自分と家族を守るためにー学んで知ろう乳がんの話ー講演会①

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去る12月2日に参加した講演会の続きです。

 

この日乳癌に携わる方ならご存じない方はいらっしゃらないと言っても過言ではないぐらいのお方、順天堂乳腺センターの霞 富士雄先生をお招きして行われた講演会。

色々な画像を見せられて正直下を向いてしまった時もありましたが・・・・・・・・あせるあせる

乳がん治療の流れの行く末についてお話して下さいました。

 

 

 

 

 

多くの先人の臨床研究の積み重ねによって、乳癌の外科手術は偏に縮小化の中にあります。

近代乳癌外科手術の基となったHalsted法は19世紀末よりほぼ100年もの間、全世界で行われてきましたが、時代と共に豊かさ、労わりの心が求められ、美的かつ運動面の配慮から温存乳房切除へと改良されました。

この間、外科的手術を否定し、欧州の伝統的な放射線単独治療も求められ、治療成績は決して劣らないものの、過照射による乳房の変形、皮膚障害が必発するため、原発巣を予め外科手術で切除しておいて、残存乳房に至敵な線量を照射する方法に到達して乳房温存治療BCTと呼ばれました。しかしそれによっても残在乳房内の局所再発は少数ながら発生し、外科的切除と術後の照射線量の兼ね合いに難問が多数存在しているそうです。

 

それでも近年の乳癌外科手術の発展は女性を大切にする伝統的な欧米化、そして女性患者を労わる社会的配慮で時代と共に手術法も発展してきました。女性を尊重する、そんな背景が外科手術の発展に貢献しているものと思います。そして現在悪性度の高い乳癌、ステージⅣ乳癌は外科手術をしないで薬だけで治療する時代となっています。因みに私がその対象です。

 

またHalstedの時代から癌が増大するにつれ次々とリンパ節に転移すると考えられてきましたが、原発巣の切除(乳房切除、乳房温存手術)の縮小、改善と共にリンパ節転移とはいかなるものかと言う疑問も近年に至って大きく取り上げられました。

そして病理検索では長い間気づかれなかった微小転移mic,血液中の循環腫瘍細胞CTCや骨髄中の微小転移DTCの発見、腫瘍と生体の免疫学的相関などの生物学的諸事実が次々と明らかになり、センチメンタルリンパ節生検を通り越して、腋窩リンパ節転移する事は単なる物理的な現象ではなく、癌に対する生体の防衛機構の敗北の的であって、全身的な薬物療法(抗がん剤、抗ホルモン剤、分子標的薬など)が治療の主体となり、外科的郭清の必要は少ないものと判断させるようになって来ました。しかしもし治療前に明らかにリンパ節転移が存在している場合には郭清に準ずる摘出を行った上で全身治療を加えるのが至敵と考えられるそうです。

 

よって腋窩リンパ節転移の臨床的意義がこれまでの単に物理的現象ではなく、生体と癌の組織の複雑な生物的関係によってもたらされている事実が次第に解明されてきた事に伴い、原発巣のまずまずの薬物治療効果を考えると将来乳癌の治療は薬物治療単独に集約される事に近い将来なるかもしれないと霞先生はおっしゃってました。

 

 

 

乳癌は自分だけでは大きくなりません。血管が呼び起こして大きくなっています。

そして現在様々な外科が存在します。整形外科、小児外科など・・・・・・、しかし近い将来乳腺外科はなくなり乳腺科となる可能性も充分にありえるとおっしゃっていました。

先ほどもお伝えした通り私は最初から手術不可能、根治は難しいと言われました。薬物のみでの治療しか出来ませんが、ハーセプチンが開発されたおかげで本当に助けられています。

そしてもし、パージェタ、ハーセプチンが効き目がなくなったら、「カドサイラ」と言う薬を投与すると次の薬まで既に決まっているそうです。

 

最後に霞先生はこんな事をおっしゃっていました。「Halsted法で手術をした患者さんが先生のおかげで今でもこんなに元気に過ごしています。本当に感謝しています。と訪ねてきてくれる患者さんもいますが、こんな事をしなくてもこの方の命を救えたのに・・・・・・・。」と思っていらっしゃると・・・・・・・・。医学の発展と共に命を救ってきたはずのお医者様ご自身が背負うものを背負っていらっしゃるのではないのかと・・・・・・・。正直複雑な気持ちになりました。

医学の発展の裏にはさまざな犠牲になったものが存在します。例えば動物実験。動物の命が犠牲になっています。自分一人だけで助かっているわけではないという事を改めて実感した講演会でした。

 

 

 

この講演会で先月参加した若年性乳癌の交流会でお会いした方と再会しました。

今週末みんなで会います。凄く楽しみです。癌にならなければ会う事がなかった掛けがえのない仲間たち。色々なお話が出来ればと思います。

 

長々とお読み頂きありがとうございました^^

誤字、脱字があったらすみません。