吾は武と名誉を重んじるドラゴンボーンの戦士、へカチン。
 高貴にして神秘なるエラドリンのレンジャーと神の御業を顕す敬虔なるエルフの僧侶グエドベ、怜悧なるヒューマンのウィザードであるペンテルらと共に旅をしている。
 あてどない旅である。


 前回から色々あったのであった。
 でも、もう記憶がかなりあやふやでやばいのであった。
 ともかく、白菊村を救った後の話である。
 善神アヴァンドラを体現する男、高貴なるエラドリンが前回の自動戦闘機械状態から復帰したのであった。
「アヴァンドラとは相思相愛です」
 高貴なるエラドリンの復帰後第一声である。
「上位神が出てきたら切り捨てるが」
 アヴァンドラもお喜びであろう。
 その高貴なるエラドリン、前回降伏したミノタウロスを自らの盾とするべく同行させようと試みる。が、ミノタウロスの、
「ぽんぽん痛いから休む」
 というもっともな理由を聞くにおよび、
「じゃあ、違う痛みで緩和させる」
 ロングソードを振りまわすのであった。
 と思ったが、高貴なるエラドリンは善だからそんなことはしない。それまでの言動は全て高貴なるエラドリンの第二人格の仕業ということで一件落着したのであった。何だか、既に第二人格に乗っ取られているように思える。
 村で供養に努めんとするミノタウロスに別れを告げ、吾等は街へ事の顛末を報告しに戻ることとした。血風党の脅威はより一層強まっている。
 が、その前に大休憩をとって準備を整えるのは言うまでもない。
「ヘカチンがごねるから6時間休憩で」
「あいつ、ホントわがまま」
 休憩が4時間で済む高貴なるエラドリンと敬虔なるグエドベのコンビが酷いことを言うのだ。
 一応言っておきたいが、ヘカチンにも人権はある。


 さて、吾等はその後、何事もなく街の前までたどり着く。街中へと至る門の前では、2人の衛兵が警備に立っていた。
「警備してるフリすんなよ」
 かるーいノリで敬虔なるグエドベが挨拶をした。
「何だ貴様!?」
 当り前である。するともう1人の衛兵が、
「あ!? あなた方は!?」
 当り前でない反応。
「そう、私こそがアヴァンドラの使徒だ!」
「それはいいから」
 高貴なるエラドリンの自己紹介を敬虔なるグエドベが補足した。
 聞けば、白菊村をたった5人で救ったとして、吾等は街で噂になっているとのこと。
「困るなー。照れるなー」
「チミ達も頑張りたまえ?」
 衛兵相手に気分良くなる吾等。どうやら街は落ち着いているようである。
「血風党の人達に支配されて落ち着いてるのかもしれない」
 何故か、そう疑った吾等は町長の元へと急ぐ。いや、
「呼んで来い。行ってる暇もない」
 高貴なるエラドリンは衛兵を顎で使おうとするのだった。


 なんだかんだで、町長の元へ。
 そこには街の各ギルドの長達も集まっているようであった。町長、到着した吾等を見て、ギルド長達に紹介す。
「諸君、彼等が白菊村を救った英雄達だ!」
「そして、この街を支配する者だ」
 町長の紹介を敬虔なるグエドベが補足した。
 街の者達も血風党への警戒を強めており、その対策を話し合っているところであったらしい。
「地下水路が怪しい」
 吾等はそう指摘してやった。以前、地下水路で血風党の連中が暗躍していたのを吾等は見ている。
「地下水路狩りをしろ」
 吾等は白菊村を救ったという祝宴の最中でもそう主張するのであった。呑んで食ってしながら、
「ことは一刻を争うんだよ!」どん! テーブルを叩いた。むしゃむしゃー。
 他にも、血風党も一枚岩ではないようだという話もする。仲間割れを起こしていたようだ、と。
 町長は吾等の働きを大いに認め、金貨を1000枚ばかり与えてきた。
「この場に居ないペンテルの分とかを諦めさせると1人金貨250枚か」
 高貴なるエラドリンが非情の計算式を弾き出す。しかし、そこは敬虔なるグエドベがたしなめるのだ。
「いや、ここは町長が色々諦めれば全部手に入る」
 身ぐるみ剥ぐ気であった。善なる者に一度助けられると骨までしゃぶられる。


