無事ハートキャッチ様とバカ神官を打ち倒した一党は鉱山を解放。大量の鉄をティールの街に持ち込んで、鉄製の武器等を手に入れた。
 今回のミニシナリオはその直後という設定。


 一党はワビール家番頭のムラービトに呼び出される。
「ボードン家の例の鉄鉱山を解放したのはあなた方だそうですね。表沙汰にはなっていないようですが、聞き及んでおります。やはり素晴らしい手練だ。そこで、その腕を見込んでお頼みしたいことがあるのですが……」
 ムラービトの依頼とは地下に眠るヒスイの塊の採集であった。
 ティールの街の地下には埋まった旧街区や地下墓地、鍾乳洞などが広がっていてまるで迷宮の如き様相だという。そこに潜り込んだとある冒険者が貴重なヒスイを発見したという話であった。
「ただ見つけたはいいものの、そのヒスイは怪物どもに守られていて手が出せなかった、と。それで自分で手に入れるのは諦めて、我がワビール家にその情報を売ってきたというわけです。我が家といたしましてはヒスイ取引の機会を見逃したくはありません。そこであなた方にそれを取ってきていただきたい。その冒険者の話によるとヒスイは二つあったとか。どちらも持ち帰ってくだされば1人当たり300gpお支払いしましょう」
 さらにクエスト達成でパーティに600Exp入るという。
 一党は快く依頼を引き受け、ヒスイのある場所を教えてもらうこととした。どちらのヒスイも怪物に守られていて手が出せなかったとのことである。どのような怪物がヒスイを守っているのか、といった詳しい情報を求めるなら、その情報を売りに来た冒険者に直接尋ねるとよいとのことであった。
 ここで「ティールの街で何らかの行動を起こすごとに2時間が経過する」という縛りがかけられた。
 一党は、情報を売ってきた冒険者に話を聞く、という行動で2時間を費やすこととする。
 早速その冒険者のハーフエルフとやらに会いに行く一党。その者がクダを巻いていると聞いた酒場に辿り着く。いた。ハーフエルフは酷く酔っているようだ。
「あんな恐ろしいところにはもう二度と近付きたくねえ。仲間はみんなやられちまった」
「全て話せ?」
「いくら出す?」
 いつものことだが、一党は情報料を払うなどということは少しも考慮せず、脅し始める。ナチュラルに威圧。
「一杯おごってやろう。静脈注射で飲ます」
「ビンタする。この英雄気取りがっ! そう言っておいてから、お前と争うつもりはない、と言う」
 意味がわからない。いつも通り酷いウルヴェントに対して、ハーフエルフが抗議の声を上げる。
「やめろ、くそドラウめ!」
「ドラウじゃないよ。ちょっと顔色の悪いエルフだよ」
「じゃあ、やめろ、顔色の悪いくそエルフめ!」
「お前の心よりは綺麗さ!」
 結局そのハーフエルフを責め抜いて手に入れた情報は、
「ヒスイのあった部屋の1つはマグマで熱せられていた。そこで土くれの体から炎が噴きでているようなモンスターに襲われた」
「ヒスイの話は他にボードン家、イアントリ家、鍛冶屋に売った」
「鳥のくちばしの生えた肉の塊から触手が生えている化け物がもう1つのヒスイを守っている」
「もう二度と地下迷宮には行きたくないし、お前らとも関わり合いたくない」
 といったものだった。
 話を聞くに、厳しい戦いが予想された。そこで一党は回復薬等の入手を試みる。
 前回、ザーマス師匠の伝手で鉄製武器を作ってくれた鍛冶屋がこの街では一番魔法っぽいものに縁があるであろう。と、無理やりに鍛冶屋に一党を誘導する。これで更に2時間が経過。
 一党を迎えた鍛冶屋は、丁度よいところに、と歓迎する風であった。
「ティールの地下でヒスイが見つかったって話でな。うちでも手に入れたいと思ってたんだ。お前らなら取ってこれるだろ? ヒスイを1塊持ってきてくれたら、良い鎧を1つ作ってやろう。どうだ?」
 しかも、前払いで火への抵抗5を付与するレジストポーションを人数分くれるという。
 実際にヒスイを手に入れたとして、渡すかどうかは後で決めれば良い。ここはもらえるものはもらっておけ、ということで快く依頼を受けることとした。
 更に一党はヒーリングポーションを6本購入(その店にあるヒーリングポーションの在庫数1D6で6が出た)。意気揚々と引き揚げかけたその時だ。
