先日深夜に放送された番組に日本最年長のお産婆さんが、出た。87歳。
顔には、誇りと優しさ経験が、しわに刻まれとてもいい顔をしていた。
診療所と自宅が一緒で24時間休む暇さえない忙しさで、寝ても夜中に妊婦さんから
の電話で起こされたり、産まれて入院している母子共のお世話が、尋常ではない。
赤ちゃんが産まれてすぐの母子間の時間は、非常に重要で、母親が、ゆったりとリラックスして休めるように母親の手元には、呼び鈴がある。
寝ていても夜中1時半に呼び鈴がなると先生は、ミルクを哺乳瓶で作って飲ませる。母親は、横でその姿を見ているだけ。
それから眠りにつくとまた5時ごろオムツ交換で呼び鈴がなる。
寝る暇もない。
その間に妊婦さんから電話を受けて、お産が、始まる事もある。
何と言う慌しさ。。。。
これが、87歳の生活だろうかと思わせるほど、ハ-ドなものだ。
驚く事にずっとこの生活が、何十年も続いているという。
ご主人は、数年前に他界。

朝食は、栄養を考えて母親への愛情のこもった手作りの食事が、出される。
何処にそんなパワ-が、あるのだろう。ろくに寝てもいないのに。

未だに車も運転する。

育児相談に母親が、尋ねてくる事もしばしばで、的確なアドバイスをしている。
ある若い母親が、子供が、離乳食を食べないと相談に来た。
すると「何でもいいから好きな物を食べる物を食べさせればいい。そうして食べ物に
興味を持たせるようにする。これ美味しいなぁ~と言って母親が、食べてみせる。
そうしてたら子供も食べてみたくなる。大丈夫。心配しないで。」
的をついている。
でも、子供を持ったばかりの母親にそんな事を考える余裕なんてない。
食べなければ、心配。食べ過ぎてもこれまた心配。何かと心配は、尽きない。

彼女は、中学へも招かれ性教育の授業をする。
赤ちゃんが、産まれてくる映像をみんなで見る。
「性行為は、気持ちがいいものなのでしてはいけないとは言いません。でも男の
性欲というのは、排泄であっておしっこをするようなもの。好きでなくても、誰とでも
セックスできます。だから、女の子も責任ある行動、それを頭にいつも入れて
行動してください。自分を大切にすること」
皆黙って聞いていた。

TVのインタヴュ-で、「為になりましたか?」と聞かれて男子生徒は、為になったと
答えた。
先生(お産婆さん)を送るのに男子生徒が、荷物持ちに一人選ばれた。
先生「今、彼女がいるんか?」
男子生徒「今は、おらん。」
先生「寂しいか?」
男子生徒「寂しい、やっぱりおらんとさびしいわ。」
そうはにかみながら、そのお産婆さんと横に並んで歩いていた男子生徒の姿が、印象的だった。

どれぐらいの命を取り上げたのか。
3000人、5000人いやもっと何万人? 

お産婆さんは、今日も産まれたばかりの赤ちゃんに話しかける。
「よう、がんばったなぁ・・・・いい子だったなぁ・・・・」
その目は、キラキラと輝き神の手のような温かさと温もりが、感じられた。

こういう先生だからこそこの世にこれほど長く生かされてるのだと思った。
自分の事より人様の事が、優先。
心温まる思いがした。。。。