(毎日新聞 2015年01月12日 東京朝刊より転載)



 今年は、沖縄で太平洋戦争末期に凄惨(せいさん)な地上戦が行われてから70年の年でもある。その幕開けは、沖縄県の翁長雄志(おながたけし)新知事に対する安倍政権の露骨な冷遇で始まった。

 知事は米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設に反対して昨年11月に当選した。政権は知事との面会を事実上拒否し、来年度予算案の沖縄振興予算を減額して揺さぶりをかけ、移設問題で軟化を引き出そうとしているようだ。だが、こんなやり方は問題を解決するどころか、かえって県民感情を悪化させ沖縄との亀裂を深めるだけではないか。知事選や衆院選で敗れた意趣返しとも受け取れる対応だ。

 約1年前、政府は当時の仲井真弘多(ひろかず)知事から辺野古の埋め立て許可を得るため、2021年度まで毎年3000億円台の沖縄振興予算を確保すると約束した。今年度の当初予算では約3500億円を計上する大盤振る舞いだった。ところが、14日に閣議決定される来年度予算案では、一転して数百億円を減額する方針という。その一方で辺野古移設は着々と進めようとしており、移設経費は今年度から倍増する見通しだ。

 振興予算は約束の3000億円台は確保されるようだし、厳しい財政状況を考えれば減額は一概に否定できないが、沖縄への丁寧な説明は必要だ。政府は基地と振興はリンクしないと強調してきた。それが新知事になった途端、一方的に振興予算を減らすのでは、政権の方針に反対する県政にはカネで圧力をかけていると受け取られても仕方ない。

 昨年末に就任あいさつで上京した翁長知事に対し、安倍晋三首相も、沖縄基地負担軽減担当の菅義偉官房長官も会おうとしなかった。外務、防衛両省は局長と事務次官が対応し、閣僚で面会したのは山口俊一沖縄・北方担当相だけだった。今月初め、来年度予算編成にあわせて知事が上京した際も、農相は面会に応じず、沖縄振興予算に関する自民党本部の会合にも出席できなかった。

 昨年、辺野古移設が争点になった名護市長選、沖縄県知事選、衆院選の沖縄4選挙区で、移設容認派は全敗した。移設に反対する沖縄の民意は明らかだ。それを直視しようとせず、振興予算の減額や面会拒否で締め上げ、新基地建設の受け入れを迫るかのようなやり方は、かつての古い自民党の体質をほうふつとさせる。こんな手法はもう限界に来ているということを政権は自覚すべきだ。

 面会拒否について知事は「多くの県民や本土の方々があるがままに見て考えてほしい」と語り、政権をけん制した。対話もせずに移設問題の解決はない。政権はもっと広い視野に立って問題解決に努めてほしい。


(以上、毎日新聞 2015年01月12日 東京朝刊より転載)





沖縄の民意は明らかであり、これだけ選挙で結果が出ても、一切無視して移設を強行する態度はあまりにも目に余るものだ。


自分たちに都合のよい法案は、「数の暴力」で議論も尽くさず押し通し、都合の悪いものは「悪の限り」をつくして嫌がらせのオンパレード。


こんな育ちの悪い二世議員に、「日本国」は託せないだろうっての。