アロマテラピーが西洋から伝わるずっと前から、
日本には大陸より伝わった香りの文化がありました。
仏教は 538年百済より日本(倭の国)に伝わりました。
仏教と共に伝わった「香り」は宗教儀式に欠かせないものでした。
飛鳥時代に伝わった、最も有名なお経「法華経」では、
十種をもって供養すると説かれています。
この「供養」の中に香りに関するものがあります。
【十種の供養】
華,香,瓔珞 (ようらく) ,抹香,塗香,焼香,絵蓋(ぞうがい),幢幡,衣服,伎楽
この中で「香り」に関するものは
○香
○焼香 しょうこう
香木などを細かく刻んで粒上にしたもの。つまんで、火種に焚く。
○抹香 まっこう
焼香よりさらに粉状にしたもの。焼香の火種にも使われる。
○塗香 ずこう
香木などを混ぜて粉状にしたものを、身体に塗る。仏像や行者の浄化。
そして、直接的ではありませんが
○衣服(香料で染められた袈裟 香衣)
古くは、木蘭(もくらん)という香る樹の皮で染めていました。
ちなみに、香り以外の瓔珞 (ようらく)、絵蓋(ぞうがい)などは、寺院や仏像の装飾に関するものです。
寺院で見かけたことがあると思います。
現代の仏教では、葬儀等の際に「お香典」を包みますが、元々は弔問者が香りを持参していました。
ここから「お香典」と呼ばれるようになりました。
仏教での香り(香木)は、白檀(びゃくだん)、沈香(じんこう)、伽羅(きゃら)などが使われています。
【白檀(びゃくだん)】 サンダルウッド
アロマテラピーでは「サンダルウッド」として知られています。
瞑想、浄化に使われる深みのある、甘い香り。
ビャクダン科
鎮静、抗菌、抗炎症など宗教儀式や瞑想に使用されます。
心の悩みや不安を解き放ち、心身を調和させます。
木材は高級な扇子にも使われています。
前回の「日本の香り1」で紹介した香木です。
【沈香(じんこう)】
主に東南アジア産。ジンチョウゲ科ジンコウ属の樹木。
木が風雨や病気・害虫などによって侵されたとき、その防御策としてダメージ部の内部に樹脂を分泌、蓄積する。
その樹脂を乾燥させ、木部を削り取ったものが沈香となる。
樹液が樹脂となり長い時をかけバクテリアなどの働きによって変質し、独特の香りを持つようになるには、50年から100年以上もかかる。
樹脂は重く、水に沈むことから「沈香」とよばれている。
【伽羅(きゃら)】
沈香の中でも最上級のもので、沈香の油分が4割足らずのところ、伽羅は5割を超える。
黒沈香のサンスクリット語「カーラーグル」が伽羅の語源と言われている。
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仏教が伝わってから現在に至るまで、「香り」は供養として重要なものとなっています。