9月5日から7日、北千住の1010シアターにて、たった4回しか上演しないDramatic super dance theater「サロメ」を2公演観ました。
サロメというお話は、高校生の時に短編小説で読んだのですが、あまりにも短かったので、あれは作品の一部だと思っておりました。もともと短い作品だったのですね。それなのに、解説文の方が長かったです。
その本は、もう手元にはありませんが。
ヨカナーンって、あのヨハネでしょう?
あ、あのヨハネもどのヨハネも、ヨハネに関して詳しいわけではないのですが。
王女の身分を持つ少女が、どうして自分の身を滅ぼすほどに殉教者を求めてしまったのか?
愛なのか、プライドなのか、憎しみなのか。
サロメは、美人でダンスが上手な古代のお姫様ですよね。
それを東山義久くんが演じるとのことで、すごく期待していました。
なんて美しい…
38歳の東山義久くんのサロメは、さぞかし迫力のある妖艶さで、7枚のヴェールを派手に脱ぎ捨てながら舞うのだろうと思っておりました。
予想とはだいぶ違っておりましたが、期待以上の素晴らしさ、東山くんの表情に心が痛くなりました。
最前列の最高に良い席で、観劇できました。
特に6日の昼公演。幕が降りる時意外は、誰一人拍手しませんでした。
サロメを題材にした舞台作品は、台詞中心の悲劇や、オペラなどがあるようですが、
ほとんどセリフに頼らないDramatic super dance theater「サロメ」
台詞をいう人物は、エロド王役の桜木涼介くんと、3人の近衛兵、中塚くん、泰ちゃん、トシくんのみ。
主役のサロメも、その想い人ヨカナーンも一言も台詞のない。それゆえ、観ている側が勝手に脳内アテレコしてしまう不思議な舞台でした。
パンフレットやらなにやらを参考にして、観劇の感想を書きます。
でも、アタシの駄文、誤解と曲解の記憶力と、妄想の暴走でしかない想像力を駆使した結果ですので、間違った解釈や感想を持たれると不機嫌になる人や、これから出るDVDを楽しみにしている人は、以下の駄文は回避してください。
サロメはユダヤの王家の娘。父王は、サロメの母である妃エロディアに裏切られて処刑された。
かわりに王座についたのは父王の兄、サロメの叔父であるエロド。
エロド王は、サロメの義理の父ですね。パンフレットには、世界征服を夢見ている狂喜の王とありましたが、この公演の桜木涼介くんのエロド王は、逆に、それを後悔している小心者にしかみえませんでした。
エロディアに担ぎ上げられて先の王を抹殺し、王座についたけれど、敵国との戦況は厳しく、気弱でヒステリックで、災いを恐れている。そんなダメダメな王様だから、きっとエロディアの次の裏切りが自分に向くのを恐れているのでしょう。
エロディア妃は桐生園加さん。権力志向の強い女で、常に力のある男に身を委ねてきた。何か思惑があれば、王妃の気品など脱ぎ捨てて、家臣にまで媚びうるように、次々と相手を変えて品のないダンスを踊る桐生さんが素敵です。
二人とも、娘の立場では信用も尊敬できませんね。はい。サロメは、二人ともキライ。
今夜は、エロド王の誕生祭。月が奇麗な夜でした。
「世界で一番美しい私の娘、サロメよ。愛している」
エロド王がサロメを呼ぶけれど、サロメは振り向きもしません。だってイヤラシイんだもの。
欲望で腐敗したこの国も、権力を盾にした暴力も、キライです。
自分に対してイヤラシイ義父が、同情の余地無く一番嫌い…そうなんですね、サロメ。
サロメにどれほど疎まれていても、エロドの唯一の慰みは、サロメの美しさ。家臣や妃の前でも、娘であるサロメへの執心ぶりを隠そうともしない。
「酒を一口だけ呑んでおくれ。おまえの唇が触れたところから、私が残りの酒を飲み干そう」
無理やり宴の席に座らされて、不機嫌なサロメ。