 鍛冶屋から出ようとしたウィンストンにぶつかってきた者がいる。
「お? なんだこの野郎? てめえ、ムルじゃねえか。汚い血の混じった野郎め!」
 見ればそれは黒ドワーフ、ドゥエルガルと呼ばれる種族であるようだ。そのドゥエルガル達が5人、徒党を組んで鍛冶屋へ入ってきたではないか。
 正直、悪い印象を与えるためだけに無理やり遭遇させたドゥエルガル達である。
 彼等はボードン家に雇われている首砕き一族なるドゥエルガルであった。彼等は一党の正体に気付いたようで、
「お前ら、ボードン家の鉱山でえらいことしでかしてくれた奴らじゃねえか? ムルに虫野郎に水人間にドラウ。聞いてる通りの面子だぜ」
 自分達の雇い主ボードン家に仇為す連中である、と非常に剣呑な雰囲気に。
 今にも一触即発であったが、ウィンストンが威圧を試みるとドゥエルガルのうちで一番突っかかってきていた三下が、
「お……な、なんだてめえ……」
 と腰砕けになる。そこでドゥエルガル達のリーダーが手下達に待ったをかけた。
「そこまでにしておけ」
 そして一党に向けて宣する。
「どうやらお前達もヒスイを狙っているらしいな? だが、俺達の方が優秀だということをわからせてやる。ヒスイを手に入れるのは俺達だ」
 わっはっはっは。
「ところで親父。ポーションをくれ」
「売り切れです」
「帰るぞ」
 こうしてドゥエルガル達は退場していった。
 さて、一党は自分達以外にもヒスイを狙っている者達がいることを知ったわけである。早速、地下迷宮に急ぐかと思えば、
「こいつら見張っといて、こいつらがヒスイ手に入れたら横取りしようぜ」
 という結論に落ち着いた。
 というわけで、ボードン家商館を見張る。これで計6時間経過することとなった。
 見張っている間、特に動きは無い。
「ボードン家の他に、イアントリ家にも情報を売ったって話だからここだけ見張っててもイアントリ家の連中に先を越されるんじゃ?」
「いーよ。大丈夫大丈夫」
 ということで見張り続行。8時間経過。
 ところでボードン家商館は大きく、四方に出入り口がある。一党は1人ずつ出入り口を見張っていたのだが、そのうちのウィンストン、ドゥエルガルの1人が自分の見張っている出入り口から商館内へと入っていくのに気付く。と、突然ドヤドヤと10人ほどのドゥエルガル達が商館から飛び出してくるではないか。
「おい、ムルのクソ野郎。そこにいるんだろ?」
「1人で見張りなんて寂しいじゃねえか! 一緒に飲みに行こうぜ!」
 ゲラゲラ笑いながら、有無を言わさずウィンストンを拉致。さすがに10人に囲まれては手を出せず、ウィンストンはあれよあれよという間にとある酒場へと連れ込まれてしまった。
「ほうら、薄汚いムルはミルクでも飲むか?」
「遠慮せずに呑めよ、たっぷりな!」
「げっへっへ、安心しろ。殺しゃしねえ。ただ、一晩中ここで俺達と飲み続けてもらうだけだ。その間に俺達の仲間がヒスイを持ち帰るって寸法よ」
「ボードン家の敷地内には地下迷宮に潜れる出入り口の1つがあんだよ。今頃、俺等の仲間達はヒスイを探しに潜ってる頃だ。お前とお前の仲間はそれを指くわえて見てりゃいいのさ」
 ウィンストンは酒場に拘束され、このままでは一党は迷宮に潜ることなくクエスト失敗である。
 と、酒場に煙が立ち込め始めるではないか。
「火事だ!?」
 突然のぼや騒ぎ。どうやら酒場の裏手から火の手が上がったようだ。店の者やドゥエルガル達が慌てて消火に向かう。そのどさくさにまぎれてウィンストンは酒場から脱出した。
「うまく逃げ出せてよかったな」
 押し込み強盗だけでなく火付け盗賊もたしなむ一党は、ウィンストンの無事を心から祝福するのだった。下手をするとウィンストンごと燃やしてしまうところだったのではないか、という些細な疑問は捨てておく。ムルの種族パワーの「アホみたいなタフさ」があるからきっと大丈夫、みたいなノリであった。
 完全に犯罪者の一党だが、そんなことはどうでも良いのである。既にドゥエルガル達に先行されている以上、急いでティール地下へと潜らなければならない。
 一党はハーフエルフの冒険者から得た情報をもとに、地下迷宮へと侵入。地下迷宮への出入り口は街のあちこちに複数存在するが、その中でも一番手近なところを選んだのだ。そして、ヒスイのある部屋を目指す。


