Chihiro Sato-Schuhさん 
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【イランの核施設は破壊されたのか?】

22日の明け方に、アメリカがイランの核施設3ヶ所を爆撃して、完全に破壊したというニュースがとうとつに入ってきて、世界中が騒然となっていた。13日にイランがイスラエルにミサイルをガンガン飛ばし始めて一週間が経ったところだ。あと3日もアメリカが軍隊を動かさないままだったら、イスラエルは滅びるだろうと言われていた。それというのも、イランは高速の弾道ミサイルを大量に蓄えている上、イスラエルの対空防衛ミサイルもそろそろ尽きてきていたからだ。

だから、世界中の多くの人は、このままアメリカが動かないでいてくれることを期待する一方で、動かざるを得なくなることを予測してもいた。ちょうどそのときに、トランプ政権チームが、イランの核施設3ヶ所を完全に破壊したと、発表したのだ。アメリカでは、21日、土曜日の夜のことだ。

こういう攻撃の情報が来たときには、私はまず事実の真偽を疑ってかかることにしている。この数年、こういう情報がまったくの捏造だったこともよくあったし、事実が引っくり返されて報道されていたこともあった。何倍にも誇張されていたこともあった。こういう報道は、人をパニックにさせて、感情的にさせる。それを使って、集団的にある方向へ誘導していくために、意図的に事実を歪曲していることがよくあるからだ。

テレグラムでドイツ語版タス通信の報道をたどっていくと、爆撃についてのイランからの報告はなく、トランプが爆撃したと発表したということだけが書いてあった。タス通信は、西側メディアの情報操作が入っていないし、ただ公式発表をそのままに書いているだけの記事が多いので、こういう情報ではかなり信頼できる。イランからの情報がないということは、トランプが勝手に言っているだけな可能性もあるわけだ。

それで、ホワイトハウスが出していたトランプの声明の動画を見ると、イランの核施設3ヶ所を爆撃し、完全に破壊した、と確かにそう言っていた。爆撃した戦闘機は無事にイランの空域を出て、帰路に着いたところだと言っていた。

しかし、その表情が、いつものトランプと違って、何だか仮面でもかぶっているような、内側と外側とが一致していないような、妙な顔つきだった。ホワイトハウスのデスクではなく、通路のようなところを奥の方から副大統領のヴァンス、国務長官のルビオ、防衛長官のヘグセスを従えて歩いてくるところも、何だか芝居がかった演出に思えた。ヴァンスもルビオもヘグセスも、やけに真面目くさった顔をして、黙って立っているのだけれど、意識的に作っている表情のように思えて、内心は噴き出しそうになっているんじゃないかと思えたくらいだった。

イランだって、核施設を攻撃されたばかりで、それなりの防衛だってしているだろうに、アメリカの戦闘機が何の支障もなく爆撃して還ってこられたなんて、どうもあまり現実味がないようだ。それに、核施設を破壊したのなら、核爆発が起きるとか、放射能漏れがあるとかする危険もあるわけなのに、そうした話も何もなく、ただ「完全に破壊することに成功した」なんて、どうも変だ。しかも、これでいよいよ第三次世界大戦になるかもしれないという場面なのに、「これで平和になる」と言っているのだから。

それで、本当に爆撃があったのかどうか、現場の画像を探していたのだけれど、夜空にオレンジ色の巨大なキノコ雲が上がっている映像が一つあるだけだった。画像がぼんやりしていて、場所も特定できそうにない。その背景には、穏やかな調子で人が話している声が聞こえるだけだ。これはむしろ、合成して作った画像か何かのように思える。

核施設を完全に爆撃したといったら、現地で人々が避難したとか、どこが燃えているとか、もっと何かリアルな映像や情報があってもよさそうなものだ。しかし、そうしたものもまったくないのだ。ただ「破壊した」とトランプが言っているということと、はっきりしないキノコ雲の映像だけなのだ。

すると、アメリカの軍事専門家のスコット・リッターが、「あれはトランプ政権の茶番だ」と書いている記事が出てきた。アメリカの戦闘機は、すでに空になっているウラン濃縮処理場を爆撃しただけだというのだ。2つの核施設は、一週間前にイスラエルの攻撃を受けてから、すでに移動している。もう一つのフォルドゥの施設は、地下深くに作ってあって、破壊することはほとんど不可能だ。それで、建物の入口部分を破壊しただけで、濃縮ウランはすべて無事だということだった。

その後、イランからの情報もいろいろ出ていたけれど、イランは核施設は破壊されていないと言っているし、人身の犠牲も放射能漏れもないということだった。いったいアメリカは本当に爆撃したのだろうか? そもそも戦闘機がイランの空域に入ったのかどうかさえも疑わしいようだ。

60%の濃縮ウランは無事だ、とリッターは書いていたから、イランが核兵器を作ろうと思えばすぐに作れる状態だというのは、事実だったらしい。核兵器には、90%の濃縮ウランが必要だというのだけれど、60%の高濃度のウランを所有しているのは、核兵器を保有していない国では、イランが唯一なのだそうだ。原子力発電には、ずっと低い濃度のウランで十分だというのだけれど、イランは何のためにそんな高度の濃縮ウランを作っていたのだろう? 

