ルフィの「夢の果て」とは何か

出典:『ONE PIECE』(C) 尾田栄一郎/集英社 1060話

 

この謎は『ONE PIECE』最大の伏線のひとつです。
まず、結論からお伝えしましょう。 
私の考えでは、その答えは――「全世界を一つの国にすること」――ではないでしょうか。

 

 

 1. 分断された世界

ルフィのいる世界は、海とレッドライン(赤い土の大陸)によって国々が分断されています。

 

 

アラバスタではコブラ王、ドレスローザではリク王、そしてチョッパーの故郷・ドラム王国(現サクラ王国)ではワポルが統治していたように、それぞれの国が独立し、時に争いを繰り返していました。国と国の間の交流は少なく、海はまさに人々を隔てる象徴でした。

 

ルフィは、その“隔たり”である海と壁をなくし、陸を動かして世界を一つの大陸にすることを夢見ているのではないでしょうか。

 

2. 古代兵器による「大陸」再生計画

その鍵となるのが古代兵器――プルトン、ポセイドン、ウラヌス――です。

 

ポセイドンであるしらほし姫は、海王類と意思疎通ができる存在。ジンベエが「魚人の本気は海流を変える!!」と語っていたように、海王類たちはより大規模な海流を操ることができる。その力は、地下内部のマントル対流に影響を与え、最終的にはプレートと呼ばれる地上の表面を動かす可能性があります。

 

出典:『ONE PIECE』(C) 尾田栄一郎/集英社 901話

 

しらほしが海王類に命じて海流を動かせば、大陸地殻さえも動かすことができる――それは、マダム・シャーリーの「ルフィが魚人島を滅ぼす」という予言にも繋がるのかもしれません。

 

出典:『ONE PIECE』(C) 尾田栄一郎/集英社 610話

 

一方、プルトンは一発放てば島ひとつも消してしまう「破壊兵器」とされています。

 

出典:『ONE PIECE』(C) 尾田栄一郎/集英社 193話

 

その役割は、レッドライン――世界を二分する巨大な大地――を破壊し、マリージョアを含む地盤を崩すことなのではないでしょうか。

 

つまり、ポセイドンが海を動かし、プルトンが障壁を壊す。

 

この二つの力によって、二つに分かれた海とバラバラな大陸を繋ぎ、

世界を「ひとつなぎ」にできるのです。 

 

3. 現実世界からの着想

この発想は、現実の地球の歴史にも根ざしています。

 

地球にはかつて、現在の全ての大陸が一つに繋がった超大陸パンゲアが存在していました。プレートテクトニクスの働きによって分裂・移動・衝突を繰り返し、現在の地形が生まれたとされています。つまり、地球ももともとは「一つの大陸」だったのです。

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現実の国々もまた、分断された土地の上でそれぞれの支配者が政治・経済・軍事を行い、利益をめぐって対立しています。しかし、もし大陸が一つであれば、すべての人が同じ土地に暮らし、共存を余儀なくされるでしょう。飢餓や戦争は完全にはなくならないとしても、大幅に減少する可能性があります。

 

ルフィの夢は、そんな理想の世界――かつて存在した「ひとつの大陸」――の再生なのかもしれません。

 

4. ルフィの「選択」

シャボンディ諸島でレイリーがロビンに答えた「ゆっくりと世界を見渡してその後に導き出す答えが我々と同じとも限らない・・・!!」という言葉は、「世界を動かす(大陸を動かす)力を得たとき、それを使うか否か」という選択を指しているのではないでしょうか。

 

出典:『ONE PIECE』(C) 尾田栄一郎/集英社 507話

 

ルフィは世界中を旅し、各地の不正を正し、人々を自由に導いてきました。その行動の一つひとつが、いずれ世界が一つになったときに争いが起きないよう、平和の土台を整えるための旅だったとも考えられます。

 

結論:ルフィが目指す「ひとつなぎの大秘宝」とは

「ワンピース」とは、単なる財宝ではなく、世界を一つにするための「仕組み」そのもの。そしてルフィの「夢の果て」とは、世界を物理的にも精神的にも一つに結びつけること。
それはジョイボーイの意志を継ぎ、ロジャーの笑いの意味を受け継ぐ、真の「自由」への航海の終着点なのではないでしょうか。