 ここで変則的な技能チャレンジ。
 うまくヒスイのある部屋に辿り着けるかどうか20面体を振って決めることとした。高い目が出れば成功である。ただし、あまりに低い目が出ると部屋に辿り着けずワンダリングモンスターに絡まれたり、部屋に辿り着いても既にヒスイは持ち出された後だったりと良くない結果を甘受せねばならない。
 その20面体ロールには以下のような修正がつく。
 PC1人につき1回、迷宮探検に関係のある技能のチェックを行い、その達成値が高ければ高い分だけ+の修正。
 また、街で過ごした時間分はマイナスの修正として作用する。
 各人が運動、軽業、歴史、知覚で高い達成値を得たので+12、街で8時間経過したので-8、総計+4修正で20面体を振る。結果は、


「ひゃっはー! あったぞ! ヒスイだー!」
「これで俺達も大金持ちだー!」
 と、喜ぶ声が聞こえてきた。
 あちこち分岐した迷宮内の通路を彷徨い、ようやく目的の部屋に達した時。すでにその部屋には別の一団が入り込み、ヒスイを手にしている様子であった。ドゥエルガル達ではない。どうやら別口の冒険者たちのようだ。
 その部屋は棺桶が幾つも並んだ納骨堂だった。ヒスイはその部屋の奥に据えられている。5人の冒険者がその奥まで入り込みヒスイに手をかけていた。特に戦いのあった様子は無い。
「部屋の外で隠れてそいつらを待ち伏せする」
 一党は躊躇ない。だが、その部屋に続いている道は直線の一本道で身を隠す場所が無かった。仕方なく、一党は身を隠せる場所まで一度退き、彼等がやってくるのを待ち構える。と、
「うわー!?」
「何だこいつら!?」
「ぎゃー」
 静かになった。一党は隠れ場所から出ると、急いで先程の納骨堂へと戻る。
 彼等は消えていた。ただ、先程は無かった大量の血の跡が室内にこびりついている。そして、よく知覚を凝らしてみると、部屋の奥に置かれた石棺の蓋がずれていて、中から血塗れの手がぴょろっと飛び出しているではないか。
 ヒスイは部屋の奥で変わらぬまま鎮座していた。
 あー、こりゃ棺桶の中の連中に食われたな、と思った一党は早速手近な棺桶から縛りにかかる。棺桶が開かないようにしようというのだ。だが、その意図を察したのであろう。一番奥の棺桶が突然開き、ワイトの屍術士が立ちあがる。そして、引っ掻くような叫びを上げると棺桶が次々に開き、亡者どもがわらわら出てきたではないか。先程の冒険者達も変わり果てた姿でこんにちわ。
 イニチアシブが振られ、戦闘開始と相成った。
 現れ出でたるはゾンビにスケルトンの大群とワイトの屍術士である。ワイトと2体のゾンビ以外は雑魚アンデッドが総計15体という、まさに質より量といった遭遇だ。
 ゾンビや雑魚ゾンビで一党の足を止め、その間に遠距離からワイトやスケルトンの遠距離攻撃で一党を削るという作戦。雑魚アンデッドによる波状攻撃でとにかく手数を稼ごうという目論見である。与えるダメージは小さくとも、積み重なれば恐ろしいものとなるはず。だった。
 だが、ワンコによる両手攻撃やウルヴェントのケイオスボルト攻撃(攻撃ロールの目が偶数だと近くの敵にさらに飛び火する)で雑魚達はどんどん数を減らしていく。しかも、雑魚アンデッド達の攻撃ではウィンストンの一時的HPを削りきることができない。ウィンストンは毎ターン攻撃するごとに新たに一時的HPを得続けるので、いくらちまちまダメージを与えてももうお手上げである。
 しかも、棺桶という移動困難地形を盾にして敵の接近を防ごうという企ても、ウィンストンは移動困難地形を無視するサンダルだか何だかを履いてるのだった、あっという間に突撃され、ワイトも叩き潰されて終了。
 こうして一党はヒスイの塊を1つ手に入れることに成功した。


