私は先生にもらった薬を飲んだ。生きていられるのは三ヶ月。
私は人間らしく、三ヶ月だけ生きようと思った。

そしてある日彼と目があった。彼は気まずそうにどこかへ行った。
私はすかさず追いかけた。
「この前はごめんなさい。あんなにぶっきらぼうに言ってしまって。」
私は彼に頭を下げた。
「...え。いいのに。ていうか大丈夫なの?」
彼は何事もなかったように私の頭を撫でた。
「あ...ありがとう。許してくれて。」私は思わず泣きそうになった。
「ありがとうもなにも。君が大丈夫そうで良かった。あ、久しぶりに裏庭に行こうか。」
「うん。行こう。」私はすべての思いが言えることに感動した。
しかし、残りの命は一ヶ月半。私は彼とすべて一緒にいようと思った。
でもこの思いは分からなかった。もしかしてこれが先生の言っていた大切なのか。
もしかしたら彼のことが好き...というやつなのかもしれない。
それでもこの思いが表に出たところで、何も起きないだろう。
それに出すつもりもなかった。このまま死んで行きたい。

「この裏庭も久しぶりだよねえ。僕と君が出会った場所。」
「...そうだね。本当になんか最初は強がりだったな。」
「本当!お姫様抱っこしようとしたのに強がってるし。」
彼は頬をぷうっと膨らませた。なんだか子供のようだった。
「ふふ。懐かしいね。」最後の思い出だったように感じた。
「じゃあしてみる?」
「え?何を?」
「お姫様抱っこ。」
「いやです!」
「まぁまぁそう言わずに。レッツゴー!」
流されるがままにお姫様抱っこをされた。
「やっぱ高い!高いってば!降ろして!」
「いや。」
「いや本当高い!怖い!」彼は私を連れ回し、走ったりした。
その後...
「いやー疲れたねー。もう走れない。」
「走らなければいいのに。もう。」しかし思い出ができた。また一つ。
「なんかもう、これでお終いだね。」
「何が?」
「いや。こっちの話。今日は楽しかった。ありがとう!」
「..あ。うん。」
これで終わりだったんだろう。彼との思い出は。
もちろん彼への思いはひそめたまま。

そして私が死ぬ3日前
私はついに倒れた。予定ではもう少し遅い予定だったのだろうが、
少しはしゃぎすぎた罰なのかもしれない。
でもまたそれは良いことだった。彼に会わずに死ねるのだから。
大切な人に会わずに死ねたのだ。
「じゃあ私はもう行くね。」
先生が病院に来た。最後の別れだと言って泣いていた。
一人でも自分のために泣いてくれる人がいて嬉しかった。
そして先生は泣いて語って病院を去っていった。
もう眠くなった。もう死ぬんだということをやっと実感した。
しかしそこで。
「はぁはぁ。間に合ったかな?」
「...!」彼が来たのだ。会いたいけど会いたくない彼が来たのだ。
「...どうして。」私はぎりぎり喋った。
「何で黙ってたの?僕に。」
「あなたには話したくなかったから。」
「そっかー。悲しいね。でも君のことは何でも知りたかった。」
「知ったら、あなたは何をするか分かんないでしょ。」
「そうかもね。でも知りたかったもっと早く。そして君にもっと思い出を、
作ってあげたかった。」
「ありがとう。」
「でも最後なんだっけ。じゃあ最後に思い出を。」
「何...かな?」
「君のことが大好きだよ。」
「私もずっと。」私はこぼれそうな涙がついにこぼれた。
「ちょっと。何泣いてるの。また会えるでしょ。」
「会えないよ。」
「会えるよ。こうして待ってたら会えるから。だからいつまでも待ってる。」
「分かった。ありがとう。私に最高の思い出をありがとう。」
「当たり前でしょ?彼氏なんだから。一瞬だけど。」
「また会ったら一緒にいてください。」
「必ず会えるよ。ずっと一緒にいよう。」
「それじゃ、またね。」
「ばいばい。」
私は眠りについた静かに。彼は泣いていた...ように思う。
また会いたかった。彼に。


