梅雨のときは、体育館練習が多くなります。
私は体育館練習ではサッカーはほとんどせずに、身体能力を高めることを狙いにして練習を組んでいます。
特に「足の速さ」を伸ばしたいと考えて、昔からいろいろ研究しています。
今回はある日の体育館練習の様子を書きたいと思います。
90分の練習です。
最初の20分は「ボールを手に持った人が鬼でタッチしたら鬼交代」という、原始的な鬼ごっこです。
その際に「足が速い奴をタッチしたら気持ちいいぞ!足が速い奴を狙え!」「逃げる方は、ただ体育館の隅っこにいてもおもしろくないぞ!わざと鬼のそばにいって『俺のことタッチしてみろよ』くらい言ってから逃げてみろ!」と煽ります。
とにかくその20分の間、全力疾走の時間を増やしたいのです。
足が速くなる土台として、全力疾走の絶対量の多さはあると考えています。
そのことをchatGPTにまとめてもらいました。
「足を速くしたいなら、まず何をすべきか」。この問いに対して、最も基本的で効果的な答えの一つが「全力で走る回数を増やすこと」です。小学生年代では筋力そのものよりも、脳から筋肉へ命令を送る神経系の発達が大きく影響します。全力疾走を繰り返すことで、地面を強く押す感覚や脚を素早く動かす能力、スタート時の爆発力などが自然と磨かれていきます。
また、鬼ごっこのような遊びは特に優れたトレーニングです。相手を追いかけたり、逃げたりする中で、全力疾走だけでなく急加速、急停止、方向転換、反応といった動作が何度も繰り返されます。子どもは「練習をしている」という感覚ではなく、夢中になって遊びながら最高速度に近い走りを何度も経験できます。
近年はボールを使った技術練習が重視される傾向がありますが、その土台となる身体能力を育てることも同じくらい重要です。速く走れる身体は一朝一夕には作れません。だからこそ、子どもが楽しみながら全力で走る機会を数多く用意することが、将来のスピードと運動能力を伸ばす大きな基盤になるのです。
話は逸れますが最近、chatGPTの能力がかなり上がったように思います。claudeも相変わらずめちゃくちゃ高い水準ですが、対話ということに関しては感覚的にはchatGPTが追い付いてきた感じがします。最高のLLMの世界では、抜きつ抜かれつの競争なのでしょう。
話を戻します。
次にやったのは「所謂足の速くなる練習」です。
まずはもも上げです。
【◯秒早くなる!?】足速くなりたい人必見!!ボルトと共に世界を見た男とドリブルを進化させてみた!!
私としては、この動画の練習は非常に効果があると考えています。
ポイントとしては、たとえば左足を上げた状態から降ろすときに、同時に右足を上げる、というところだと思います。
さらに「サイクリング」です。
(191) これができる人足が速い【サイクリング編】#足が速くなる - YouTube
さらに↓ウサイン・ボルトの1分52秒~の練習です。
(191) ウサイン・ボルト 王者のトレーニング | King's training Usain Bolt - YouTube
これらの詳細な分析は2年くらい前にブログで書いたので、詳しい理論的根拠は割愛します。
さらに「四足歩行」です。
これは継続的に行ってきていることです。
今は主に3種類を重視してやっています。
まずは普通の4足歩行です。
次に、仰向けになって足裏の力で地面を押して、頭方向へ進むというものです。
さらにほふく前進です。
これらのことを今度はclaudeにまとめてもらいました。chatGPTも凄いのですが、やっぱりclaudeは専門的なことに答えてくれる感じがあります。chatGPTは普通の対話用、claudeは仕事用という感じもします。
四足歩行系の動きは、子どもたちの身体能力を高めるうえで科学的に重要な効果をもたらします。ここでは代表的な3種類の動きについて整理します。
まず普通の四足歩行です。二足歩行では使われない上肢荷重のパターンが強制されることで、肩甲骨周囲筋や深部体幹筋が同時に活性化されます。また、対側の手足を交互に動かす動作は、脳の左右半球の連携を促進し、神経発達の観点からも重要な効果があります。
次に、仰向けになって足裏で地面を押しながら頭方向へ進む動きです。これは殿筋・ハムストリングスを使って地面を後方に押す動作であり、スプリントの推進力と直結しています。足裏全体で地面を捉える感覚(グラウンドコンタクト)の習得にも優れた効果があります。
そしてほふく前進です。体幹の回旋安定性、肩甲骨と骨盤の分離運動、さらに通常のトレーニングでは見落とされがちな筋群の活性化など、最も多面的な効果をもたらします。
これら3種類に共通するのは、発達運動学的な「原始パターンへの回帰」という点です。人間の運動発達は、寝返り・ほふく・四つ這い・立位という順序をたどります。この原始パターンを繰り返すことは、運動の神経的土台を再構築・強化することに相当します。
サッカーに必要な体幹安定性・地面反力の活用・対側協調は、ドリブル・急停止・方向転換の質に直接影響します。一見サッカーと無関係に見える動きこそが、競技パフォーマンスの土台として機能するのです。
見ていると、この3つの動作がすべて上手い子は、私のクラブには1人もいません。