 さて、情報ではもう1つヒスイがあるはずだ。そこで再び、変則的技能チャレンジを繰り返す。今回も同じく+4の修正で20面体を振る。その結果は、


 迷宮の奥から熱波が伝わってきた。それに惹かれるように一党は歩みを進める。そして辿り着いたその場所、そこはまるで火山の火口のようであった。
 熱気が一党の口から胸へと入り込む。焼けるようだ。頬も焙られる。隊列を組む仲間達の顔はマグマの赤い光で照らされ陰影が深い。顔をしかめたくなる硫黄の匂い。
 いくらか奥行きのあるその場所は、多くの部分が赤熱としたマグマで満たされていた。歩いても支障なさそうな岩場が道のようにマグマの中を貫いている。その岩場から足を踏み外せば、マグマに体を焼かれてしまうだろう。と、岩場の先に鈍く光る物がある。ヒスイだ。遂に目的の物を見つけた。だが、望まぬ物の姿も目に入る。岩場にはつむじ風のような怪物が3体、渦を巻いているではないか。ダストデヴィルだ。
 さらにマグマ地帯の奥には黒々とした岩石のような人型が見える。その表面はひび割れ、ひびからはマグマの赤が噴き出ていた。話にあった怪物、フレイムスパイカーであろう。近くにいる敵には炎の一撃でもって火への脆弱性5を与え、離れた敵には岩の塊を撃ち込んでくるという。
 それらは狂ったエレメントで悪意に満ちていた。
 各人、ここでイニチアシブを振り戦闘が開始される。
 まずは一同、これあるを予期して準備しておいた火に対する抵抗5を付与するレジストポーションを飲み干す。
 そうして待ち構えているところへダストデヴィルが一体、唸りを上げて突っ込んできた。その風に巻き込まれた者はコロコロと転倒してしまう。しかも、その風のエレメントは一党の中心近くまで近付くと、いきなり爆ぜた。旋風の合間から礫が四方八方へ飛んだのだ。巻き込まれたイモコは痛手を負い、しかも盲目状態に。
 これは厳しい。
 ウィンストンとワンコはそのダストデヴィルに接敵し、素早く屠る。
 が、残りのダストデヴィル達が、前に出たウィンストンへ襲いかかった。まず一体が旋風でウィンストンをよろめかせ彼を2マスシフトさせる。もう一体も同様に襲いかかり、同じく2マスシフト。そうして誘導されたウィンストンが足を踏み入れたのはマグマ地帯の中だった。ウィンストンはマグマ地帯にいる限り、自分の手番の最初に1D10の火ダメージを受けることとなる。
 しかもウィンストンが導かれたその場所は岩場の陰に隣接しており、その陰には蠢く物があったのだ。岩でできたサソリのような何かが悪意をウィンストンに向けてくる。その怪物が見えているのはウィンストンだけで、しかもウィンストンはモンスター知識のロール目が低かったため正体がわからない。
 ウィンストンは待ち受けていた怪物の元へ送り込まれた格好だ。
 で、この怪物、早速ウィンストンを攻撃して動けない状態に。動きを封じられては、自動的に毎ターン火ダメージ確定である。おまけに動けない状態のセーブにも失敗し、ウィンストンはマグマ地帯で釘付け。せめてもの救いは毎ターン火ダメが、飲んでおいたレジストポーションのおかげで全く通らずに済んだことくらいか。
 ワンコも厳しい。1人でフレイムスパイカーとダストデヴィル達と対峙することとなったからだ。ワンコもダストデヴィルに転がされ、そこをフレイムスパイカーに接敵される。だが、ワンコは逆に、フットワークルアーを駆使してフレイムスパイカーをマグマ地帯から釣り出すことに成功した。
 マグマ地帯に留まったまま、近付く敵に火ダメージを与え続けようというフレイムスパイカーの意図は封じられたわけだ。
 だが、フレイムスパイカーの攻撃を一手に引き受けることになったワンコ、ついに力尽きる。イモコが即応・対応の一日毎パワー「フィアレスレスキュー」で救援に駆けつけるも目が振るわず、フレイムスパイカーにヒットさせられない。
 イモコの手番でワンコは回復できたものの厳しい状況が続く。


