ヒロシマ・月光と原爆ドーム | 美術家 村岡信明 

美術家 村岡信明 

漂漂として 漠として  遠い異国で過ごす 孤独な時の流れ
これを 私は旅漂と呼んでいる

フエイスブック村岡信明術館 


月光と原爆ドーム

今日86日はヒロシマに爆が投下された日


原爆 忌に参加して


ヒロシマの夏はどの国よりも熱く

死の影は / いまも残る


遠のいていく記憶 爆心地

崩れたガレキの軋みは 口ごもる念仏

天蓋は酸化して細りゆく


一九四五年八月六日 朝/ 一瞬の閃光

ヒロシマは地獄と化した

灼熱と暗黒、立ちのぼる死のキノコ雲


累々と続く黒い人間の骸(むくろ)

母親の乳房をくわえた小さな / 骸 

裂けた大地に花はもう咲かない

Ψ

原爆忌 朝からひびく鐘の音

手向けた数百の花束の上に

孫か / 小さな手で一輪の花


還らぬ二十二万の霊に捧げる

焼香の煙は人々の肌に触れながら

うずまき、ただよい天に昇りゆく


ヒロシマの夏はどの国よりも熱く

ケロイドの大地は歌う

いまも地中に埋もれし母子の霊に

悲しみのビブラード


30Oil  on canvas  90.9×72.7               

201686、(土)、ART MURAOKA Nobuaki、詩と絵・村 岡 信 明