経営陣が血縁者で占められており、非血縁者の抜擢、登用がほとんどない。

能力ある者に適切なポストが与えられていない。

有望な社員が退職していくなど、血縁限界症が露呈している。

 

中小企業に多い同族会社は、年功序列で役職を決めて処遇している企業が多い。

序列とは順序、優先順位のことである。経営者に求められるのは能力であって、年功ではない。出生序列で権限を与えて運営しようとすれば、ギクシャクするのは当然である。これは、友人関係にも当てはまる。学生時代の友人と一緒に始めた事業は破綻するケースが多い。友人という関係における価値観と経営における価値観は本質的に違う。それを考えずに創業しても、時間の経過とともに齟齬(そご)が生じ、やがて決別してしまう。

 

企業経営には、明確な指揮・命令系統を持った組織が必要である。それは、ヨコの関係ではなく能力主義を基軸としたタテの関係でなければならない。特に、経営には判断力、実行力が求められている。そして、その基盤になければならいのが経営意識である。

経営意識とは目的意識、問題意識、危機意識、自主意識、価値意識の結集をいう。

どれが欠けても経営意識ではない。そこに実行力が加わって成果が生まれる。

経営コンサルタントとして触れ合った経営者の多くは真面目で勉強家が多くいた。その反面、業績至上主義の頭しかない短絡的な思考と行動を持ち味としたトップもいた。勉強は好むが実行力がない人、考えるより行動力が早い人、勉強も実行力もなく人頼りの人、様々な人(経営者像)が同族企業病に侵されている。

 

同族企業病には、経営陣の金銭面における公私混同が当たり前になっている。

出退勤に血縁者の公私混同があって、職場の規律が乱れている。

同族内で派閥ができて、疑心暗鬼のムードが社内に蔓延などの症状が表面化している。

 

同族企業が同族経営をしているとは限らない。同族企業でも同族経営から脱している企業もある。

また、血縁と能力が一致するのであれば問題はない。しかし、多くの同族企業では、能力より血縁を優先する傾向が強い。

これが進行すれと、非同族や非血縁の社員の能力が生かされず社員の間に、能力や業績の優劣ではなく同族への媚やへつらいを重視する弊害が生じてしまう。そして、能力のある非血縁者は去っていく。

こうした状況をそのままにして、人材が育たないと嘆いても何も変わらない。

 

では、こうした同族経営から脱却するにはどうすればよいのか。

その第一のポイントは、公私のけじめをトップ自らつけることである。具体的には金銭のけじめ、時間のけじめ、人間関係のけじめである。たとえ、親子、兄弟姉妹、おじ・おば、おい・めいの間柄であっても、呼び方からけじめをつける。

第二は、明確な経営ルールを制定し、それを順守することである。そして第三は、能力主義人事を実践することである。

それは、すべての社員に同じチャンスを与えることである。

同族経営がすべて悪いわけではない。それは、優良同族企業の活躍を見ればわかる。大切なのは、血縁ではなく能力を優先するトップの経営姿勢である。

この北海道での企業においても、企業規模を発展させる経営資源をもった中小企業が散見することがある。

残念ながら、経営者自らの保身と血縁者優先の仕事振りで、企業発展の可能性の限界をつくっているトップの経営姿勢には失望する。

 

 

目標の意味と価値を社員が理解していない。

社員が目標の立て方を知らない。

目標と実績の差異分析ができていない。などの経営基本欠落が垣間見る場合は以下の内容を参照する必要がある。

 

「どうしても目標が達成できない」「目標未達成率5%のカベがどうしても破れない」。個人も部門も目標未達。

この未達症状が慢性化すれば、経営体質そのものが悪化する。

 

目標未達症状のカベを破り、目標達成による成就感と満足感のあふれる職場をつくるためには、目標管理の基本を確立することが必要である。

経験則でいえば、目標未達率5%は意識のカベ、10%は行動のカベ、20%はシステムのカベである。5%のカベですら、薄いようで厚い。このカベを突破するには、次の3つがカギになる。

 

1,意識革新

マイナス発想、ネガティブムードを、「やればできる」「必ずできる」と確信が

持てる状態に変えていく。そのためには、自ら進んで参加するという動機づけがカギとなる。

「自主・参加・動機づけ」は目標達成の原動力なのである。「やらされている」とか「誰かのために重荷を負っている」と思っている間は本物でないし、力は発揮できない。自分の給料からの発想であるPI(Personal Identity)指標の導入が、自主・参加・動機づけの原点になる。

 