 事ここに至って、ダストデヴィルがうざいという結論が導き出された。ダメージを積み重ねてくるし、転がしてくるし、いざとなったら爆発するし、面倒この上ない。
 先にダストデヴィルを片付けてしまおう。ということで、マグマ地帯で動けないウィンストン以外の全員で攻撃することに。と、ウィンストン、
「やっとセーブ成功したからまずはシフトしてとりあえずマグマ地帯から脱出。次の手番にはそっちに戻れるよ」
「あ、ファンぶった」
 ウルヴェントがソーサラー魔法をファンブルすると、周囲5マスのクリーチャーは全部1マス押しやられる。ウィンストンも丁度その範囲内であったので、
「……もとのマスに押しやられた……」
「そこを岩サソリがもう一度攻撃して……再び動けない状態になりました」
 火ダメージ継続。

 ウィンストンとその岩でできたサソリみたいなのはお互いペチペチと殴りあい続ける。


 その後、ダストデヴィルに追いかけられたウルヴェントが瀕死になったり、そのダストデヴィルに止めを刺そうとしたイモコがいつものように自分の手を汚したくないばっかりに攻撃を外したり、酷い状況になりながらもどうにか勝利。
「やっと倒したよ」
「お前、岩の陰で何やってたの? こっち大変だったのに」
「……」
 たった1人で名前のわからないモンスターと戦っていたウィンストン、その雄姿は誰の目にも届いていなかったという。



ワイトの屍術士(経験値175)×1=175
ゾンビ(経験値125)×2=250
ゾンビのできそこない(経験値38)×10=380
ポンコツスケルトン(経験値25)×5=125


ダストデヴィル(経験値150)×3=450
フレイムスパイカー(経験値200)×1=200
何かよくわかんないの(経験値175)×1=175


1人当たり経験値は438



 とりあえずフレイムスパイカー達を倒してヒスイを手に入れた一党。
 それにしてもここぞという時に必ず外すイモコは何なのか。そんなに自分の手を動かすの嫌か。
 これはイモコを操るプレイヤーの運不運という問題ではなく、イモコというキャラクターの特性(呪われたキャラ)なのかもしれない。イモコというキャラ、誰が使ってもダイス目が悪くなる。
 などと感慨に耽る間もなく、下品な声が響いてきたではないか。
「よう、ご苦労さん」
「そこにあるのがヒスイだな? 俺達のために露払いしてくれたってわけだ。御苦労ごくろう」
 ボードン家のドゥエルガル達であった。一党が戦い終わるまで見ていたらしい。そして今、戦いを終えて未だ小休止さえ取れていない状況で現れたというわけだ。そういうダイス目だったので仕方がない。
「おとなしくそのヒスイを俺達に渡せばよし。それとも、そんな状態で俺達とやり合うか?」
 ドゥエルガルのリーダーが勝ち誇ったように言ってくる。
 小休止できていないので、使用した遭遇毎パワーも削られたHPも元に戻っていない一党だ。
 さあ、一党はこれをどう切り抜けるか、といったところでそろそろ微妙な時間となったので次回に続く。