母の記憶障害には悩まされる
<兄が亡くなった時>
確かに亡くなったことをわかっていた。
死因もわかっていた。
そうはいっても
知らない間に死んじゃった
とか
私だけ知らされていなかった
と言って、父と私を困らせた。
<死後一年ほど>
コロナで亡くなった と、正しいことを言っていた。
<死後一年以上経過して>
亡くなったという事実はわかっていたけど
どうして亡くなったのか、がわからなくなる。
みんなは原因を知っているのに自分だけ知らされなかった
と、父や私を責めるようになった。
ほんと、もうやめて~
<死後2年半ほど>
施設に入る。
亡くなったことを忘れたようになる。
入所前は度々お墓参りに連れて行っていたから覚えていたのかもしれない。
死んじゃった、という言葉がなくなった。
忘れてくれたようで、
父も私も実はホッとしていた。
暫くすると
どうしてお兄ちゃんだけ来てくれないの?
うわ~、こうきたかぁ
時間が経つと亡くなったことも忘れ、息子のこともきっと忘れる、私はそんな風に予測していた。
亡くなった兄は記憶から消えたが
生きている兄は
大脳皮質深くに刻まれたまま
だったようだ。