さっきまでお気に入りの奴隷の男の子と遊んでいたの。イキナリ屈強な兵士に抱え上げられて、拉致られたの。ジタバタ暴れて抵抗したのに、その兵士は田極翼くん。ビクともしなかったの。
サロメは差し出された杯を受け取りはしたけれど、当然、エロオヤジが間接キスしたい酒の杯なんかに口を付けたくはありません。ポーンと中塚くんに杯を投げつけるから、恥をかかされたエロド王は、中塚くん近衛兵たちを腹いせにしばき倒す。
「サロメが酒が呑めんのだッ!キライなのだッ! それなら世界一美味しい果物だ。一口だけかじっておくれ。私が残りを…」
近衛隊長カザミンが差し出したリンゴを掴んで、こんどは舞台外の上手袖にポーン。
エロド王が娘のサロメに拒まれている。いい気味だとばかりにエロディア妃が笑うから、家臣一同大笑い。
桜木涼介くんのダメな豪君ぶりが、可笑しくも可愛かったです。
それでも王様なのです。威厳をしめさなきゃ、なのです。
「エロド王を讃えよッ!」
王の号令で、ロックミュージックが鳴りり始め、中塚くん、泰ちゃん、トシくんが大きな旗を振り、他の役に扮したダンサーも一斉にそれぞれの持ち味のダンスで大暴れ。
中塚くん、なんかイっちゃってる目をして笑いながら踊っているのです。アブナイっ! その旗、アタシに当てないで。そう思うくらい、ホント舞台が近いの。あ、泰ちゃんは、イイ身体になりましたね。翼くんには負けるけど、そこは負けておいてください。
風海くん近衛隊長は、舞台奥の方で王様お妃さまの警護? そう思っていたら、イキナリ存在感。この人が出てくると、目を奪われます。最終兵器なのです。
崩壊寸前のこの国で統率が保たれているのは、1ミリでもはみ出す者あらば、容赦なく淘汰する、そんなドSなカザミン近衛隊長の非情さをみんな恐れているからだそうです。
そして、そんなドSな隊長と常に一緒にいるのは、一回り大きくて筋肉質な田極翼くん。首切り役人のナーマンは、カザミン隊長の言うこと以外解らないような感じで、異形を放っていました。
ロド王とエロディアのやり取りは、コメディのようです。一斉ダンスは、バレエあり、アクロバットあり、ブレイクあり、コメディータッチの寸劇ありで、見ごたえがありました。
お城の喧騒を他所に、サロメは、可愛い奴隷の男の子と戯れる。
少し年上の美しい姫に見初められて、最初は緊張してはにかむ少年は、15歳の三浦宏規くん。
身分違いの恐れ多さ、からの純粋な忠誠心。可愛い奴隷の少年は、サロメのペットに過ぎません。
おまえのコト気に入っているわ。おまえは私の側に居ればいいのよ。
愛しそうに頬ずりして可愛がっても、それは慰み者に過ぎず、恋の対象には出来ません。
身軽に蝶のように舞う少年は、小奇麗な服を着させられていました。王女サロメは、エロド王への反抗心の表れなのか、色気もそっけもない、どーでもいいカッコしてました。
戯れの合間に、風が不思議な声を運んでくる。
少年に気づかれないように、声を気にしている様子のサロメ。
その声は何なのか? 誰にも知られてはイケナイようで、実は、誰もが知っている。
砂漠から来た殉教者ヨカナーンがこの国のどこかに、特定できない場所に幽閉されている。
ヨカナーンは、エロディアとエロドの陰謀を言い当て、この国の不吉な未来を予言している。
王家にとって最大の危険人物だから、エロディアはヨカナーンを始末してしまいたいと思っている。でも、エロドは、彼を神の使いと信じて、災いを恐れて、崇め奉っている。
それじゃ、サロメにとってヨカナーンとは、どんな存在だったのでしょうか?
その声に心ひかれたのは、何故なのでしょうか?
陰謀逆巻く忌まわしのその国にあって、唯一の正義? 崇高な信仰の象徴? 自分の意向を代弁する者? 解ってくれそうな人? その全て? それって、凄くすごーく好きかも?
で? サロメは、一度でもヨカナーンの姿を見たことがあったのでしょうか?
