第1回 映画「マッチポイント」で見る認知の歪み
2005年公開映画「マッチポイント」
はじめまして、心理学を専攻している現役女子大生の「アサリ」です
もともと趣味だった映画鑑賞をブログにしたい、どうせなら大学で勉強している心理学も一緒に発信できたらいいなと思い、読んだら話のネタになるちょっとした心理学と映画のワンシーンを女性目線で紹介することにしました。(もちろん、男性の方も読んでいただける内容です!)
ぜひとも最後まで読んでいっていただけると幸いです。
自分語りはさておき、さっそく本題に行ってみましょう!
今回のテーマは「認知の歪み(以下 スキーマ)」です。映画「マッチポイント」のワンシーンをスキーマに絡めて見ていきたいと思います
恋愛に関するスキーマを取り扱うので、付き合っても考えすぎてしまう、中々うまくいかないという方はぜひ、自分がどんなスキーマを持っているか考えてみてください!
スキーマとはどんなものか、まずは簡単に説明していきます。
「スキーマ」とは、噛み砕いていうと、一人一人が持っている考え方のクセのようなもので、誰しもが持っている認知的な枠組みのことです。
例えば、こんな場面を想像してみてください。大好きな彼氏から中々LINEが返ってこない、、、こんな時にあなたはどう感じますか?
「今は勉強(部活やサークルや仕事etc…)で忙しいのかな?」と感じる人も居れば、
「LINEが返ってこないってことは自分のことが嫌いになったの?!」や、
「彼は干渉されるのが嫌いなのかもしれないから、私もクールでいなきゃ!連絡控よう!」と考える人も居るわけです。
これこそがスキーマです。(ちなみに後述2つのスキーマの例には名前がありますが、後程紹介します。)
今回の映画「マッチポイント」ではとあるキャラクターのスキーマを感じました。
以下であらすじを紹介するので、どのキャラクターにスキーマが見られたか考えてみてください。
最初に言っておくと、かなりのドロドロ映画です。
【あらすじ&登場人物】〈〈〈〈〈※ネタバレが含まれます〉〉〉〉〉
舞台はロンドン。田舎から出てきたクリスは裕福な暮らしに胸を躍らせ、テニスクラブのコーチに所属。そんな時にテニスの生徒、トムに出会います。トムは裕福な家庭の暮らしで、オペラや音楽に関心があるクリスと仲良くなりました。トムの妹クロエにも気に入られ、ますます関係を深めていきました。
クリスはトムがセッティングしたとある食事の席でトムの婚約者ノラに出会います。セクシーで美人なノラに一目で魅了されたクリスはノラに強い興味を持つようになります。その後、クリスとクロエは婚約し、クロエの計らいでクロエの父が経営するビジネス会社で勤務することになり、クロエの父にも気に入られ、クリスはとんとん拍子で出世していきました。
一方、トムの母親によく思われていないノラはトムの母親からオーディションに受からないことを侮辱され、激しく動揺し、そんなノラをクリスは追いかけ、その時の勢いで一時的に関係を持ってしまいます。
しばらくして、トムは母親からの圧力に負け、ノラとの婚約を解消し、別の女性と結婚します。ノラとの接点がなくなったクリスはどうしてもノラを忘れられず、居場所を探し当て、不倫関係に発展していきました。
二人はお互いにどんどん溺れていき、ノラは余裕のあるセクシーさがなくなり、逐一クリスの行動を追いかけたり、電話をして激しく攻め立てたりするようになってしまいました。そんな二人にターニングポイントが訪れます。
なんとクリスとノラの間に子供が出来てしまいました。ノラは当然、早くクロエと別れるようにヒステリックになりますが、クリスは自分がもっている財産や地位を簡単に手放すことが出来ないと言って、うやむやにします。そしてあることを計画しました、、、(結末が気になる方はぜひ見てみてください。特にドロドロ好きの方)
皆さんはどのキャラクターだと思いましたか?
正解は、、、、、、
ノラです!!(分かりましたか?)
