「かのん、お昼食べに行こうっ!」
長い髪を下の方で2つに結わえた少女が私の方に向かって近付いてくる。友人の理緒だ。
「ん、いいよ。今日も学食?」
「うん、今日はね、夏限定のすいかうどん食べたいの!」
「…またすごいメニューだね。」
「これが以外と美味しいんだよー。というかみんなすごい微妙な顔するけどさ、すいかも野菜だからね?」
「まあそうだけどさ…」
…すいかが野菜だという原理でうどんの上に乗せられるなら、この学食冬には苺を乗せたうどんを販売し始めるのではないだろうか。
「よしっ、じゃあ私食券買ってくるからさ、席の確保は任せた!ついでにかのんのも買ってきちゃうけど、何が良い?」
「了解。じゃあ私はたらこスパゲティのハーフにしようかな。」
いつもの会話。メニューのところが変わったりはするけれど、理緒がたまにお弁当を持ってくる日以外の平日はほぼ毎日繰り返している。
「相変わらずかのんは少食だなぁ…ハーフってかなり小さいじゃん?足りる?」
「うん、あれで十分。」
そっかぁ、と言いながら理緒が食券売り場に向かっていく。それを見て私も席の確保に向かった。
「…むしろハーフでも多い…というか本当は要らないくらいなんだけどね…」
元々少し特殊な私は物を食べなくても生きていける。でも、周りに馴染むために少しで良いから食べなさい、と親代わりのあの人に言われているのだ。食べるとむしろ疲れるんだけど…でもまぁ、色々な食べ物の味を知るのは面白いし、同じ食材でも調理法によって大きく味が変わったりするから、その研究をするのは楽しくもあると思っているけど。…その点からすると「すいかうどん」、気になるな…理緒に一口貰おうかな。
なんてことを考えているうちに理緒が昼食を持ってこちらに来た。
「はーい、お待たせ!これ、かのんのたらこスパゲティね。」
「ありがと。あ、はいこれお金。」
理緒が買ってきてくれたスパゲティと引き換えに代金を渡す。
「はい、しかと受け取りました!」
「しかとって…また古い表現を…」
「んー?その辺はフィーリングだよ、フィーリング。それよりあれだよね、かのん記憶力良いよね。毎回正確に値段覚えてるし。」
「そうかな…ほら、毎回同じもの頼んでるし…」
「いやスパゲティでも種類によって若干値段違うからね?」
うちの学食のスパゲティは味が日替わりなのだ。確かに材料によって値段は若干上下する。
「まあ…昔から数字は得意だったし…それもあるのかな。」
「ああ確かにかのん理数得意だもんねぇ…文系の私から見たら尊敬だよ。」
「誰にでも得意不得意はあるものだよ。さ、ほら早く食べよう。」
「そうだね。じゃ、いただきます!」
「いただきます。」
そう言うと理緒はうどんの上に乗っているすいかを箸で崩し、うどんの汁と合間って半液体状になったそれをうどんに絡め始める。すいかの赤と汁の薄茶とうどんの白で丼の中はちょっとすごい…制作者と自分の感性が違いすぎて理解できない芸術品のようになっていた。
…やっぱり、貰うのは止めておこう。
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お久しぶりです、蒼空です。
月1更新目指しますとか言いつつ気付いたら11月終わりかけてて焦りました。
需要あるのか分かりませんが頑張って続けたいと思いますー!もし宜しければお付き合いくださいませ^^