そして僕は、彼女が眠った後、大学に入った。
それは大学二年生のときだったように思う。
庭で本を読んでいる後輩の女子がいた。
「ねえ。君はなんで本を読んでいるの?」
「本が好きだから。あなたは?」
「僕はここの景色が得意だからだよ。」
「そう。でもそんな風に思えない表情をしてますね。」
「あ。分かっちゃった?」
「分かりますよ。先輩の表情を見て。でも結局何でですか?」
「それは君にそっくりな子がいてなんとなく話しかけようと思ったからだよ。」
「じゃあ何で嘘ついたんですか?」
「それはもちろん。今日はエイプリルフールだからだよ。」
「あごめん。気持ちは嬉しいんだけど。」
全く嬉しくない。なぜ彼に抱かれなくてはならないのだ。
「あ。ごめんね。なんかなんとなくだけど。君がいなくなりそうだったから。」
いなくなりそうだなんて。ありえない。絶対に。
そう言って彼は手をどかし、立ち、こちらに手をさしのべた。
「大丈夫?一人で立てないんなら、手をかすよ。」
「...そんなのいらない。自分で立てるから。」
全く反対のことを言った。無理矢理にも立とうとした。
けど体は思うようについてこなかった。力をふりしぼっても全く立てない。
元々力などでなかった。発作が起きた状態で力なんかでなかった。苦戦する私を見て、
「ほら、苦戦してるみたいだし、素直に強がってないで手だしなよ。」
彼はくすくすと笑っている。すごいむかつく。だがやはり立てない。
私ははぁとため息をついて彼の手を掴んだ。
「お。いくよ。せーのっ。」
「うわっ。」バタッと体がふらついた。しかも今は発作が起きた直後。
また地面に直面した。
「うわ大丈夫?ごめん。ていうかもうふらふらじゃん。ほら抱っこしていくから。」
「え...。ちょ..うわっ。」私は彼にまんまとお姫様抱っこをされた。
恥ずかしいっていうかありえない。
「ちょ...おろしてー!」バタバタと足をばたつかせた。
「暴れないでよ!落ちちゃうから。」しかし、ここで落ちてはふりだしである。
「...諦める。」このまま彼に抱かれてかぁ。はぁ。
もう逃げる力もなにもない。

「はい。保健室ついたよ。」
「あ。生徒さん!ってあなたですか。」先生は肩をがっくりとさげた。
「今日もお世話になりますね。」
「え。何!?常連だったの!?」
「ええ。ていうかその様子だと彼に話していないようですね。」
先生はいすから立ち上がり、コーヒーカップを机においた。
「?なんのことですか?」
「ああ!やっぱり!」
「言わなくていい!保健室までどうもありがとう。悪いが、出て行ってくれないか。」
「え...。ごめん。分かった。」
彼は走って去っていった。
「彼に言わなくていいの?大切な彼に。」そう先生は知っているのだ。私のことを。
「言う必要もないだろう。大切でもなんでもない。」
「またまたうそついちゃって!言わないとつらいだけでしょう?」
私の体は思ったことをそのまま真実として言うと、発作が起きる。
このことは親と保健の先生しか知らない。
なぜこのようになったかというと、前の親のせいである。
親は発作を起こし私を死なさせ、保険金をもらおうとしていたのだ。
そのためにうちの親...父はあるピースを作った。
発作が起き、のちに死ぬピース...である。
しかし私にそのピースを埋めたことで、大きく噂は広まり親は捕まった。
残された私は、ピースを取り除くことを周りからされ続けた。
無駄な努力だった。父は天才だった。ピースは見事に私の体の中で溶けきり、
取り除くことができなくなっていたのだ。
しかし私はまだ生きている。だから周りも、もう大丈夫と勘違いしているのだ。
まだ終わっていないのに。私の何もみていないのに。
「...薬下さい。楽になりたい。」
私は発作が起きたとき必ず、先生のところに行き、薬をもらう。
しかしその薬もまた一歩私に死を近づけているのである。
ただ楽になるだけである。でもまた辛くなるのだ。
「いいけど。でも今度はもう。やめましょう。あなたが死ぬところを見たくない。」
「え。どういう事ですか先生。」
「あなたはもう。薬と発作のせいで限界なのよ。だからもう薬は...。」
「限界ってその...まさか。」
「ええ。あなたはもう死ぬのよ。」
「助かる方法は....!?」
「残念ながらピースを取る以外はないわ。」
「そうですか。なら諦めます。一人でゆっくりと死にます。」
「でも死ぬけれど、幸せになる薬ならあるわ。」
「え。どういうこと。幸せに...?」
「ええ。発作も起きないし、真実を言っても何も起こらない。」
「本当にそんな薬...先生こそ詐欺師じゃないんですか?」
「でも。もうあなたに選択肢はないでしょう?」
「...っ。分かりました。薬を下さい。」
先生に頼るしかなかった。もう私には何も失う物がないのだ。