一度も姿を見たことがなかったようです。
お逢いしたい。お話したい。あの人を知りたい。そして自分を知って欲しい。
相手がどういう人物なのか? 自分の気持ちが何なのか? 何も解らないまま、そういう衝動に駆られる何かがあったのでしょう。
この東山サロメ、一切セリフを言わない設定は、とてもアタリだと思いました。
いっそのこと「サロメは口が利けません」という設定で解釈したいです。
口が利けないが故にサロメは、全身全霊で自分の意思を相手に伝えるのです。聴覚ではなく、脳幹にダイレクトに意思を響かせるのです。
あの人に逢いたい。逢わせてくれたら、私は…何でもおまえの言うことをきくわ。
時に色仕掛けで、近衛兵らを懐柔しようとして、擦り寄って抱きついて
中塚くん、泰ちゃん、トシくん。身を硬くして顔を背けても、サロメの意思が伝わっていないフリはできなくて…
「そのご命令にだけは、従えませんッ!」
頑なに襟を閉ざして、しなだれかかるサロメの誘惑を拒むトシくん。
真面目でつまらない男ね。スルリとトシくんを手放すサロメ。次…
「わたしは何も恐れませんッ! 私は何も恐れませんッ! 私は何もッ!」
まだ何もされていないうちから、念仏を唱えるように自制の言葉を繰り返す泰ちゃん。
使えないわねッ! 下がりなさいッ! ヅン…と泰ちゃんのオデコを小突くサロメ。
そして、中塚くんに微妙な微笑みを向けたサロメは、彼の背後に回って背中に胸を押し付け、下腹部まで押し付けながら、片方の生足を中塚くんの腰に絡めてきました。
おまえは私の言うことをきくでしょう?
色仕掛け同時に、二の腕を首に回して、抵抗できない身分へのパワハラです。
きゃ~ 中塚くんがリーダーに勝てるはずないじゃん。
サロメが何事かを耳元に囁くと、
「あ…あの者に伝えよ。王女サロメ様が、お会いになられると」
とうとう禁が破られました。
煙に撒かれた不思議な空間。薄暗いブルーライトから人の形がぼんやり見える。
幽閉されていたヨカナーンがユルユルと踊りだす。
あぁ、ヨカナーン様だ。本物だ。生きてる。
こみ上げる高揚感。両膝を擦り合わせる仕草で背後に立っているサロメ。自分の胸や腕を摩り上げて…遠巻きにヨカナーンを見つめる東山サロメが、やたらいじらしくて可愛いのです。
だいぶシチュエーションがアレだけれど、初恋の人への告白タイムです。
ヤダ、どーしよ。緊張しちゃうぅ。
急に逢わせてもらえるってコトになっちゃったから、こんな格好…着替えてるヒマなかった。
でも、このチャンスを逃したら次は無いかも。
意を決して、裸足で歩幅小さく小走りにヨカナーンの背後から近づくサロメ。
イキナリ面とは向かい合えない。ヨカナーンが居る台座に後ろ向きに座って高鳴る胸をギゅっと押さえる。
やたらドキドキしちゃうぅ~ くるしいぃ~ でも、もうここまで着ちゃったから。
あ、あの…アタシの文章力ではこんな風にしか表現できないのですが、東山くんの演技は秀逸です。憧れも畏怖も…演技じゃなくてホンモノ。だから、観ているこっちまでドキドキ…苦しいのです。
サロメは、遠慮がちにヨカナーンの足元に跪きました。そのつま先にキスしようとしたのだと思います。
つま先へのキスは忠誠の証。ですが、ヨカナーンは、サロメの肩を蹴って拒絶してのでしょうか?
暗い処に幽閉されていたから、自分を慕ってここまでやってきた乙女の姿が見えなかったのでしょうか?
ゆっくりヨカナーンを見上げるサロメ。
サロメは、ずっとヨカナーンの声を聞いていた。言葉の意味もよくわからないまま、顔も知らないまま、逢えない苦しさのまま、ずっとお慕いしていた。
ぎこちなくも素直な想いのままに、必死に…ヨカナーンに絡もうとするサロメ。
ヨカナーンは?
その時、ヨカナーンは、どんな顔、表情だったでしょう? どんな様子だったでしょう?