中東では、イスラエルが核兵器を保有している国なのだけれど、それだけでなく、イスラエルは核拡散防止条約(NPT)を結んでいない上、IAEA(国際原子力機関)の視察を許可してもいない。つまり、イスラエルは核兵器に関して、国際的な監視を一切拒否している国なのだ。どれだけの核兵器を持っているのかもわからない。そういう国が、アラブ諸国を攻撃して支配しようとしているわけなので、イランとしては、やられっ放しにならないように、核兵器をいつでも作れる態勢でいなければならないのかもしれない。

ところで、トランプは何だって空の核施設を爆撃させたりしたのだろう? トランプが攻撃したと言っているときは、それが見せかけのプロレスのようなものである可能性も考えなければならない。これまでも、ハマスを攻撃したとかイエメンを攻撃したとか言って、トランプ支持者たちまで怒らせていたけれど、それもあまり事実なようには見えなかった。やはり同じように、いろいろな情報を突き合わせたり、現地の映像や語っている人の表情などを分析していると、どうも見せかけだけでやっているようにしか思えない。

もちろん、こうしたことは、確実なことはわからないけれど、しかし、攻撃したしたと言って、人々を怒らせておいて、実際には攻撃していなかったとしたら、どうだろう? アラブ嫌いのタカ派はそれで満足するし、反トランプ派はやっぱりトランプは戦争屋だと大喜びし、民主党支持者は安心してイスラエルを批判し、イランを擁護することになる。そうしているうちに、中東は平和になっているということになる。

トランプがイランの核施設を全壊させたと発表したあと、イスラエルのネタニヤフ首相は、「これでイランの核施設をすべて破壊するという当初の目的は完了した」と言っていた。そしてまたトランプ政権も、これは一回限りの軍事作戦で、イランの政権交代を目指すものではないと、イランに説明したそうだ。ということはつまり、イスラエルにもアメリカにも、これでもうイランを攻撃する理由はなくなったということになる。

イランは、報復として中東に駐留する米軍基地を攻撃すると言っていたけれど、実際にはやらないのではないかと何人かのアナリストが言っていた。ホルムズ海峡を封鎖するということは、イランの議会で決議されもしたということなのだけれど、実際に封鎖したという報道はまだ出てきていない。

アメリカのジャーナリストのアレックス・ジョーンズは、これはアメリカとイランが示し合わせて芝居をしているのじゃないかと言っていた。ちょうど2週間ほど前に、アメリカとイランの代表がオマーンで会談していたからだ。そのときに取引して、打ち合わせていたのじゃないのかと。

アメリカの戦闘機が本当にイランの核施設を爆撃したかどうかは別としても、イランはその前にすでに濃縮ウランを移動させ、爆撃されてもいいようにしていたわけで、衛星で監視しているアメリカが、それを知らなかったはずはないという。それで、イランはもう核兵器を作る手段がなくなったということになれば、イランを攻撃する理由はなくなるわけだ。つまり、見せかけの攻撃で、戦争を止めようということなのではないかと。

ところで、イスラエルがイランの核施設を攻撃した13日の前日に、イスラエルの議会で選挙を行うかどうかの投票があり、わずか2票差で選挙を行わないことに決まったというできごとがあったのだそうだ。もし選挙を行うことになっていれば、ネタニヤフはまず間違いなく落選することになり、そうなると戦争の責任を問われることになる。ネタニヤフとしては、何とか首相に留まるために、戦争を続ける必要があるわけだ。

共和党議員のマット・ゲッツは、アメリカのニュース番組でこの話をして、今回の戦争は核兵器を巡る問題ではなくて、ネタニヤフの政治的な駆け引きなのだと言っていた。そして、イランにもイスラエルにも秘密の核兵器計画があるようだから、トランプはここで両国に秘密の核兵器計画を放棄させる取引をしようとしているのだろうと言っていた。

イランはもともと中東の非核化を目指していた国だから、イスラエルが核兵器を放棄すれば、イランが秘密の核兵器計画を放棄するのは問題がない。問題なのはイスラエルなのだけれど、この場合、ネタニヤフにアムネスティを与える約束とかで取引することも可能なわけだ。とにかく、ネタニヤフがイランの核施設を攻撃させたりしたために、イランはイスラエルの軍事施設を攻撃することになった。ネタニヤフはつまるところは諜報機関モサドに支配されてもいたわけだから、イランの攻撃によって、ネタニヤフもまた解放されることにもなったかもしれない。

事実がどうなのかは、これからの展開で見えてくるだろうけれど、このことで今、イランとイスラエルの核兵器を巡る真実が表に出てきているのは、かなり重要な変化だと思う。実際、どうもそれこそが、中東が平和にならない大きな原因のようなのだ。マット・ゲッツは、トランプがこの問題を天才的な取引の才覚で解決したら、ノーベル平和賞の代わりにトランプ平和賞ができるだろうと言っていた。実際、それくらいに決定的な変化が、今起こっているのかもしれない。