2,プロセスコントロールの実践

「Plan  Do  Check  Action」という担当者サイクルと、「Check  Advice  Help  Follow-up」という上司のサイクルがリンクしてこそ、よい結果が生まれる。

 

3,目標管理システムの確立

発想の原点を個に置き、個人が集まって部門が生まれ、部門が結集して会社があると考える目標管理をシステム化する。

 

 

目標未達者が多く、社員の間に挫折感が蔓延している。社員は最初から「できない」「不可能」と思っている。目標を立ててもそのとおりにならないと思っている。

 

経営方針を持たない会社の事例である。聞けば「経営方針を立てても、そのとおりにならないからムダだ」という。なぜ経営方針のとおりにならないのか尋ねると、時流とマーケットが激変するからだという。しかし、よく考えれば、だからこそ経営方針が必要なことに気づく。

時代や環境の変化に幻惑されて、自分を見失い、対処方法を誤れば、悲惨な結果を招くことになる。経営方針は混迷や変化の激しい時代にこそ、真価を発揮するものである。

 

方針経営は、経営方針を基軸として変化に対応する経営である。この方針経営を徹底させるためには、まず、トップをはじめとする経営幹部が経営方針を確立するノウハウを知っておくことが必要である。

また、経営方針を各部門、社員一人ひとりに徹底させるために、策定した経営方針・経営目標を各部門にブレークダウンし、各部門ごとに部門重点管理方針、部門経営目標数字を策定させる必要がある。

 

会社の経営方針は、各部門ごとの具体的な目標数字にまでブレークダウンすることで、社員一人ひとりにとって生きた方針になるのである。

 

方針経営を徹底するためには、方針づくりに不可欠な現状認識能力を高めなければならない。現状認識は現状の表面的な理解をいうのではなく、過去から現在までのプロセスと、そのプロセスに潜む要因を把握することである。

つまり、結果としての現状を深く掘り下げて、真因をつかむことである。それが、ビジョン、方針という未来展望につながっていく。

社内に「出る杭を打つ」空気がある。

管理者が横並び発想で異質なものを拒否する傾向がある。

失敗を恐れて何もしない「事なかれ主義」が蔓延している。

 

 夢がない、未来がない。それでは活力が生まれてこない。企業の活力は人から生まれる。人の意欲を引き出し、活力とする原動力は未来への夢である。この夢を実現するシステムが構築されたときに、個人としての社員の活力と企業の活力が一致する。

 昨今、抱えている人材不足に対処するには、人間の能力を引き出し、それを高めるしかない。それには人間の本質を考えることからスタートする必要がある。

 

 マズローの欲求5段階説で指摘されているように、人間にとって最も高いレベルの欲求は自己実現の欲求である。そこで、ビジネス社会の人材不足に対処するには、この自己実現への欲求を刺激する「自己実現の経営」が有効である。

 自己実現の経営が目指すのは、社員が自分の好きなことをして得意先や顧客から感謝され、十分な報酬を得て、しかも自らも満足できる状態である。そして、社員一人ひとりが「自分はこの仕事をするために生まれてきた」という天職意識を抱ける舞台をつくることである。この舞台づくりがうまくできるかどうかが企業の魅力を左右する。トップマネジメントは魅力づくりの実行者であり、未来への夢を創造し、自己実現の機会をつくり、参加と原資と分配の公平なルールに基づいた舞台をつくらねばならない。

 

 企業の魅力は社員や得意先、仕入先が評価する。定着率の悪い企業の退職者のほとんどは、その企業を評して「夢がない」「適正な評価がなされていない」「給料が安い」という。この3点に、企業の魅力を考えるポイントが要約されている。

トップが将来の夢を社員に語ることがほとんどない。

トップ陣に、明確な将来ビジョン、グランドデザインがない。

将来に対して不安を抱く社員が増えている。

 

目標は現状における未来への意思決定であり、ビジョンは未来への架け橋である。中期経営ビジョンとは、3~5年先の自社のあるべき姿である。「明日のことがわからないのに、5年先のことなどわかるはずがない。変化の時代、変革の時代だから中期経営ビジョンをつくっても意味がない」と、開き直る経営者もいる。しかし、不透明を透明に、不安定を安定に、不確実を確実に、不可能を可能にするところに経営者の存在価値がある。

むしろ、変化、変革のスピードが激しい現在だからこそ、中期経営ビジョンを策定する意味がある。経営者には、3~5年先を見通す先見能力が求められているのである。

 

