9歳のリン

9歳を迎えて

少しずつ

自立心が芽生えはじめた。


それと共にやっぱり

欲しがる様になったスマホ。


リンが通う小学校では

3年生くらいから持たせる

お家が大半だった。


とはいえ我が家は

子供ケータイと呼ばれる

小さな携帯電話で

連絡を取れていたので

それで間に合っている。


門限は17:00


しかし近所は共働きの家庭が

多く、子供達は18:30を

過ぎても公園にいた。


引っ越してきたばかりのリンを

珍しがり近付いてきた同級生は

基本的にしっかりした子ばかり。


そして始まったリンの新生活は

色々な楽しさと辛さの

連続だった。


急にいじわるをされたり

心無い言葉を言われたり

かと思えば

遊びに誘われたり。


毎日、毎日

涙目で帰ってくるリンに

理由を聞いては考えた。


ある日、近所の同級生が

揃ってリンを誘いにやってきた。


私は覚悟をきめた。

我が子のためなら

『怖いお母さん』と

思われようが構わない。


子供達に目線を合わせ

はっきりと伝えた。


『仲良くできないなら

誘いに来てくれなくてもいいからね』

『リンが嫌いなら

遊ばなければいいんじゃない?』


子供達は口々に

自分を弁護する。


おもしろい…


とにかく数日、様子を見ようと

思った。


すると次の日

『仲良く遊ぼ』と

誘いにきた。


ほんまかいな(笑)


そう思ったがリンは行きたがるので

遊びに行かせることにした。


それからは適度な距離で

付き合うことが

できる様になった。


親同士は基本的に

顔を合わせることも無く

唯一ひとり連絡を取り合う

親御さんが居たくらいで


昭和によくある

近所付き合いなんてものが

幻のように思えた。


不思議な感覚だった。