中2の夏休み。
親戚のおばさん(母親の姉)が遊びにきていた。
その日は地元の夏祭りで、浴衣を着せてもらって
友達とお祭りに遊びに行った。
楽しすぎて、気づけば門限の18時ギリギリだった。
わたしは慌てて、走って家路に着いた。
門限は少し過ぎていた。
走って帰ったので、浴衣が少し乱れていて
呼吸も激しくなっていた。
家に入ると、その様子をみた伯母が
「母さん(祖母)が甘やかして育てるから
この子はこんなふしだらになった」と叱責した。
どうやら、浴衣が乱れてるのをみて
わたしが誰かとエッチでもして帰ってきたと
思われたらしい。
当時、わたしはまだファーストキスも
したことない純新無垢だった。
とんでもない誤解だ。
でもこの人、一度思い込んだら曲げない。
そこからわたし抜きで家族会議が開かれた。
そして翌朝、みんなでごはんを食べてるときに
伯母からこう切り出された。
「あなたのお母さんが見つかった。
あなたを引き取って、すぐにでも一緒に暮らしたいと言ってる。」
祖母は俯き、同居していた伯父夫婦は
何とも言えない顔をしていた。
当時、バラ色の珍生(通称バラ珍)が流行ってた。
あの番組の感動の再開を思い浮かべた。
わたし母親の元へ行くと行った。
伯母の言葉を信じて。
話しはすぐに進んだ。
東北の中学校は、冬休みが長く、夏休みが短い。
始業式で転校の挨拶を皆にして、
すぐに東京に向かった。
飛行機の中では期待に胸を膨らませていた。
母はどんな人だろう。
会ったらわたしを抱きしめてくれるだろうか。
バラ珍の再開シーンが何度も脳内に流れてた。
そして空港につき、母親と対面。
わたしを見つけるなり、すぐに背を向け
「こっち。ついてきて。」と言われ
無言で歩き出した。
母はわたしと同じくらいの身長で
気が強そうで派手だった。
笑顔も涙もハグもなかった。
一気に不安が押し寄せた。
そして空港内のレストランに行き、
好きな物食べなさいと言われ、料理を頼んだ。
改めて向かい合った母は、わたしにこう話した。
あんたを引き取りたいなんて思って無かった。
伯母から急に連絡がきて、押し付けられて
すごく迷惑。あんた何したの?
そもそも、あんたを産んだことすごく後悔してる。妊娠に気付いたのが遅くて堕ろせなかった。
わたし(母)は今、婚約者と同居してる。
婚約者はあんたの存在知ってるけど、
婚約者の両親は知らないから知られると困る。
だから一緒には暮らせない。
仕方ないから、あんた用に部屋を借りたから
そこに住んで。ごはんと風呂は入りにきて良いから。
中学校の入学手続きもしてある。
学校はちゃんと行かせてあげるから感謝して。
わたし、あなたを産んだあとずっと避妊して
他に子ども作ってない。偉いでしょ。
こんな言葉を一方的に浴びせられた。
母親に必要とされてないことのショックと
伯母から聞いた話しが嘘だとわかったことへの
ショックで頭が真っ白になった。
そして、嘘をついて東京に送り出されたことで
わたしはいらないから捨てられたんだと思った。
もう祖母のもとへも帰れない。
母親にも必要とされてない。
わたしには行くところがないんだ。
そう思った。