私は嘘をつき続けて生きてきた。
本当の事なんて一つも言ったことがない。
人は嘘をついている人々のことを詐欺師だとか言うけれど、
私はそうは思わない。
人は誰でも嘘をついているのだから。

私はいつでもそう思っていた。
いや思わせられていたかもしれない。操られてしまったのかもしれない。
もう何もかも分からなかった。
真実なのか。嘘なのか。なんて。

私は社会の表側から見れば、普通の中学生。
しかし裏側から見れば、ただの詐欺師。
そんな風になったころのこと。
表側からいえば中学二年生の秋頃だっただろうか。
とある男子に裏庭で話しかけられた。
「ねえ。いつも君ってそこで本読んでるよね。」
「・・・・・・。」
当然のごとく無視をした。授業以外はいつもここで本を読んでいた。
誰もこない良い場所だった。なのに彼はここに来たのだ。
私の場所に来ないでほしい。邪魔だ。早く出ていってほしい。しかし私は、
「...そうだね。とてもここの自然が美しくて綺麗だから。」
と言った。めんどうだった。とてつもなく。早く行け。頼むから。
「そうだよね!やっぱりそう思う!?僕も好きなんだ!絵描いたりするんだけど、
いつも時間忘れちゃうよ!」
へえ。そう。そんな薄い反応をしそうになった。
だがそんな反応をすると、いろいろとめんどうだ。だから、
「そうだね。ここは綺麗だし、君の絵も見てみたいな。今度見てみたい。」
そう言った。今度なんて当然覚えてはいないだろう。
というか今は彼に早く去ってほしい。早く。そう早く。
「あ。今度...えっとじゃあ三年生の今頃に来てくれるかな。」
彼は何でだろうというと言いそうな様子ではあったが、すぐに言った
「分かった!来年の今頃に来るね!」
一年も経てば普通は忘れる。そう思っていた。
しかしそんなことは今は考えずただ本を読もうとばかり思っていたので、
私のほうこそ忘れてしまったのかもしれない。

そう。 そして一年後。
「あ。いた~!約束覚えててくれたんだ!」
約束?何のことだろう。そうすっかり忘れていた。
私はいつも通り本を読んでいただけだった。
「ん?約束だよ約束。」
「あー約束ね。」
また嘘をついた。しかし慣れなくてはいけない。
「やっぱり覚えててくれた?ほら僕の描いた絵!見て!」
そう言って見せてくれたのは裏庭のとても特徴のある木の絵だった。
意外にも上手かった。とても引き込まれた。だから思わず
「..すごい上手。上手い。」と言ってしまった。
そう。私は本当の事を言ってしまった。
私は本当の事を言ってはならない。
思い感じたことを口に出してはならないのだ。
「あれ?どうしたの。ねえ大丈夫...?」
彼が心配しているのはきっと私が発作を起こしているせいだろう。
お願いだからこっちへこないで。
「うん大丈夫。大丈夫だから。」
またもや本当のことを口走るようで怖かった。お願いだから近づかないでほしかった。
私にはこんなことが何回かあった。真実を口走って言って発作を起こした。
だから私はいつでもこうした。人を睨んだ。
なのになんで。
私は彼に抱きしめられているの_?






なにこれえ。
急展開にはしりますた さーせん
たぶんこれ一話にまとめるとか言ってたけどむりですた^p^
次はたぶん後編です。お楽しみに。