 街についてだが、吾等にはそれ以外にも幾つか気になる点があった。
 以前、街の住人達を扇動していた連中のことである。街を二分し、混乱させようと企んでいた、そう思われても仕方のない所業であった。間違いなく、血風党の手の者であろう。
「そういう者達は全て捕まえて額に髑髏のマークを入れるべきだ」
 高貴なるエラドリンは咎人としてその者らを処断することを望むのだ。
「悪には容赦する必要なし」
「ていうか自分以外全部悪だから」
 敬虔なるグエドベの補足に対し、高貴なるエラドリンは謝意を込め、
「お前も善ではないな。回心するなら今のうち。悪のキャラに染まっているだろう。取り除いてあげるから、言うてみい」
「全部取り除かれちゃう」
 敬虔なるグエドベは自らが無と帰すことを恐れるかのようであった。


 実はこれまでのやり取りは未だ祝宴の途中での出来事なのであった。
 メシ食いながら、こんなこと話してたわけです。
 そして、そこへセイハニーンの司祭であるデスメトーも呼ばれてやってきた。吾等は彼にも事情を説明す。
「血風党の工作員がいたのは確かなようだ」
「なるほど、この前の暴動にはそのような裏があったのですね」
 そう頷くデスメトー。祝宴に呼ばれたのだから、当然食事にも手を出す。と、高貴なるエラドリン、炯炯と目を光らせ、
「ここの食事、いくらかかると思っている? アヴァンドラのために寺院を差し出せ!」
 徳川家康並みの言いがかりで寺院を没収しようと試みるのだ。もう何考えてんだかヘカチンわかんない。神をも恐れぬ所業であろう。
「いや、今までもあったよ。何か俺、もう驚かなくなってきたけど」
 敬虔なるグエドベは悟ったような表情で高貴なるエラドリンを見守る。


 吾等を称える祝宴にこの街の領主である少年、ウィルもやってきた。
「よくぞきた」
 高貴なるエラドリンは迎え入れる。
「波があるよね。鬱陶しい時とさばさばしてる時の」
 グエドベが高貴なるエラドリンの態度について私見を述べる。それに対し、
「子供は大事だ。私より早く死ぬが」
 さて、ウィルは白菊村での話をせがむ。
「どうしてそんなに強いんですか? 僕もそんな力があれば……」
 吾等を憧れの目で見るのだ。
「千里の道も一歩からだ」
「僕も街のために戦いたいんです。それってゴッドクロスの力なんですか?」
「ゴッドクロスに頼ってはいけない」
 高貴なるエラドリンは戒める。
「このような物は、所詮あったら便利といった程度の物だ」
「俺達もそう思われてる」
 敬虔なるグエドベが、高貴なるエラドリンの中での吾等の立ち位置をそう解説した。高貴なるエラドリン、爽やかな笑みを浮かべ、
「何を言っているんだ。私達は仲間じゃないか。さあ、スクラムを組もう」
「怖いよ~怖いよ~」
「アヴァンドラよ、彼の心を直し給え。安心しろ。お前達が悪に堕ちそうになったら全力で止めてやろう」
「それ勘違いだからやめて」


 祝宴の最中、セイハニーンの司祭デスメトーが気にかかることを言う。
「そう言えば、枯枝城に……」
「カレーラジオに?」
 滑舌が悪いのであった。
「枯枝城にまた死者の群れが現れたという話です」
「ほう、それは我々を疑っているということか」
 枯枝城のアンデッド達を駆除した吾等にとっては聞き捨てならぬ。
「どういうことだ。5分で調べて来い。さもないと、アヴァンドラによって舌を抜かれるであろう」
「アヴァンドラそんなことしない」
 神の名を騙るべからずである。
 で夜になって、何故か吾等はセイハニーンの寺院へ帰るのであった。骨までしゃぶる気だ。
 途中、白菊村から逃げだそうとしたところを吾等に救われた村人と再会す。無事、街に逃げ込めていたようで重畳。正直、そんなのいたっけ? であるが、メモにそう書き残してあるから、そうなのであろう。わからねえよ、わからねえよご先祖。
「あの時はありがとうございました。皆さんのおかげで白菊村も救われました。私も白菊村に戻ろうかと思います」
 そういう村人に、
「村が大事な時に1人で逃げた村人を受け入れてくれるかなーげらげら」
 吾等は温かい言葉をかけてやるのであった。


