『献鱼（献魚）When Destiny Brings the Demon』

2025年　８月〜　中国　全33話

出演

司马焦（司馬焦）→陈飞宇（陳飛宇）

廖停雁・邹雁（鄒雁）→王影璐

ガチ（司馬焦）とコメディ（廖停雁）のちぐはぐ感が絶妙で楽しい。

ネタバレ　第１話～第３話。

現代から謎に穿越した鄒雁は、小さな仙門の下っ端弟子、廖停雁の中に入り込み、本人も混乱のまま、仙界の師祖の元で奉公する選抜会へと連れられる。

廖停雁の中身は、ただのらりくらりと穏やかに暮らしていければ何も望まないバリバリの現代人だが、本人の知らぬところの作為によって、思いがけずその任務に選抜されてしまう。

清谷天の師父や師兄は、こんな小さな仙門から選抜者が出たことに大喜びで、半ば無理矢理奉公に就かされるが、それでも現代の社畜のような生活よりはまだいいか、と前向きに受け入れる廖停雁の柔軟性と緩さがいいね笑

司馬焦は、庚辰仙府の師祖であり以下に属する八大宮は、司馬焦の霊火の恩恵を受け修仙する力を保っている。八大宮の宮主たちは、一見、司馬焦を崇拝しているように見えるが、霊火を受け継ぎ誕生した司馬焦を、幼い頃から三聖山へ封印し、血（霊気）だけを奪って力を得ながら500年が経っている。血脈は保ちたいが、持つ力は強大なために自由は与えられず、都合良く利用される司馬焦の精神は限界に達している。

今では、魔域からもこの奉公という名の選抜者に刺客を紛れ込ませ、司馬焦の霊火や彼に属する血凝花（数千年分の修功を得られる）を狙って暗殺を試みているし、宮門などは弟子の娘たちの中から司馬焦と契りを結ばせ、霊火を受け継ぐ子が誕生すれば都合が良いと思っているところがある。

今の廖停雁の中身は現代人だが、元々は魔域のスパイとして奉公に送り込まれたようだから、その身体は魔域の怪しげな男に毒で支配されている。ただ本人は中身が変わっているため、何も分からず謎の腹痛に苦しまされているだけである。毒の緩和のため、既に司馬焦の血を与えられた廖停雁の力は気付かぬうちに筑基期へ達してしまったが、いつそれを発揮するかが楽しみだ。

この世界での感覚とは全く違う思考からの行動で、早速、廖停雁に不信感を抱いた司馬焦は、その身体にある魔気にも気付くが、一旦、命は獲らずに泳がせてみることにしたようである。

自分を暗殺するために現れたと勘違いして問い詰める司馬焦に、妄想癖かよ、からの勢いで「脳子有問題啊」まで口走る廖停雁がほんと笑える。

とにかく司馬焦にとっては、奉公で現れた宮門の弟子たちが全て暗殺者に見え、殺意は常に漲っているが、廖停雁だけが何の算段も緊張感もないことが、全体を重くせず楽しく観られている。

その能天気さで、司馬焦の側の大蛇にも、蛇兄！蛇兄！と懐いているが、蛇兄の方も廖停雁へ何かしらの情は見える。元々仙府の何者かが蛇に変えられているのかも。

宮門の発展のため、打算があって奉公している娘たちとは全く言動も違う廖停雁を、司馬焦は500年の封印を破るために利用出来るかもしれないと思い、疑いながらも自分の屋敷専用で置くことにする。

ほどなく、度々自身の身体に訪れる霊火の熱の苦しみを、緩和出来る力が廖停雁にあることに気付くが、この力は一体どういうわけなんだろう、この力があることが後に何の意味を成すのかも今は全然分からない。元々の廖停雁が持つ力でなければ、何か役目を持った鄒雁が穿越することは運命だったのか。

司馬焦の不憫さや緊張感と、仙府の思惑とは見当違いの廖停雁の明るさが絶妙でこの先どうなっていくのか楽しみ。

つづく

追記ネタバレ　第４話～第５話。

この封印から逃れるため、司馬焦はその方法を探り続けて500年経った今、それを実行する時が訪れる。

執拗に人を殺める訓練だと廖停雁を促していたのも、この計画で、一度、霊火を弱らせる必要があった自分を刺す役割を担わせるためである。自ら剣を立てることが出来ない仙術が掛けられていたため、その役割を果たす人物に廖停雁を選んだのは、口から出る言葉にも心の言葉にも打算や悪意が一切なかったからかもしれない。

この血みどろの壮大な計画に、ひたすら抱えて連れ回される廖停雁は災難だが、考えていることは、師祖ったら腰が細すぎる、封印されている間余程飢えてたのね、とかいう全く緊張感のない内容である。

しばらくは魔域のスパイだと疑っていた司馬焦も、心の言葉にはその片鱗が見えず、与えた力で雪を降らせて自分を喜ばせるために使う優しさなどから、今となってはその疑いも薄れてきたのではないか。

廖停雁の方は、いつ命を獲られるかも分らぬ師祖にビクビクしているが、それも深刻さはなくどちらかというと能天気な雰囲気に癒される。

弱っているとはいえ、宮主たちには歯の立たない強大な力で封印の鍵となっていた子孫を磔にし、500年ぶりに繋がった鎖から解放された司馬焦だが、皆殺しにはしない慈悲は残っている。