アタシ、瞬きすら忘れて息詰めて二人を見つめていたのに…実は、よくわからないのです。
ヨカナーンはサロメと同じフリで踊って、そのまま空気のようにサロメをやり過ごして。
逆に押してきたところを押し戻してきたり? そんなヨカナーンに焦れたサロメは、紫のしごきのような太い紐を彼の体に絡めて…
よくわからないけれど、サロメは、必死にヨカナーンを捉えようとしていた。そして、ヨカナーンに自分を認識してもらおうとしていた。そんな感じでした。
なんだか良くわからないけれど、思いどおりにいかなくて。サロメは、もどかしそうに爪を噛んでは、自分の唇に触れて、そして何度も、その指をヨカナーンに近づけました。
一切セルフ無しですが、ヨカナーンの罵りがあったのでしょうか?
ヨカナーンは、どんな風に、なんと言ってサロメを拒絶したのでしょうか?
腐敗した国の汚れた血を曳く娘よ。私に触れるなッ!
きっとそんなようなことでしょう。
サロメの純真な心は、凍りつき、粉々に打ち砕かれました。
何を期待していたのでしょう?
愛も救いも尊敬も…本当は違っていたのかも。
サロメは、自分がヨカナーンの助けになるかもと思っていたのでしょうか。
幽閉されて自由を奪われている身がお気の毒だと思ったから。
それなのに、拒まれてこんなに傷つくなんて。
自分でも意識していなかったサロメ自身の傲慢さ? そして、欲?
そんな自惚れをヨカナーンに思い知らされた気分。
ヨカナーンは、何年幽閉されていても、媚びずに諂わずに、殉教者として神の意思にのみ従っている。
保身の一つも無く、忌まわしい国の未来を予言して語っている。
それは、とても尊いことなのか。
サロメが嫌っているエロド王の方がヨカナーンのその辺を感じていたのかもしれない。
ああッ! 今更そんなコト認めるのはサイテーッ!
私、最低…
ダルそうにベットに寝そべり、両足を行儀悪く天井へと上げてみる。
万人が称え敬う美貌を持っていても、ただ一人のあの人に拒絶されたらダメなのッ!
私は、腐敗した国の汚れた血を曳く娘なのッ!
それに加えて、シタタカで身の程知らずの娘なのッ!
キズついて茫然自失のサロメ。自分への嫌悪でいっぱい。、自分の身体を爪で引っかき、そしてゴロンゴロン、ゴロンゴロン、ゴロンゴロン。サロメが自堕落に転がって、舞台から転がり落ちそうになる寸前まで転がってきました。
アタシの席の真ん前に、純真な恋心を打ち砕かれて、自己嫌悪する女の顔の東山サロメ。
アタシ、いろいろ勝手にアテレコしてしまいましたが、この時のサロメの心情は、陳腐な言葉やセリフは、無くて正解でした。
東山くんの表情のみで見せている。舞台には向かない演出ですが、自分が間近で見ることができたので大絶賛です。
ホント…こんなに間近に東山くんのお顔を堪能できることなんか、ありません。凄くキレイなお顔。それは手が届きそうなくらいに近くて、近過ぎて奇麗すぎて、観ていると心臓がギューッと痛くなって、気が遠くなってきて、逆に見ている実感がなくなって、ホント…やばかったです。
そこへ、
サロメが気に入っていた奴隷の少年が背後から嬉しそうに近づいてきて、
子犬のように無邪気な空気読めない感に、サロメ…イラっ!
ほっといてッ! ひとりにして措いて欲しいのッ!
