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「清須会議」は三谷幸喜が初めて監督をした作品だから、という興味もあった。期待が外れたのは三谷らしく、カラッと笑える場面が意外に少なかった点だ。ちょっと、まじめになり過ぎた感じ。
この物語の陰の主役は、ほとんど画面に出てこない信長だろう。「親方さま」のご遺志が、円の中心にあり、それをめぐる家来たちのドタバタを戯画化して見せよう、というのが作者三谷の意図だったと思う。それは逆に、戦国の世にあって、信長の求心力がいかに強いものだったかを考えさせられる。映画を見ていても、信長はなぜ光秀に殺されたのだろうか、柴田勝家と「親方さま」との関係は分かりやすいが、秀吉の心の底にあった信長に対する気持ちは・・・・など、たえず信長を中心に考えながら見ていることに気付く。
歴史上の人物として、信長ほど興味をそそられる人間も少ない。戦国時代にあって、信長一人が「近代の人間」に見える。本当に不思議だ。まだ、近世も来ていないのに・・・・・・。彼の驚くべき経済感覚、突出した情報リテラシー・・・・・。勝てるはずのない桶狭間の戦いで今川義元を破ることができたのは、信長の情報収集の力によるものだ、と童門冬二先生から教わった。
中世以来経済の既得権益を持ってきた勢力から一気にその利権を奪い取って、市場経済を作ろうとした信長のやり方を見ていると、実に胸がすく。いつまでたっても、どの政権も、規制改革ができないでいる今の政治家にいら立ってしかたがないから、余計に信長に胸がすくのだ。
信長の芸術感覚も並みのものでない。安土城の天守閣を見ればわかる。
しかし、信長ほど残酷な人間もまたいない。比叡山の焼き討ちでは子供たちの首もはねさせているし・・・・・・。簡単には理解できない人間だからこそ、興味が尽きないのだろうけど。