二時の開湯その紳士も、二時の開湯を待ちかねたように一番湯につかる。そのうち懇意になり、「あたしゃ痔が悪いので昼間っから湯につかるのだ。きみも痔が悪いのかね」と訊かれたので、「下宿に風呂がないので来てます」と答えた。「ほう、きみはなにをやってるのかね」と訊かれたから「へえ、すぐそこのポロい出版社に勤めているケチな野郎です」と答えたら、紳士は「わたしはそこの社長ですよ」と言った。