サロメに追い払われて、少し戸惑いながら離れていく少年の行く先には、近衛隊長カザミンと部下の一人が遠巻きにサロメを見守っていました。
カザミン隊長は、空気を、サロメの心境を読んでいました。
その子は、もう要らないわ。…殺して。
冷静で非情な近衛隊長のカザミンは、普通に歩いている呼吸のまま、サクっと…少年の薄っぺらい胸の心臓を一突き。
ひゅるんと剣を振って血糊を払い、小脇に収めるまで、まったく無表情のカザミン。
つい昨日まで、サロメが可愛がっていた少年。サロメに惜しむ気持ちがまったく見受けられません。
一瞬にして絶命した少年の遺体は、乱雑に引きずられていきました。
何で何も感じないんだろう? もう、そんな疑問さえ浮かんでこないのです。
あー…
アナタに逢えばそれで良かった
世界に光が満ちた
夢で逢えるだけでよかったのに
愛されたいと願ってしまった
世界が表情を変えた
世の果てでは空と海が混じる
地下牢の扉が開かれ、ヨカナーンの不吉な予言が響き渡った。
月も赤いし、きっと不吉なことが起こる。
エロディアは、さっさとヨカナーンを始末してッ!とエロド王に迫っている。
だが、祟りを恐れるエロド王には、それだけは絶対にできない。
この辺の騒動は、ダンスと寸劇での表現です。
大変な事態になってしまったのです。
気弱なエロド王は、不安で不安で…気も狂わんばかりサロメに救いを求めます。
「私の可愛いサロメよ。戻ってきておくれ。そして、私のために、踊ってみせてくれ」
サロメが騒動の発端であるのに。愛しているから。
でも、失恋中の娘には、かなりKYよ。およしなさい。そっとしておいて。
止めようとするエロディアを一括。
「黙れッ! おまえにではないッ!私はサロメに頼んでいるのだッ!」
恐妻よりも祟りを恐れるエロド王は、いちばん信心深い人なのですね。だからこそ、こんな不吉な夜には、気晴らしにサロメの踊りを観ないことには、どーにもこーにも不安が収まりそうにない。
「私のために踊ってくれたら、何でもおまえが望むものを褒美にやろう」
その言葉を聴くやいな、サロメはすくっと立ち上がり、エロド王に詰め寄る。
それ本当? 望むものなら何でもくれるの? 絶対に?
激しく地団駄ふんで、王を睨み付け、誤魔化しは通用しないことを訴える。
「約束する。あの月に誓ってッ!国の旗に誓って!いや、この私の命に賭けてッ!」
その言葉を待っていたとばかりに駆け出すサロメ。この状況下で何を望む? アタシ知っているけれど、劇中の誰もは知らない。
エロド王は観たいの。自分のために踊ってくれるサロメの渾身の舞いを。
サロメの物語で有名な「七枚のヴェールの舞」って、ストリップだと思っていました。
サロメが妖艶なベリーダンスを踊りながら、次々にヴェールを脱ぎ捨てて…最期に珠の肌をあらわにして踊るのかと、アタシは想像していたのですが…
気合を入れて支度してきた東山サロメは、白い衣装、髪を結い上げて綺麗に化粧を施し、階段の上からイナバウア。くるん…正面向いて驚いたことに、上半身には薄衣をひっかけただけで胸が露わでした。
これぞ東山義久くん。男性なのですが…すぐに違和感が消えました。
惜しむものなど何もない。サロメの渾身の舞。
エロド王は、大興奮の大喜び。家臣も見とれます。エロディアは、娘のフシダラさに怒ります。
サロメは、何を思いながら踊ったのでしょう。
こんなにも美しいの。誰もが見とれて夢中になるの。
自称「世界一の王」が全てをなげうってもいいと、命すらやれると。
そうよ。その気になれば、なんでも叶う。
だから、あんな屈辱はありえないの。
見てッ!私は、こんなに美しいのよ。
ヨッシーのドヤ顔が素敵で…ぞっとしました。
「ダメだッ! ダメだダメだダメだ!」
サロメが褒美に望むのを告げられた途端、驚愕するエロド王。
「ヨカナーンの首など欲しい訳がないッ! そんなもの、求めてはならないッ!」
いいえ。それだけが欲しいの。欲しいものは、それだけ。
権力も宝石も欲しくないわ。 白孔雀? そんなの食べないわ。
「あの男は神の使いなのだ。殺せば、どんな恐ろしいことがわが身に…」
ヒィ…ヒヒヒ――ッ!エロド王が壊れれていきます。
