最新はオンラインでの調査報告です。

2020年11月にオンライン上でインドネシア・ダンス・フェスティバル IDF zip 2020が開催されました。

 

初めてのオンライン開催となったフェスティバルでしたが、興味深い作品とともに、ディスカッションやワークショップなどを見ることが出来ました。

コアの6作品とともに、若手アーティストたちの創作、また彼らの創作の軌跡を辿る映像、委嘱作品の映像、寄付作品など多くの作品が観られました。

 興味深かった作品は多くありましたが、以下に2つの作品を挙げてみます。

 ひとつは、Gymnastik Emporium による体操 SKJ (Senam Keragaman Jasmani 身体の多様性の体操) 2020という作品です。

この作品は、インドネシアで広く知られている体操 SKJ (Senam Kesegaran Jasmani 身体をリフレッシュする体操、の意)のパロディーとして位置づけられるものです。作品名のkeragaman は diversity (多様性)を意味します。

 体操は、通常は健康維持や健康促進のために行うと考えられていることが多いと思います。この作品は、インドネシアにおける体操が、健康のためだけでなく、国民の身体を統制し画一化された身体観を形成していくものでもあったという視点に立ってそのパロディーとして創作されました。特にスハルト時代(1968-1998)のインドネシアではその傾向が強く見られました。

 作品の中では、体操を演じながら、それぞれのメンバーが自分と体操との関わりあるいは身体との関わりを語っていきます。体操が単に健康のための運動にとどまらず宗教観や民族問題や政治問題を考えることにつながっていくことが上演から示されます。またダンスと体操との関連についての語りも見られます。

 もう一つはコンテンポラリーダンサーのエコ・スプリヤント構想による委嘱作品で、Rubuh Tubuh という作品です。

COVID-19のパンデミックにより身体的接触が難しい状況の中で、身体のふれあいをテーマとして創作されたダンス作品でした。

ダンス上演とともに映像の加工技術も強調されていた作品でした。田園の中で演じられるダンスの雰囲気と融合した音楽も興味深い作品でした。これからの時代におけるダンスの上演のあり方、また動画配信などを通したダンス上演の提示のあり方などが問われる作品になったと思います。

 ディスカッションも興味深いものが多く見られました。印象的だったのは、主催者の言葉で、「これまで過去に何度も政変や災害などでダンスどころではないという状況はあったが、開催を続けてきた。今回も別の意味でやり方を模索する機会である」というものです。

フェスティバルのテーマでもある cari cara (方法を探す)を続けてきたインドネシアの人々のたくましさを感じました。