子供の頃、近所に「こいし」という名前のお婆ちゃんが住んでいた。
苗字ではない。名前である。
しかも漢字は「小石」と書く。
電話帳で見たから、間違いない。
先日お亡くなりになったナポレオンズのパルト小石さんと結婚していたら「小石小石」になっていただろう。
それはさておき。
一時期キラキラネームなんてものが流行りましたが、他人から見て珍妙な名前に思えても、親が子供につける名前というのは、その子の幸せを願ってつけるものでしょう。
皆さんの名前だって、おそらくご両親や身近な方が良い人生を送れるようにつけてくれたのでしょう。
もしかしたら「小石」っていう名前もそうなのかもしれない。
けど、そうは思えない。
以下、僕の妄想。
小石婆さんが生まれたのは、日本の近代史の中で、一番貧乏くじを引いた世代だ。
生まれたころは戦争。
幼いときは、飢饉と恐慌。
長じてからは、また戦争、そして敗戦。
子供の命が今よりも、もっと軽かった時代。
「身売り」とか「口減らし」なんてことが日常だった時代。
子供が家庭の重荷になり得た時代。
そんな時代に生まれたら「名前なんてどうでもいい。石にでもしとけ!」みたいな感じでつけられたのかもしれない。
そりゃ、今でもいろいろと大変な時代ですよ。
でも、昔に比べれば遥かにマシになってるんじゃないだろうか?
「歴史は繰り返す」なんて言うけど、確実に人は歴史から学んでいる。
ロシアとウクライナの戦争だって、100年前ならとっくに世界大戦になっていて、日本だって出兵してるだろう(シベリアとか)。
そうならずに済んでるし、子供だって貧困家庭はまだあるけれども、育つ環境は世界的に飛躍的に良くなっている。
昨日より今日、今日より明日が良くなっているのは、当たり前なのだ。