名前はあきこちゃん。
男の子みたいだけど女の子だった。
髪が短くて、サルみたいで、やっぱり男の子みたいだった。
なぜか僕はその子の事が好きになった。
僕は強烈に運命めいたものを感じ、いつかは必ずこの子と結ばれると信じてやまなかった。
しかしシャイな砂利ボーイのナオト少年は仲良く話すこともできず、バレンタインや校内キャンプ、修学旅行などのイベントがある度にあきこちゃんから告白されるという妄想を抱いては虚しい思いをする日々だった。
結局告白されるどころかあまり会話することもなく、当時のあきこちゃんとの思い出といえば「1日の思い出はシャツに着いた血」という良くわからないおやじギャグを僕が発し、あきこちゃんがそれを気に入ってくれたということぐらいだった。
淡い想いを抱きつつも小学校を卒業して中学に上がり、僕とあきこちゃんはクラスが別々になった。
活発なあきこちゃんは学年中の人気者になり、僕はあきこちゃんとは別の教室の隅っこで中二病を遺憾なく発祥していた。
そんな二人はほとんど関わることもなくなっていた。
ある日、あきこちゃんのいる教室から女の子たちのむせび泣く声が聞こえてきた。
何事かと周囲に確認してみたところ衝撃の展開が…
あ き こ ち ゃ ん が 転 校 し て し ま う
その事実を知った僕は思った。
小学生の頃から暖めてきたこの想いを告げる時が来たんじゃないか、と。
しかし当時の僕は格闘ゲームの鉄拳に出てくるポールみたい髪形だったし、太っていたし、不細工だったし、勝率は限りなく0パーセントだった。
むしろ中学に入ってからというものほとんど関わっていなかったので 誰? ってなる可能性すらあった。
さらに想像力が豊かな僕は「なんかキモい奴があきこちゃんに告白した」という噂が全校生徒に響き渡ることを恐れた。
結局さよならさえ言えず、あきこちゃんは遠くの町に転校してしまった。
グッバイ、マイファーストラブ。
こうして僕の初恋は静かに幕を閉じた…
…かに思えたが、ある日…
