ねぇ神様、お願い

僕の話を聞いて

あの子の処に行きたい

険しい道だってわかっているよ

でも

逢わなくちゃダメなんだ

逢って伝えなくちゃ

だからお願い・・・










0時までには戻るって約束するから

雪の降る寒空の下

ただ僕は走り続ける

手足はかじかんで痛いけど

吸った空気は冷たいけど

前へ前へ・・・

あの子の待つ場所へ





諦めなかった

諦められなかった

誤った選択だったとしても

悔いは遺したくないから










大きな時計台の下

彼女は待っていてくれた

時計を見れば23:55

あと5分しかないけれど

想いを伝えるんだ

走る速度を緩めれば

彼女は僕の事に気づいて笑いかけた

痛む胸を押さえ付けて

抱きしめた



強く強く


もうこれで最期だから

もう逢えないから

強く強く忘れないように

僕の声はもうでないから

ただ抱きしめるよ

これで気持ちが伝わる事を願って・・・







そっと身体を離し

彼女の唇にキスを落とせば

頬を涙が蔦い

淡く儚い時間は終わりを告げた











あいしてるょ・・・
俺達は東の小さな町で育った
魔法はあまり使われておらず
人と自然が共同する数少ない町の一つだった

だからかな?

人を信じていた

悪なんてものを信じていなかった・・・




幼い俺と悠姫は産まれたときから一緒にいた
双子というわけでもなく
血が繋がっているわけでもない
でもずっと一緒だった
















「李玖!行くぞ!」

そう言って金色の髪を靡かせていつも俺の前を走っていく

「まっ、待って」
ただ追い掛けるしかできなかったあの頃

とても悠姫は強くて正義感が強くて俺の憧れだった


いつもみる後ろ姿を
いつか隣に並べるようになりたいとすら願っていた



「遅い李玖!」

山のてっぺんには笑顔の悠姫
それが普通の日常

それが俺達の思い出















でも、

幸せな日々は崩れた
部屋に着くなり
我は枕を壁に投げつけ
目一杯殴った

悔しい
悔しい
悔しい・・・

いつも助けてもらってばかりだ
まぁそのためにアイツはいるんだが。

でも昔はこれほどまで力に差があった訳ではないのに

というより
奴はもっと優しかった
逆に我が助けてあげていたというのに・・・

そう、昔は・・・