戻ってきて痛感しました。そこで、自分が出会った症例を客観的に見直すために、つらつらと書こうと思いました。質問受け付けます。ディスカッション出来れば尚歓迎です。アドバイスは更に歓迎です!

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70歳台の女性、具合が悪いとの内容でした。

~現着時~
傷病者は道路脇にうずくまり、近所の人たちに数人に支えられていました。見るとみなさん喪服、どうやら出動場所近くの公民館へお葬式に行く途中の様でした。

~接触~
遠目から見ても顔面蒼白、表情も胸を抑えてかなり苦しそうでした。冷汗も認められ、一見してACSを疑わせる様子でした。橈骨動脈は…触れる。緊張も強い。早期搬送を主眼とした活動方針になりました。

~車内収容~
先ずはACSに確証を持たすため、12誘導心電図を取りました。すると……異常なし??多少頻脈でしたが、sinusでした。
その他のバイタルは、BR20、HR105、BP 102/80、SpO2:95%、体温36℃
うーん、安定狭心症なのかな?でも、痛みは継続している様子。
既往症に高血圧と脳梗塞。
あれ、高血圧なの?
そうです、現在傷病者はショック状態といっていい状態でした。その他にも話を聞くと「背中が痛い」と「足が痺れてる(結構強め)」だそう。
解離かも!
すでに心臓血管外科のある病院へ搬送を開始していたので、病院到着直前で反対側の上肢で血圧が出ましたが、120/85位。優位な差は無いように思えました。

~病院到着~
すぐにエコーで胸部大動脈解離st A と仮診断が出されました。

~振り返り~
今回の症例では
①教科書どおりのショックバイタルでないこともある。ということ。
②必ずしも血圧の左右差がでるとは限らない、若しくは出ていても±20位のときもある。ということ。しかも、触診ではその差は判らないということ。
などが勉強になりました。
帰署後の振り返りで、脳梗塞既往から肺血栓塞栓症なども疑えたのではないかと思いましたが、af がないこと、呼吸苦やsatに異常がないことで否定できました。