「私が憎いのか? サロメ。私は、おまえの美しさに苦しめられた。だが、もう見ぬ。許してくれぇ」
のたうち回って懇願するも、もう遅い。
王が命を掛けて約束したこと。サロメも命を掛けて果たした。
覚悟して臨んだ。殉教者ヨカナーンの命を望めば、もう自分の命はない。
揺るがないサロメ。もうすでに恐ろしい事態なのです。
認めるも、認められなくも。
「あのオンナに望みのものを与えよッ!」
最愛の娘だったサロメを囚人のように言い捨てる王に、もしかしたらサロメは、最初で最後のお辞儀をしていたかもしれません。
エロド王から預かった赤い指輪を、近衛隊長カザミンが首切り役人ナーマンに渡す。
赤い指輪を飲み込んだナーマンの身体が真っ赤に染まっていきます。
ナーマン役の田極翼くん、こんなマッチョなダンサーだっけ? 黒い革の短パン。浅黒い肌に流線型の刺青を施した彫刻のような身体。爪先からゆっくり、筋肉をひとつひとつ目覚めさて行くようなフリが、人間離れしています。
ひとしきりダンスで獰猛さを見せて、首切り斧を受け取ると…
その後、アタシの意識飛んでます。
気がついた時には、血の気の引いた白い首が、赤い月に照らされて、浮かび上がっていました。
「ヨカナーン、どうして目を閉じているの? どうして私を見ないの? あなたは、あんなに憎悪に満ちた瞳で私を睨んでいたのにッ!」
ヨカナーンの生首を見て、サロメは気が動転したように、取り乱します。
中塚くん、泰ちゃん、トシくん、近衛兵3人が気遣いながら取り押さえようとしています。
「あなたは私を拒絶した。口づけさせてくれなかった。でも、もう、あなたの首は私のもの。あなたの唇は私だけのものッ!」
近衛兵3人は、サロメを取り抑えながら、言葉をサロメの想いに支配されています。
「私はあなたに口づけしたいッ!あなたの美しさを飲み干したいッ!」
褒美は確かにサロメに与えられました。
サロメが1人だけ立ちつくしている空間へ、無操作に上から投げ込まれたようです。
ずしりと重かろう血の気のない白い生首。サロメは胸に抱え込むように両腕で受け止めます。そして、
ヨカナーンの顔を初めてじっくり見つめました。
閉じた瞳は、サロメを蔑むことはない。冷たくなった白い唇も、サロメを拒絶しない。
もう、その首はサロメのものなのです。
うふ…嬉しい。
撫でても抓っても、ボールのように高く放り投げても、それはサロメを拒んだりしないのです。
色々な角度から満足そうにそれを眺め、陶酔し、ヨカナーンの首を弄ぶサロメ。その様子は、神聖な婚姻のダンスのように美しかったです。
戯れるような仕草が、徐々に狂喜を伴った妖艶なフリになって、身もだえ、歓び。
やがてサロメは、ヨカナーンの首を床に置いて、上からうっとりと眺めました。
それに肢体がついていたら…サロメは、ヨカナーンの腰を跨いで顔を見下ろしているのでした。
身を捩りながら腰を落とし、身を伏せて。冷たい首にうっとりと顔を寄せると、サロメは、硬く閉ざされた唇を舌でこじ開け、淫らに激しくむしゃぶりついたのでした。
可愛らしく恭しいキスなんかじゃなくて、もう…びっくりですよ。
サロメよ。私はおまえをそんな淫らな女に育てた覚えはないんだ。
間接キスさえ拒まれていたパパは、ショックです。
そして、どれほどの想いなのでしょうか? 上唇を銜えて生首を持ち上げるというのは。
サロメは、喜々として自分の獲物を見せびらかしているのです。
何も要らないの。これだけが欲しかったの。
「サロメを殺せぇ~」
エロド王が命じました。結局、そうするしかないのでしょう。
可愛さ余って、憎さ百倍
愛している。それゆえに。
サロメとエロド王って、想いが同じだったのですものね。
あー
長文、駄文にお付き合いくださいまして、ありがとうございました。
ポルノグラフィティの歌詞を一部使わせていただきました。
ちょっとイメージあったので…
――詩人がひとひらの言の葉に込めた意味を終に知ることはない
そう それは、友に…できるのならアナタに届けばいいと思う。
DVDを見れば、また違う感想もあるでしょうが、間近で観劇した感動は格別です。
再演があればいいなぁ。