原爆ドームの中で、

ヒロシマに最初に来たのは何十年前だったかな、原爆忌に参列したあと、原爆ドームに行ったとき、「放射能が残留しているので、立ち入り禁止」の表示を無視して、原爆ドームの中に入って、ドームの真下に仰向けに寝て、真下から見るドームにシャッターを切った。

その時の背中から伝わる大地の冷たさ、今でも覚えている。

ドームの中から見る内壁は太陽光が木漏れ日のように差し込んで、深海のような不気味な雰囲気を感じさせた。

その後、敷地の広場に出ると、原爆の恐ろしく強烈なエネルギーで崩れたガレキが散乱していた。一つのガレキに腰かけて、いま原爆ドームの中にいる東京原人。大空襲に生き残った自分の運命を考えていた。

被爆後100年は生物も植物も生えない。と言われていたドームの敷地の中に何か揺れている物があった。なんだろう？　近づいていてみると、一本の雑草が大空に向かって生えていて、風に揺れていた。この雑草を最初に発見したのは私だった。

雑草の持つ生命力の逞しさ！その姿からどれだけの生きる力を受けたことか、そして、いまなお一貫して反戦・平和運動を続けている。

うん十年と言えば、過ぎた時間だけではない、何もかも変わってしまった。コロナ禍に明け暮れるいま、そして、俺も老けたなぁ～。

2022・1・24、月、