そして私が思うのは、どんなに足が速い子でも、実は自分の得意なある一つの運動にかなりの部分依存しているのではないかということです。
それを上記した3つの原始的運動をやると、意外なほどにまったく使えていない神経系がわかってきます。
シナプス形成やシナプス可塑性によって神経回路が発達するという観点からすれば、使えていない運動回路を使うことは効果があるのではないかと考えています。だからこそ、うまくできない原始的運動は継続してやった方がいいなと思っています。
さらにやったのがラダートレーニングです。
様々なラダートレーニングをやることは、シナプス形成やシナプス可塑性によって神経回路が発達するということで特に、小学生年代では非常に効果があると私は思っています。ラダーの中でも1つの動作を徹底的にやるというよりは、多彩なメニューを短い時間でどんどん回していくのが効果があると考えています。
ここで90分の練習が終わりました。
私としては非常に手ごたえがありました。
身体能力を高めるきっかけになる練習をできたかなと思うと同時に、最近非常に子どもたちが意欲的になってきたのです。
うちは戦績的には弱小クラブで、雨の日の体育館練習というと、ほとんどの子が練習に来ないことは通常です。
ですが今回の練習では、なんとほぼ全員が練習に来ました。私は意外なことがあるものだとびっくりしました(笑)。
そして練習前を見ていると、みんなボールを楽しそうに蹴っているのです。だいぶ意識が変わってきたのかなと思いました。
それで練習前に言いました。「今日は体育館練習で、サッカー全くやらないよ。で、みんなワールドカップ見ていて、エンバペとかメッシとかヤマルとか久保建英とか中村啓斗とか見たよね。みんなめちゃくちゃ上手いよね。それはそうだけど、みんな足めちゃくちゃ速いし、すばしっこいし、身体強いよね。サッカーで活躍したいと思ったら、技術を身につけることも大事だけど、その前に大事なのは足の速さだったりすばしっこさだったり身体の強さだったりの身体能力だよ。そもそもそこがなかったら、ワールドカップなんかでれないという世界だよ。だから今日90分、サッカー全くやらないよ。それで『つまらない、手を抜こう』という奴がいるならば、それはそれでいいよ。でもサッカーで活躍したいならば、おもしろくはないかもしれないけど、こういうところで一生懸命やれるかどうかは大事だよ」
コーチ経験者の方や管理職等のそれなりの人数を束ねる方ならわかると思いますが、こういう声掛けは半分モチベーション作りです。
でもその組織において、これは子どもも大人も関係なく、そこで盛り上がって「よし!やろう!」という組織と「なんかコーチが熱く語っているけど、うざいわー」みたいになる組織と、両方ある気がしています。
これって永遠の課題な気がしています。
そして最近、私がこういう声掛けをすると、大多数の子が「その気になって」くれるのです。
それで一生懸命、サッカーをまったくやらない練習でも取り組んでくれるのです。
ある子がラダーの最後を手抜きしたときには「最後手抜きしたな!おまえ本当にそれでいいの?最後までやり切らない人間になっていいの?」とか言うと、本気で次から改善するのです。
それで練習後に「コーチ!俺、今回の練習一番きつかった!でも身体強くなった気がする!」とか言ってくる子(R君)がいるのです。
R君は私の半分はったり(?)の言葉を信じて、一生懸命やって、それで練習後非常に満足しているのです。
そして今クラブが非常にいい感じになってきたのは、R君みたいな一生懸命な子が増えてきたからだと思います。
ただ難しいのは、R君は元々「いい奴」だったということです。
そう考えると私の勝手な観点では、コーチとか管理職とかの仕事って、いい奴がいかにその組織で中心にできるかということな気がしています。私はその点でR君を大々的に褒めるわけです。
たとえばR君は練習終わりに低学年の子が残していた飴のゴミをそっと自分のバッグにいれました。次の練習で私にその低学年の子が怒られると思ったのだと思います。私はそれを見つけて「Rよ!おまえ本当にいい人間だな!おまえみたいな奴は絶対に幸せになるぞ!」と言いました。これは本心です。R君はあまりに褒められるから恥ずかしそうでしたが(笑)。
でもR君みたいな子がうちのクラブでは一番うまいわけですから、クラブはいい雰囲気になりますね。これはコーチとしての私の運の良さだと思います。でも運の良さはバカにできません。むしろ努力した後は運の良さの勝負でしょう。
運が悪い人はやっぱりいますよね。
私は実は、自分の人生での一番の武器は運の良さだと思っています(笑)。
そしてどの組織にも、その組織の足を引っ張る人間は必ずいます。それは大人も子どもも関係ないと思います。
そしてそういう人間の影響力をいかに減らすかというのは、組織として大事だと思います。
といいますか、実はなんだかんだ世の中の組織で大きな部分を占めるのが「いかにその組織文化を腐らせないようにするか」だと思います。
どんな規模でもリーダー的な立場の人にとっては、そこは最も気を使うところではないでしょうか。
そう考えると、人間の集団っておもしろいなと思います。