ー旅立った仲間達に捧ぐ、また旅先のどこかでー
nomadland、2021年アメリカのクロエ・ジャオ監督作品。
アメリカの広大でどこまでも果てしなく広がる砂漠で
ノマドとして一台のバンを家にして移動しながら暮らす、女性の物語。
日本公開当時に王様のブランチで紹介されていたのを見て、ずっと気になっていた作品。
漸く鑑賞することができました。
nomad:定住地を持たないこと、遊牧民、放浪者
ノマド、という言葉は正直この映画の存在を知るまで知らず、
巷でノマドワーカーという言葉を聴くようになってからやっと
何となく意味を知るようになりました。
家をもって定住する、ということ。
家を持たずに放浪する、ということ。
思い出の場所やモノと生きる、ということ。
思い出を胸に生きる、ということ。
家族と生きる、ということ。
集合体の中で生きる、ということ。
自然とともに生きる、ということ。
資本主義の中に生きるということ。
様々な劇中の中での対比から、
生きるとはなにか、
ひととはなにか、
そんなことを考えさせられた。
ノマドの暮らしでは、
さよならは言わず、また会うときまで、と言って別れる。
それは本当に何日か後に会う時が来ることもあれば、数年後にその時が来ることもあるし、
そのことを知っているからそんな風に言葉を交わすことができる。
また会うことはあっても、さよなら、はない。
いつかまた、どこかで会える。
大切な何かや誰かを失う経験をして、傷ついた高齢のノマド達は
そんな体験を重ねながら
”いつか、失った人とも同じようにまた会う時が来る。”
そう、だんだんと悟っていく人生の旅路にいるようにも見えた。
離れていても、その人の所在が分からなくても
心の中に大切な人の存在は、思い出はあり続ける。
カタチあるものはいつか壊れる。
そんなことを教えてもらった作品でした。