ではでは、どんなシーンにノラのスキーマを感じたか解説していきます
映画内で、ノラがクリスに電話をするシーンが幾度と出てきます。クリスは会社の重鎮であり、家庭もあるため中々電話の相手をすることができません。
(電話をするノラ)
するとノラはクリスの自宅に電話をしたり、「どうして電話に出ないの!?たぶらかさないで!私のこと嫌いになったの!?」と捲し立てるシーンがあります。
ここにノラのスキーマを感じました。
スキーマの説明で述べたように「認知の歪み(スキーマ)」にはそれぞれ特徴と名前があります。
ノラのように、相手から連絡がない、返信が遅かった時に「私のことが嫌いになったの!?」というように考えてしまうスキーマのことを「破局的思考」といいます。
皆さん、好きな相手からアクションが無い時に、「嫌いになったのかな!?」と思うことはありませんか?(私はたまにあります笑)
↓認知の歪みには他にも種類があります。恋愛に絡めて全て紹介していきます↓
・全か無か思考(二分割思考)
例)大好きな彼だけど、欠点が一つ見つかった。→「もうあんな人とは付き合いたくない!」
・自責的思考
例)大好きな彼。でもなんだか今日は不機嫌。→「きっと私が何かしてしまったんだ、、、」
・べき思考
例)大好きな彼は干渉されるのが嫌い。→「私もクールでいなきゃ、連絡も控えるべき!」
・過度一般化
例)大好きな彼に女の子から着信。ある日彼に電話をかけたらつながらなかった→「あの女と電話してるのかも!!」
・部分的焦点づけ
例)大好きな彼とのデート。たくさんおしゃれしたら彼から「今日すごくかわいいね」と言われた。→「いつもかわいいって思ってないんだ!」
皆さんどうでしょう。
なんだか自分もしくは周りの人で思い当たる節はありませんか??
ちなみに私はべき思考が強めです。
すぐ相手に合わせようとしてしまいます。でフられます。(恋愛難しすぎ)
映画の中でノラは、トム(最初に付き合ってた人)と婚約していた際は、ヒステリックになったり、破局的思考が見られるシーンがありませんでした。
そのため、本当に好きになった相手だからこそクリスに対してノラは不安が募り、スキーマが強く影響したのではないかなと思いました(わたし的見解です)。
さて、ここまで、スキーマの説明をしていきましたが、「じゃあ、スキーマって悪いものなの?」「ノラのように考えてしまうのはダメなことなの?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、、、、、、、そんなことはございません!!!!
むしろ、スキーマとは持っていて当たり前の“個性”や“性格”なのです。
もちろん、スキーマが強すぎて精神的に病んでしまったり、人間関係がうまくいかなくて心底悩んでいる場合に治療をすることは一つの手だとは思いますが、スキーマは決して悪いものではないのです。
自分のスキーマを客観的に見て、自分の考え方のクセを学ぶことで、「私はこういう風に考えてしまうけど、実際はそうではないかも。」と視野を広くすることができます。
人間関係を円滑にする上で自分のスキーマを認めてあげることはとっても重要なことです。
このブログが、皆さんにとって自分のスキーマと見つめあうきっかけになればいいな、、、、と思います(大学生が生意気ですね)
また、恋愛トークのネタにもなるかなと思います。
「あなたってばそれはべき思考に偏ってるわよ!」とか言ったら恋愛マスターっぽい気がしません?(笑)
友達や周りの人の恋愛話(また、そうでない話)を聞いたときに、こっそり「あ、この人こういうタイプだな、くくく」と楽しんでみてはいかがでしょう?
以上でおしまいです。最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。
今回、「マッチポイント」ではノラにフォーカスして、「認知の歪み(スキーマ)」
を見ていきましたが、スキーマは一人一人が持っているものなので、他のキャラクターからまた別のスキーマを感じ取ることができるかと思います。
気になる方は、映画を見てぜひ考察してみてください。(余談ですが、ノラを演じたスカーレット・ヨハンソンの大ファンです)
(ノラ役 スカーレット・ヨハンソン)
今後も、こんな感じで心理学と映画の小ネタを書いていきたいと思います。
今回は恋愛分野の内容でしたが、こういうジャンルの心理学(教育、人間関係、犯罪心理、などなど)を知りたい!というものがありましたら、ぜひお教えください、参考にしてみます^ ^
また次回もお楽しみに!!アサリでした