企業は、右肩上がりに成長するわけではない。停滞もすれば後退もする。特に成長の過渡期には、小企業から中堅企業への規模のカベ、組織機能のカベが複合症状として現れる。

中期ビジョンの大きな目的は、これらを体系的に整理して問題点を明らかにし、成長の軌道を敷設することである。

無軌道経営よりも軌道経営のほうが安全、堅実であることを忘れてはいけない。

 

中期経営ビジョンは、次の手順で策定する。

 1,現状認識

   現状認識には、次の5つの目が求められる。

   ・外を見る目

   ・内を見る目

   ・先を見る目

   ・今を見る目

   ・フォーカスの目(上記の4つを1点に集約する目)

   的確な現状認識は的確な未来認識につながる。それは逆に、現状認識を誤れば未来認識をも誤るということにほかならな

   い。

 2,真因分析

   真因とは、さまざまな要因の根本にある要因・原因のことである。

 3,基本方向の設定

   基本方向には、経営理念に基づいた基本方針、組織の管理方針、重点目標、スローガンなどを明確にすることである。

 4,アクションプログラムの策定

   アクションプログラムは、中期経営ビジョンを年度ごとにブレークダウンした行動計画である。いつまでに何をやるのか、

   スケジューリングを明確にすることがポイントになる。

 

 

得意先は大切にするが、仕入れ先には高圧的に接する。

「わが社意識」、つまり企業エゴイズム症が強く、他社と協調する発想がない。

こんな社長をよく見かける。呼び名が社長という名前であって、社長格にふさわしい人物ではない。

 

協創とは「協力して創造する」ことである。業界繁栄主義から生まれる新しい理念で、一社ではできないことを他社と協力して実現する。つまり、目的、目標、方針を数社で共有して実行することである。

協創の実践には、利他精神が不可欠である。利他とは自分の利益を犠牲にし、他人の利益を図ることである。それができなければ、自利精神だけでは超えられない時代と環境のカベを打破する協創は成立しない。

最初から利他精神に目覚めている経営者は少ないだろう。多くの経営者は自利主義、自社繁栄主義からスタートする。

生涯を一社繁栄主義で終わる経営者も少なくない。しかし、やがて地域・業界の繁栄を視野に入れる経営者も生まれてくるものだ。

しかも、今や時代と環境が利他精神に目覚めた経営者を求めている。

これからはグローバル・スタンダードの時代である。国内だけのローカル・ルールがグローバル・スタンダードに変わっていく。

ルールがが変われば、価値観を変え、経営方式を変えるのも当然だが、それだけでは不十分である。

新しい価値観と経営方式を創造することが求められている。地域・業界繁栄主義にも新しい価値観が必要で、その価値観こそ利他精神なのである。

これまでのコンペチタ―(商売がたき)をパートナーと考え、協力して新しい価値を創造する。意識のこのような転換は簡単なものではない。しかし、この転換ができなければ、新しい利益である共通利益は創造できない。

 

 

 

 

社長が、地元や地域住民との協調をうとましく思っている。自社と住民との間によくトラブルがある。

業界との一体感、連帯感がなく、業界活動にもまったく参加しない。社長は、「業界とのつきあいをは損だ」と考えている。

そして業界内では孤立してしまっている、という現状をどうするのか?

 

一社成長主義・一社繁栄主義には限界があると知るべきである。世界の中で一国繁栄主義が通用しないのと同じことで、グローバル時代に通用しないのは当然である。代わりにこれから求められるのが地域・業界繁栄主義である。

「自分さえよければ他人のことはどうでもよい、自分さえ繫栄すれば他社のことなどどうでもよい」。このような精神が腐敗と低滞を招き、やがて自滅につながっていく。自社繁栄だけを考える企業に、真の繁栄は望めない。

 

地域・業界繁栄主義には、新しい精神がある。

第一は、「企業は法人格を持った市民である」という自覚、すなわち法人市民としての自覚。

第二は、同業他社と協力して新しい付加価値を創造したり、異業種他社と協力して新しいサービスを創造したりする「協創」精神。

第三は、自利よりも利他を優先する利他精神である。

これらの三点を、自社の生き残り戦略として実践してる経営者・企業のお手伝いをすると、私自身のワクワク感はたまらないものがある。目先の損得よりも俯瞰(ふかん。高所から下方を見渡すこと、あるいは広い視野を持って物事を見たり考えたりすること。またある事柄や状況に対して客観視することである)の目と精神をもって経営に臨んでもらいたいものである。

 

 

 

 

理屈ばかり言って実行しない社員が増えている。知識はあるが知恵がない。

失敗を恐れて何もしない。何もできない社員が増えている。

 

