テレビなどの影響で、下町の町工場の存在や匠などと称される、熟練技術工などが多少スポットライトがあてられる時期がありましたが、基本的に製造業=3K(きつい、汚い、危険)というネガティブイメージがあるのは否定できないと思います。

建設業にもおそらく同じ状況があって、製造業では現場スタッフはASEAN系、建設業の現場では中央アジア系と思われる人々を見かけるのが普通になってきていて、日本人にとって、製造業というのは、ある意味ものすごく遠い存在なのかなと感じます。

 

 

弊社も決して小さくない(と、思っている)30数人規模の工場です。

お客様の様々な要求にお答えするには、当然横のネットワーク(外注を含め、業界内外の知り合い)を頼るケースが多々でてきます。

ちょっと助けてもらえない?は、いい時・悪い時どちらであったとしても、問題を解決する、リアルな行動なわけです。

 

さて、他の工場が制作した金型を、お客様が必要とする結果に導く場合。

 

 

プラスチック金型の場合、業界内にいる人間であれば、その成形された製品を見れば大体の原因がわかりますし、金型を見てどういう方法で改善できるか、判断する能力があります。

弊社のスタッフも改善案はしっかり持っています、でも言わない。

業界内出身でも技術者でもない私、さらに言葉が違うわけです、最初は単純に”できないのね”とか”その技術がうちの工場には欠けているのか”と、思っていました。

 

欠けているのは、実は技術や能力ではなく、”対話”。

つまり、技術者や外国人が理解できる言葉で、彼らの思いを引き出してあげることなのです。良く言われる、”技術屋は、話し下手”。技術担当がセールストークできるのであれば、営業担当はいらないわけです。

 

例えば、お客様が金型技術全てわかるのであれば、金型屋である弊社は単なる製造マシーンで、それで良かった時代も長くあったと思います。先代がまさしくこの”技術屋”で、その実力と背中で生きてこられました。しかし私は、業界知識も技術もないので先代と同じことはできません。お客様もまた、変わってきています。私にたまたま違う業界経験があったから、この差に気がついたわけです。ここを間違ってしまうと、きっと、社員に信用されない裸の王様ができあがってしまいます。

 

ちょっと助けてもらえない?は、弊社にとって、自分にとって、まさしく成長に必要な、ある意味注文よりも大切なご依頼。

こんなのばっかりやってるから儲からない…と言われればそれまでですが、困っている時に、思い出してもらえる存在になれていること。実はとっても価値のあることだと思っています。

 

問題解決できたら、お客様に一言;

今度は、新型おこす時から弊社にしてくださいね!

 

まだまだ杭州で生きていきます。

 

仕事上の”ちょっと助けてもらえないかな?”は、中国でもよくある話です。

 

5-6年前までは、近所の工場から弊社の設備を”ちょっと貸してくれない?”ということが結構あったのですが、今はさっぱりなくなりました。

こんな日常のことからも、中国で日本の設備が普通に買えるようになったこと、中国ローカル企業それもかなり小さい工場でも、海外とのルートがあるということにきづかされます。

 

時代・とりまく環境が変わっても、普遍的に弊社に来る”ちょっと助けてもらえないかな?” この大半は、他社さんで制作した金型の修正依頼です。

 

価格の安いところ(もしくは金型代無料)で制作した金型ができあがり、トライしているものの、なかなか(他部品との)嵌合がうまくいかず、プロジェクトが半年以上遅れているなんているのは良くある話で、金型屋が修正に応じてくれない、電話に出てくれない… なんてところまでこじれている案件もザラに存在します。決して小さい企業だけではなく、誰が聞いても知っているような中国大手メーカーでもこういった状況が存在しているのです。

 

もちろん、金型そのものの品質が問題であることもないわけではありませんが、大半は、金型の問題ではなく、”後出しジャンケン”。

つまり、最初に求められていた仕様とトライで求められた仕様が異なり、金型を修正し続けたあげく、金型屋側がもうやらない!と言い放ち、本来欲しい製品ができあがらない…という問題。

