先ほど最後の出社を終えた。

ずいぶんと呆気ないものだった。


入社当初からお世話になっている上司から

特に労いの言葉もなくまあ頑張れよと一言。


退場ゲートまで見送ってくれたのは

可愛がってくれたお局さんただ1人だけ。


散々迷惑掛けてきたから致し方ないか。

いやそうは言っても冷めた門出だったな。


消化不良のまま通い慣れた帰路を進む。

この6年間のことを思い出して感傷に浸る。


あいにくの快晴。春の心地に浮かれた街並み。

そんな眩しさに満ちた世界から取り残された。


でもただそれだけのこと。

お前がやることは変わらない。


どんな別れになったところで、

お前を取り巻く現実は変わらない。


仕事を探すのも借金を返すのも

お前にしかできないことだから。


たぶん無職も借金もどうにかなるだろう。

無期停学も不倫裁判も適応障害もそうだった。


ただ歩みを止めなければ良い話。

そうしていればなんとかなるから。