 寺院にて、吾等は枯枝城の件について更なる話をデスメトーから聞かんとす。
「枯枝城の情報を話すがよい。ボスは誰だ。弱点は何だ」
「ボスは私です。視線に弱いです。見られたら死ぬ」
 枯枝城にどの程度の死者がいるか、アンデッド以外に何かいるか。以上の点をデスメトーに質す。
「信徒からの話ですので……3日ほどいただければ、もっと詳しいことを調べられるかと思いますが」
 なるほど。では、そのように。
 というわけで、吾等は翌日この街の名家の1つウェスト家への調査を始めるのであった。なんでだ。唐突過ぎる。経緯が全然わからんが、そうなったのであった。
「奴は血風党と関係があったのかもしれん」
 高貴なるエラドリンは、以前の暴動騒ぎでのウェストの言動を疑う。
「でも名家だしな」
「町長の台頭によって、名家の中でも相対的に発言力は低下しているらしい」
「ということは奴は居なくなってもいい、と!」
 高貴なるエラドリンがそう結論す。ゼロか無限か、の選択しかないのか。
 吾等は疑わしきは罰する、ていうか即時処刑も辞さず、という政治将校みたいな覚悟で乗り込むこととする。
 もう何なのこの人達。ヘカチン困っちゃう。困っちゃうので、チンピラと遭遇してみる。
 ウェスト家へ向かう途中、高貴なるエラドリンに、どん、とぶつかってくる者がいたのだ。
「いてててて、骨が折れちまったぁ!」
 いっそ清々しい。
「誰? 町長の息子?」
 やる気満々の高貴なるエラドリン。
「必ず自分に都合のいい相手を話に絡めようとするよね?」
 チンピラ達は5人。
「あー、こりゃひでえなあ」
「誠意をみせてもらわなきゃなあ」
 そう言い募る彼等に対し、吾等は大変心配し、
「どこが折れましたか! この手ですか!」
 ねじり上げる。
「頸椎ですか!」
 ねじり上げる。
「この人、持って帰って治療した方がいいよ!」
 拉致ろうとする。
 吾等は決して絡まれることはない。なぜなら、こちらの方から絡みに行くから。
「10円で喧嘩買わなーい? て聞いてくる相手に500万で売りつけてる感じだ」
「ぶん殴って『すまんな!』、もう一回蹴っ飛ばして『悪かったな!』てやる」
 もう吾等にとってチンピラなど相手にもならぬ。散々やって、
「わ、悪かった! もう勘弁してくれ!」
 詫びを入れるチンピラ達に対し、
「じゃあ血判状でも書かせるか?」
「背中に彫っとく?」
 もうわかったって言ってるのに。
「助けてくれ! こ、この剣をやるから」
 チンピラに似合わぬ名剣であった。具体的には+2ロングソード。
「持ち慣れないもの持って調子に乗っちゃったんだね」
「いいだろう。許す。だが、再びこのようなことがあれば転生してもらうやもしれん」
 高貴なるエラドリンはその名剣を収めながら、狂気めいたことを告げるのであった。


 そのようなことがありつつ、ウェスト家に到着。だが、当主は不在であった。
「実は当家に泥棒が入りまして」
 対応に出た執事が慇懃に頭を下げる。
「主人は衛兵詰所に被害届を出しに行っております」
「手口が同じだ! 手口聞いてないけど」
 高貴なるエラドリンはホワイトドラゴンの死体を盗まれた件を持ちだすのだ。
「ところで、何を盗まれたのだ」
「はあ、当家に代々伝わる家宝の剣でございまして……おや、そのお腰の物は……?」
 いっそ清々しい。
「お、おれじゃねえ! おれはやってねええ!」
 わざとらしいくらい取り乱す高貴なるエラドリン。なんか嬉しそう。
「今のセリフ、絶対死亡フラグだよね?」
「はめられたんだー! 俺に任せてくれたはずだ!」
 わらわら衛兵隊がやってきて、高貴なるエラドリンはつれていかれてしまいました。ノリで。
「その剣について、チンピラから渡されたのを見ていた連中も多いだろう。そいつらを連れていけば疑いも晴れる」
 というわけで、吾等はその目撃者を捜しに行くこととする。
 高貴なるエラドリンは1人衛兵詰所へと連行されたのだった。