 

仕様に基づく金型を作り、寸法も図面通り出ている。多少の調整はもちろんどこの金型屋も応じますが、度をすぎるとプロジェクト自体が頓挫し、誰も解決策を出したがらない(責任の所在と費用)問題が発生するのです。

 

こちらでは、金型代の3-5割程度を前金として、9割ぐらい支払いを受けないと金型を渡さないところも多いので、金型屋にも発言権がかなりあります。金型屋事態がリスクをきちんとわかって、事前に対応しているわけです。逆に前金なしの金型は、どんな小さい規模の会社でも、よほどの事がない限り、受けないところがほとんど。

 

こちらに進出している日系成形メーカーさんの話を聞くと、お客様(日系企業)の金型がものすごく安く、しかも支払いが量産開始から12-24ヶ月後がほとんど。前金は”別にいいよね?”の一言が大半だそうです。結局この成形メーカーさんが立て替える事になり、日本の製造業の弱点が、まさにここにあると言わざるをえない状況が存在しています。

 

ちょっと助けてもらえない?② へ続きます。

 

 

 

日本では中国のコロナ禍について、いろいろと報道されているようですが、ここ杭州では72時間ごとのPCR検査結果に問題がない限り、比較的自由に動けています。

最近は、出張にも行けるようになり、少しづつですが、小さなワクワク感を味わうことができています。

 

 プラスチック成形同業の中国ローカル企業社長さんとお話をしていて、環境問題の話題になりました。

 

この社長さんは、40代前半・上海出身の方で、欧米化粧品メーカーや中国新鋭化粧品メーカー、日本の企業とも取引をしていて、ここ数年は海外との人の交流ができないことを、とっても残念に思ってらっしゃる方です。

そんな時に私が行くと、当然のことながら新しい情報を聞きたいと目をキラキラさせてもてなして下さいます。

 

プラスチック製品のエコ化について、すでに取引先からの要求があるのでいろいろと情報を集めているとのこと。

彼の目は、取引先が海外企業が多いこともあり、海外に向いていますが、その後に考えるのは中国国内のこと、そして自分の工場。

 

(以下社長の話)

 コストや市場から考えると、バイオマスやリサイクル材がいいけど、バイオマス技術は中国はダメ。リサイクル材も信用できない部分がある。他の材料に変えると、ウチ(自分の会社)潰れちゃう。詰め替えは中国人の概念にはまだ早すぎるし、今の時代で見た目が悪いのもダメ(加飾を減らすのは厳しい)、結局中国には原材料をコミットする技術はないし、海外の技術に頼らないとね。でも、それをウチが先駆けてやっていかないとと思っているんだよ~。いい材料技術のある日本の企業をさ、中国につれてきてよ。一緒にやっていきたいんだけどな…

 

 実際にこういった考えを持つ、40歳前後の中国人経営者は確実に、増えています。

中国に出たら、海外に出たら、日本の技術を盗まれる・国益が…という話は何度も耳にしています。実際、杭州に出て30年近くになる弊社も、日本からは”中国でしょ?”と意味ありげな話し方をされることがほとんど。

それでも、もっと技術向上・品質向上をしたい、価値のある仕事をしたいと思っている心は、そのレベルの違いこそあれ、世界中どこでも同じだと思っています。自分の工場で製造した製品、自分が携わったプロジェクトから生まれた製品が、世界中のどこかで使われ、誰かの役に立っている。その気持ちがまた新しい何かを動かす。

 

中国や海外(特にアジア)に進出した、もしくはアジア圏の製造業であると言ったときの、なんとも言えない空気の意味が、十分わかった上であえて断言したいと思います。

 

日本の優れているところは、技術や品質ではなく、それらを高め常に努力していく力・そしてそれを現実のものする力。

それは、どの国よりも優れているし、基本を丁寧に・さらに継続して向上させていくことは、誰にでもできることではなく、とうてい真似できるものではないのです。

 

少なくても、自分の工場ではここを一番大事にしています。