こんにちは、あさひです。今日は、教員として働きながら転職を考え始めた時の葛藤について、お話ししたいと思います。

日常の中の違和感 - 芽生え始めた疑問

職員室での会話 - 繰り返される日々

春の穏やかな日差しが差し込む職員室。新学期が始まって1ヶ月が経ち、日常のリズムが戻ってきた頃のことです。

「はぁ、また今年も同じことの繰り返しか...」

ふと漏れた同僚の言葉に、はっとしました。振り返れば、確かに毎年似たようなサイクルの繰り返し。新入生を迎え、文化祭や体育祭の準備に追われ、そして受験指導...。

「自分も同じことを言っているんじゃないだろうか」

その日以来、日常の中に小さな違和感を感じ始めるようになりました。

進路指導室での出来事 - 自信が揺らぐ瞬間

梅雨の蒸し暑い日、進路指導室で3年生の明子さん(仮名)と話をしていました。

「先生、私、IT企業に興味があるんです。でも、どんな仕事があるのかよく分からなくて...」

その瞬間、言葉につまってしまいました。IT企業の具体的な仕事内容、求められるスキル、業界の最新トレンド...。私には詳しく説明できる知識がありませんでした。

「ごめんね、先生もよく分からないんだ。一緒に調べてみようか」

そう言いながら、自分の無力さを痛感しました。生徒たちの将来を導く立場なのに、社会の現状をどれだけ理解できているだろうか。その疑問が、私の中でどんどん大きくなっていきました。

転機 - 友人との再会

同窓会での衝撃 - 広がる世界の発見

夏休みのある日、大学時代の同窓会がありました。久しぶりに会う友人たちとの会話は、新鮮で刺激的でした。

「海外事業の立ち上げに関わってね、毎日が学びの連続なんだ」
「新しい技術を使って社会問題解決に取り組んでるよ。やりがいあるね」

友人たちの話を聞きながら、自分の世界の狭さを感じました。彼らの目は輝いていて、その言葉には情熱が溢れていました。

「私も、もっと広い世界を見てみたい...」

そんな思いが、心の奥底でむくむくと膨らみ始めました。

葛藤の始まり - 教壇に立つ意味

その日以来、授業中や部活動の指導中、ふとした瞬間に考えてしまうようになりました。

「このまま教員を続けていていいのだろうか」
「でも、目の前の生徒たちのために全力を尽くすべきじゃないか」

生徒たちの成長を見守る喜びと、新しい世界への憧れ。その狭間で、私の心は揺れ動いていました。

決断の瀬戸際 - 去る?残る?

転職サイトを眺める夜 - 心の葛藤

秋の深まりとともに、転職への思いも深まっていきました。

ある夜、こっそりとスマホで転職サイトを眺めていると、魅力的な求人がたくさん目に入ります。教育関連企業、IT企業、コンサルティング会社...。どれも興味をそそられます。

「この仕事なら、私の教育経験も活かせるかも...」

そう思いながらも、翌日教室に立つと、生徒たちの笑顔に心が温かくなります。

「やっぱり、この子たちのそばにいたい」

そんな気持ちと「新しい挑戦がしたい」という思いが、毎日のように心の中でぶつかり合いました。

進路相談会での出来事 - 迷いが確信に変わる瞬間

11月のある日、3年生を対象とした進路相談会がありました。様々な業界から社会人の方々が学校に来て、仕事の話をしてくれる機会です。

私は司会進行を担当していましたが、ゲストの方々の話を聞きながら、自分の中で何かが変わっていくのを感じました。

「教育って、学校の中だけじゃないんだ」
「社会全体が、子どもたちを育てる場所なんだ」

そして、生徒たちの目が輝いているのを見て、ハッとしました。

「私も、あんな風に社会の最前線で働く大人になりたい。そして、その経験を持って、また教育の世界に戻ってきたい」

その瞬間、長い間の葛藤が、一つの決意へと変わりました。
 

結びに - 新たな挑戦への一歩

冬の寒さが厳しくなる頃、私は校長先生に異動の希望を伝えました。驚かれましたが、私の思いを話すと、温かく背中を押してくれました。

「あさひ先生、外の世界で学んでくることも、立派な教育者としての成長だと思います。いつでも戻ってきてください」

その言葉に、勇気をもらいました。

教壇を離れる決断は、簡単ではありませんでした。でも、より広い視野を持って生徒たちの未来を支えたい。その思いが、私の背中を押したのです。

新しい挑戦への不安はありますが、それ以上にワクワクする気持ちでいっぱいです。

きっと、この経験が、いつか教育の世界でも活きる日が来る。そう信じて、私は新たな一歩を踏み出す準備を始めました。

教員として感じた葛藤と、新たな決意のお話でした。

 

END

 

教員を辞めたいと言った初任教員の苦悩と私の後悔|教員の現実と転職の可能性