 衛兵詰所の留置所で1人の高貴なるエラドリン。
 こんなところを敵に襲われたらどうするのだ。
 と、留置場の扉が開くではないか。見知らぬティーフリングの男が姿を現した。
「お前がカランバを殺った奴か」
「いや、彼は勝手に自害した」
「あいつはいい奴だったんだがな。俺はカランバの仲間で、ショックというものだ」
 カランバの仲間ということは血風党の仲間ということで、
「お前の持っているゴッドクロスのパーツを俺に渡す気はないか? 見返りは渡す」
 なんでこんなところに血風党の者がいるのか。最初から、ここへ連れてきて話をしようと仕組んでいたのだろうか。
「マガンテもゴッドクロスのパーツを集めるのにご執心でな。俺はそれを防ぎたい。お前のパーツを俺に預けろ」
「どういうことだ?」
「マガンテは頭がおかしいのさ。奴は戦って支配地域を増やすことしか考えてない。俺達はもう十分でかくなった。そろそろ楽しんでもいい頃だ。なのにあいつは戦いに備えろ、と鞭打つばかり。俺はもうごめんだね」
 血風党の党首マガンテに対して含むところのある言葉であった。
「どうだ? パーツを渡す気になったか?」
「お前はアヴァンドラを信じていない。答えは否だ」
「そうか。だが、考えを変えたら会いに来い。それなりの物はくれてやる」
 そういうとショックなる男は去った。
 なんで留置場に入れられた時点でゴッドクロスのパーツ没収しちゃわなかったの? といった疑問とか知りません。


 疑いの晴れた高貴なるエラドリンが解放されたのはすぐのことである。
 自らの家の名剣を利用されたウェストは、盗み出したチンピラ達を捕え、その裏に居る者を吐かせると約束してきた。
 どこまで信用していいものかわからぬが。
「よし、じゃあ行こう」
 高貴なるエラドリンは枯枝城へと向かうことにしたようだった。
 あれ? デスメトーに枯枝城の情報を探るよう依頼していたはずだが。3日待ってくれと言われていたはずだが。
 でも、行くのであった。どういうことなのだ。じゃあ、なんで頼んだのだ。嫌がらせか。常人には理解できぬ世界がそこには広がっているようであった。


 さて、枯枝城に行く途中。
 吾等はこちらに向かって駆けてくるハーフリングと遭遇する。
「助けてくれ! 追われてるんだ!」
 見れば、負傷している様子。そして、その背後から迫りつつあるのは死者の群れであった。
 ゾンビに追われて逃げきれないハーフリングというのも随分とろいと思うが、吾等はもちろん善であるからアンデッドどもを粉砕すべく武器を構える。吾等はハーフリングを庇いつつ死者どもを撃退しなければならない。
 そしたらこれがえらいことだ。
 ゾンビのできそこないは雑魚なのでまあいいとして、チルボーンゾンビ2体がこまった。
 チルボーンゾンビの傍に居ると冷気ダメージを食らってしまうのである。しかも、これらの冷気ダメージは累積する。チルボーン2体の間に挟まれていると、それだけで10ダメ。しかもこちらを凍りつかせて逃がさないようにしてくるし。
「チルボーンゾンビ100体くらい整列させて進ませれば街の1つくらい簡単に落とせるんじゃね?」
「居るだけで1ターンに範囲内500ダメージ与える計算」
 さらに倒したと思ったら自爆するし。
 とにかく、勝つには勝ったが厳しかった。ので、助けたハーフリングから詳しく話を聞くのは次回へと伸ばされる。



ゾンビのできそこない(経験値38)×6=228。
チルボーンゾンビ(経験値250)×2=500。
でかぶつゾンビ(経験値350)×1=350。


1人当たりの経験値は215。


なんか他にも敵を倒したり技能チャレンジしてたような気もするけど、もう忘れちゃったので加算してません。