- ファイアーエムブレム 蒼炎の軌跡
- ¥7,980
- Amazon.co.jp
第7章 漆黒の魔手
森の木々 が、ザワザワと音をたて、
アイクは、グレイルの後を追いながら、
とても不安になっていました。
アイク 「 クソッ ほっとけるわけないだろ。
親父のヤツ 」
息を弾ませながら、必死に走っています。
月明かり の森の奥深く・・・
アイクの目の前には、
驚くべく光景が、繰り広げられていたのです
そこには、剣と斧を持った、2人の男の姿がありました。
ひとりは、斧を装備した、アイクの父親、グレイル。
そして、もう1人は、剣を装備した、あの漆黒の騎士です。
2人は、そこで、戦っているのです
グレイルは、斧を頭上に振り上げ、
漆黒の騎士に向かって、振り下ろそうとしましたが、
剣で受け止めた漆黒の騎士に、斧を弾かれ、
その場にひざまずいてしまいました。
それを見たアイクは、思わず、
アイク 「 おやじっ 」
と叫んでいました。
グレイルは、アイクを見ると、
とても険しい顔で言い返します。
グレイル 「 アイク 来るな 」
アイクは、ビクッとして、その場に立ち竦み、
ただ見守っていることしかできないのです。
すると、漆黒の騎士は、
自分の剣をグレイルに向かって放り投げ、
こう言ったのです。
漆黒の騎士 「 この剣を使われよ。」
グレイル 「 何のつもりだ 」
漆黒の騎士 「 貴殿との戦いを楽しみにしていた。
まともな武器で、全力を尽くしていただこう。
神騎将 ガウェイン殿。」
そして、もうひとつの剣を鞘から抜きました。
グレイルは、ニヤリと笑うと、
グレイル 「 昔、そんな名で呼ばれたこともあったな。
だが、とうの昔に、その名と剣を捨てた。
今の相棒は、これだ 」
グレイルは、漆黒の騎士が投げて、朽木に刺さった剣を抜き、
地面に向かって投げ返し、
自分の斧を頭上に掲げて、そう言いました。
漆黒の騎士 「 ・・・死ぬ気ですか 」
グレイル 「 その声、覚えているぞ。
たった十数年で、師であるこの俺を、
追い抜いたつもりか
フン、若僧
これでも、喰らうがいい」
グレイルは、漆黒の騎士めがけて、斧を振り下ろしますが・・・
やっぱり、3すくみの関係からも、
グレイルの分が悪かったのでしょうか
3、4回剣と斧を交えた後、漆黒の騎士の剣が、
グレイルの身体を深々と貫いたのです
漆黒の騎士 「 どういうことだ。
この手ごたえのなさは・・・いったい・・・」
漆黒の騎士は、そう呟きながら、
グレイルの身体から剣を抜きました。
グレイルは、ヨロヨロと、足をもつれさせながら、後退し、
「おやじっ」と駆けつけたアイクに支えられながら、
そのまま後ろ向きに、倒れてしまったのです
アイクは、グレイルの身体を支えながら、
必死に叫んでいました。
アイク 「 おやじッ
おやじッ
おやじーーーーーッ 」
アイクの悲痛な泣き叫ぶ声が、
森の中 で、響き渡り・・・
月の光 が、その様子を静かに見守っていました・・・