知恵はあっても問題意識がない。問題意識はあっても実行力がない。知識過剰の知恵不足、または意識過剰の実行力不足が多く見受けられる。その背景には「マンネリリズム」がある。安住意識と保守姿勢、前例主義がはびこり、減点主義と形式主義が活力を枯らす。そして、会社を裏切らないために社会を裏切る。社内の常識が社会の非常識になるという事態が生まれる。

 

「寄らば大樹の陰」という風潮は昔の話である。現在はその大樹が根腐れを起こしているため、寄りかかれば倒れてしまいかねない。寄生しても共倒れになってしまう。これが大企業病である。失敗を恐れてチャレンジしない、「リスクがあるからできない」と取締役が若手社員の冒険心の芽を摘む。このタイプの経営者が企業の未来を蝕む。これが中堅・中小企業であれば、悲劇はすでに始まっている。

 

知恵とは、「対象を正しくとらえ、真実を見極める能力」である。知恵を大切に、知恵を創造する経営は、知恵を使う知恵こそ本当の知恵であることを理解している経営である。上に立つ者が、「リスクがあるからやるべきでない」という消極発想で若芽を摘みとるのではなく、そのリスクの真因を分析して、それを解決するための知恵を全員に求め、全員の知恵を結集して解決する経営である。

現実の経営に必要なのは知識よりも知恵であり、リスクに挑むチャレンジ精神である。

「知識×実行=知恵」であり、知識を実行すれば知恵がつく。失敗してもそれに学べば知恵がつく。社内外にある知恵を使う知恵こそ本当の知恵である。その実践者の事例を挙げるとすれば、生チョコレートで全国ブランド企業に躍り出た地域企業の、株式会社ロイズコンフェクト創業者の山崎氏もその一人であろう。山崎氏のように地域企業から全国区に躍り出る経営者のほとんどは、社内外の知恵を貪欲に結集してきている。
 

 

事業のスタートは、目指す理想を確立することである。この理想には実現可能だという裏づけと根拠がなければならない。裏づけがない単なる空想や妄想からは革新は生まれない。革新経営は、裏づけのある理想を確立し、あるべき姿を描かなければならない。そのため、次のような能力が求められる。

 

1,今、生じている変化を見極める能力:「現状認識能力」

2,変化が生じている真の原因を、データを分析して見抜く能力:「真因分析能力」

3,変化の状況と原因から、到来しつつある新しい時代の姿を描き、そこで求めらるものが何かを見抜く。そして、その時代に生き

 残るために企業が何をどうするべきか、そのビジョンを描く能力:「未来構築能力」

4,保守的にならず、勇気をもって革新に取り組む能力:「実現・実行能力」

5,革新には、保守と安住を求める勢力からの抵抗がつきものである。そのような抵抗を封じ込め、あるいは抵抗する人々の意識を

 変えて革新に協力させるための能力:「人間関係調整能力」

 

次に、理論があってこそ、革新は成功する。

革新を進めるには理論構築が必要である。理論の裏づけがあってこそ、現実と実際を変革できるものである。

たとえば、「理論はそうだが実際は違う」という人は、理論の重要性がわかっていない。「理論で経営はできない」という超実際主義者的経営者は、創業者に多い。こういうタイプは我流を押しつけがちで、発展性が望めない。逆に「理論倒れ」の経営者もまた多く、このタイプは実際を無視し、頭の中で考えただけの理論に執着している。現実のなかで成果をあげることは困難である。中小・中堅企業の経営者の大半はこの2つのいずれかのタイプに当てはまる。

経営者には、体験を経験化し、経験からノウハウを体系化する能力が求められる。そして、得られた理論を実際と一体化させる能力が求められる。

 

革新の原点は、自己革新である。自己革新のポイントには次のようなものがある。

1,相手を変える前に、自分を変えよ!

2,価値観の革新

 自分の価値観を革新するには、生まれ変わるほどの決意がいる。簡単なことではない。

 そこでまず、トップ自身が価値観を革新すると宣言することから始める。例えば社員全員に対して、「もし自分が指示・命令が

 強制スタイルに戻っていれば、注意してもらいたい」というほどの決意を示すべきである。

3,自己革新の最終段階は行動革新である。

 ・習慣化するまで継続する

 ・毎日チェックする

 ・苦痛を感じなくなるまで続ける

 

 以上、意識革新、価値革新の成果を頭の中だけにとどめず、行動力にまで高め行動革新ができれば、自己革新は成就したといえ

る。