50歳代の男。いわゆるおじさんの心情をきめ細かに書いているところに惹かれ、松重清著「ファミレス」に続けて読んだ一冊。特に印象的なのが「正しさは必要だけれど正しさと正しさがぶつかると争いになる」という言葉。言っていることは正しいのだろうがそれをやっていたら壊れてしまう人や組織があるということ。お互いに少しずつ歩み寄って平和的な結果を残せればいいのだが、意地を張って分かり合おうとしないことがある。理想を追求するか、人や組織を守るのか、難しい選択が多くなったように感じるのはここに書かれている登場人物達と年齢が近くなったからなのか、それとも社会がそうなのか。