TM NETWORK 「RAINBOW RAINBOW」 


84年4月に1st シングル「金曜日のライオン(Take it to the lucky)」と同時に発売されたTM NETWORKの1stアルバム。

 


  1. カリビアーナ・ハイ
  2. クロコダイルラップ(GET AWAY)
  3. 1/2の助走(JUST FOR YOU AND ME NOW)
  4. 1974(16光年の訪問者)
  5. クリストファー
  6. イパネマ'84
  7. 金曜日のライオン(Take it to the lucky) 
  8. RAINBOW RAINBOW(陽気なアインシュタインと80年代モナリザの一夜)
  9. パノラマジック(アストロノーツの悲劇


まず印象的なのがこのジャケット。

個人的には数あるTM NETWORKの作品の中でもかなり好きなジャケットで、非常に想像力を掻き立てられる。


ワニの仮面をかぶった女性なのか、こういったワニのキャラクターなのか、車のドアが砂に刺さった状態なのか、車のドアの形をした地下世界からのハッチを開いて地上に出てきたところなのか、設定上の場所は海岸なのか砂漠なのか、季節や時間帯の設定はいつなのか、このアートワークの設定上のことやアーティスト像などの様々なことが気になったりする。


そういった気になる点が多いと、アルバムの中にはどんな曲が収録されているのかを確かめたくなる。


カリビアーナ・ハイ

作詞:麻生香太郎/作曲・編曲:小室哲哉


この曲を聴いた時に浮かんだ情景は、エンジェルフォールのような大きな滝と、モハーの断崖のような海の見える絶景だった。タイトルの「カリビアーナ」の部分と海を思わせる内容の歌詞からカリブ海を連想した。後から、花のカリビアーナ、カクテルのカリビアンなども考えられると思い、歌詞の内容から、おそらく「カリビアーナ・ハイ」というのは、一種のパーティーのようなものではないかと自己解釈している。


幕開けのようなイントロ、転がるようなリズム、随所に夏の海を思わせるような打楽器の音などが、曲の世界観をたのしげに演出している。


クロコダイルラップ(GET AWAY)

作詞・作曲・編曲:小室哲哉


1st シングル「金曜日のライオン(Take it to the lucky)のカップリング曲。「クロコダイル」というタイトルから、もしかしたらジャケットのワニの仮面と関連があるのかもしれないといまだに思っている。


リズムパターン、ベース音、カッティングギターの音はダンサブルなのだが、雰囲気は少し寂しげな様子で始まり、サビではコーラスや演奏の音数が増え、ファンキーな印象に変わっていく。締めくくりのラップの前のシンセサイザーの部分は後年の小室哲哉作品に多用されるタイプの旋律だと感じた。


1/2の助走(JUST FOR YOU AND ME NOW)

作詞:西門加里/作曲:木根尚登/編曲:小室哲哉


透明感のある世界が美しく、車を停めて夜景を見ているような情景が思い浮かんだ曲。

TM NETWORKの曲の特徴として、機械的な音と生演奏の調和があり、この曲の場合は、特にサックスの部分から絶妙な調和を感じた。


1974(16光年の訪問者)

作詞:西門加里/作曲・編曲:小室哲哉


84年7月にシングルカットされた曲。この曲でTM NETWORKは、83年8月にコカ・コーラが主催した「フレッシュサウンズコンテスト」で優勝しており、TM NETWORKのスタート地点といった印象がある。個人的にはサビの爽快感が特に印象に残る。


詞世界は精神的なタイムトラベルのようなものと自己解釈している。おそらく詞世界の主人公は1974年に16歳であったと思われる。成長して見失ってしまうものは多いが、詞世界の主人公にとって大切にしたい精神的なものがその時代にあったのだろうと解釈している。


情緒のあるギターのストローク音がアクセントになっており、この曲も機械的な音と、生演奏の調和が絶妙な一曲だと感じた。


クリストファー

作詞:麻生香太郎/作曲:木根尚登/編曲:小室哲哉


不意をつかれたような突然の別れと、状況を把握する間もなく容赦の無く訪れる酷な現実。何とも悲痛な詞世界であり、この詞世界の主人公のことを考えるとあまりに辛すぎる。それでもまだ相手のことを嫌いになれない様子の主人公。ストーリーの続きが気になる曲。


詞世界にはファンタジーとは遠い印象のワードも出てくるが、他のワードやミステリアスな音作りなどで、結果的にファンタジックな世界観となっている。サビの爽やかさが逆に切なさを誘う。編曲は恋愛中の不安で気が気でない様子が上手く表現されているように感じた。


イパネマ'84

作詞:西門加里/作曲・編曲:小室哲哉


タイトル、詞世界、音作りなどから、ビーチやリゾートのようなものを連想する曲だが、反戦メッセージも込められているように思う。

ビーチで雄大な海を眺めているような、少し切ない感じの間奏部分も印象的で、世界観の深みを感じる。


金曜日のライオン(Take it to the lucky)

作詞・作曲・編曲:小室哲哉


本作と同時に発売されたTM NETWORKの1stシングル。


数あるTM NETWORKの曲の中で最初に好きになったダンサブルな曲。というのも、TM NETWORKを好きになったきっかけが、96年12月に発売されたアルバム「TIME CAPSULE all the singles」で、「金曜日のライオン(Take it to the lucky)」がアルバムの1曲目だからだ。実際にアルバムを聴いたのは発売当時ではなく、98~99年頃だったと思う。その時の流行の音楽とは異なる新しい音楽に触れたような感覚があった。


そこまで音数が多い印象はないが、アフリカの壮大な大地を連想させると共に、詞世界のストーリーを演出するメリハリのある編曲。


詞世界を自己解釈すると、自国へ帰ることになった主人公が、アフリカの地で出会った意中の人を、いつの日か迎えに来たいと考えている内容だと思われる。こちらもその後が気になる曲の一つだ。


RAINBOW RAINBOW(陽気なアインシュタインと80年代モナリザの一夜)

作詞:西門加里/作曲・編曲:小室哲哉


不思議な空間に迷い込んだような曲。節目のベース、Bメロのピアノ、儚げな間奏部分などが印象的で、例によって、機械的な音と生演奏の調和を感じた。鍵盤の旋律などは随所に小室哲哉作品の片鱗も感じる。


パノラマジック(アストロノーツの悲劇)

作詞:麻生香太郎/作曲:木根尚登/編曲:小室哲哉


2ndシングル「1974(16光年の訪問者)」のカップリングとなった明るくポップな曲。宇宙的な要素を持つ曲で、改めて聴いてみると、「1974(16光年の訪問者)」と編曲が似た部分があり、こちらもギターのストローク音がアクセントになっている。作曲者が違っても、編曲が似ていれば曲の全体像も似るのだと感じた。




本作は全体的に音数が少なめで聴きやすく、シンプルな印象がある。シンプルながらも引き算の美学を感じさせ、しっかりと楽曲やアーティスト像の世界観を演出できていると感じた。初期の作品だが、宇都宮隆のボーカルも既に完成されている印象を受けた。