今のところの師掌門は、他の宮主と違って師祖側に寄り添っているように見えるが、どうも怪しさが拭えない。

三聖山が火祭りになったため、その師掌門の提案で住居を白鹿崖に移すことになるが、この地は司馬焦の生家であり、父親が火祭りにした場所でもある。庭に広がる黒い花は司馬一族の骨珠（亡骸）から咲いた花であり、悪人から咲いた花は毒となり、善人からのものは霊薬となる。司馬焦によれば見た目では分らぬため摘んだ人の運だというが、以前、三聖山で花を摘んだどっかの弟子は腹黒かったため、毒を摘んでそのまま逝ってしまったようだ。

花を摘んでも異変のなかった廖停雁は、霊薬を引いたと喜んでいたが、そのまま気を失い司馬焦の母親の記憶を辿ることになる。これが母親の花を摘んだという意味ならどこか運命を感じる。

因みに、霊火の熱からの痛みを緩和させる体質は、元々の魔域の者が持つ極寒の体だというから、廖停雁は魔域の出身なんだろう、これが後々、相反することになりそうではある。

元は人型だったと思っていた蛇兄は、まだ人型に成れていなかった蛇妖である。夜洳凌が懐に抱えていた蛇心が謎に力を得て、返した途端に人型となるが、なるほど、、、蛇でも愛らしさが滲み出ていたのは、こうなる（高寒）からか、と納得した笑

白鹿崖には、当然の如く廖停雁も連れて来られるが、しきたりだった弟子たちの奉公はなくなったんだろうか。それでも修仙のために八大宮には血や血凝花が必要なんだろうから、繰り返しになってしまいそうだが。

つづく

追記ネタバレ　第６話～第９話。

母親の記憶を辿った廖停雁は、司馬焦の両親も司馬一族の霊火を必要とする八大宮に封印され、悲劇的な結末を迎えていたことを知る。司馬焦を悲しませぬようこのことは黙っていたが、のらりくらり精神の廖停雁にも同情心は湧き始める。

口調は常に辛辣な司馬焦は、強大な力を持つ反面メイクが薄いせいか儚げで、喜びの時も怒りの時も、見てると謎に切ない気持ちになる。陳飛宇の主演作は現代劇が多いせいかほとんど観ていないが、とにかく常にどこか縋るような表情にきゅんだわ、そもそもの顔面の作りのせいかもしれんが笑　ゆえに、過去の苦渋も背負った運命も不憫な司馬焦の、辛辣な表面とは真逆の内面を知り始めた廖停雁が、今は干物女だとしても、不憫→守ってあげなきゃ→彼のためなら命も捨てる、とかいう流れになりそう。

師千縷はそもそも怪しかったが、こいつが八大宮の頂点に君臨し、表面では宮門全体のためと謳いながら私欲のために息子と共に企んでいる計画がある。そのために白鹿崖（司馬一族）の霊脈を盗んで力を蓄えているが、黒廿九という優秀な諜報員のおかげで悪巧みは全て司馬焦へ筒抜けである。（黒廿九とはあの愛らしい蛇兄が洳凌に名付けてもらった名前。）

この計画を探るため、師千縷を挑発して動きを監視しているが、案の定、自分のこれまでの行いは棚上げにして、横暴な司馬焦へ打つ手がないためにもう一度封印する、という流れへ持っていく。これを能動的にやった風には見せず、あくまでも周りに促された立場を崩さぬところが実に腹黒い。

霊脈を盗んだりするから司馬焦の怒りに触れた、といって封印に一人反対する袁澈に煩わしさを感じた師千縷は、その息子を利用して、袁澈の怒りを司馬焦へ向けさせようと画策する。

息子本人の袁觴は、魔域と手を組んで廖停雁を刺客として送り込んだ男で、未だ毒で廖停雁の身体を苦しめているが、愚鈍さが極まってかわいさすら感じる。中身の変わっている廖停雁にはこの男の記憶がないため、元カレだと勘違いした噛み合わぬ会話も面白い。

結果、司馬焦が殺めたと見せかけて袁觴の命を獲り、封印に賛成させようとしていた師千縷の計画は見抜かれて失敗し、その悪事を知った袁澈は司馬焦へ協力する側となる。

しかしこの師千縷の計画は封印を遂行するまでが目的のため、同じタイミングで知った魔域のスパイである廖停雁を囮にして司馬焦を誘き出す、というところまでの計画に付き合わなければならない。廖停雁の力は司馬焦の血や血凝花によって化神期に達しており、べらぼうに強くなっているが、魔域のスパイとなれば廖停雁の存在は悪であり、司馬焦の立場では生かしておくことは出来ない。そのため、カワウソに変身させて廖停雁の命を守り、宮門には殺めたと思わせる大袈裟な茶番をやってのけるが、その根本にあるのは既に愛だ。

老板という呼び名を普通に受け入れているのも笑えるが、部屋に寄ってみては廖停雁の独り芝居を眺める姿が常に同じで笑う。

毎度驚きなのは、清谷天の師父がその名の通り心も清いところ。廖停雁と同じく、心の声にも弟子への慈悲のみで悪意が全くない。小さな仙門でも八大宮で偉ぶっている宮主たちとは性根が違うため、以前、八大宮全部に復讐して今破滅させても、代わりに庚辰仙府を自分が仕切るのは煩わしいと言っていた司馬焦にとって、清谷天の師父に仕切らせるという望みが見えてきた。（という個人的な希望）

このドラマの終着点はどこなのか不明だが、奴らの目的が近付いた頃を見計らって破壊し、絶望を味わわせると言っていたことを考えると、仇討ちの如く、司馬焦が八大宮とその目的を破滅させるという流れになるのかな。

洳凌については、廖停雁との友情をどこか利用している打算が見えて不安はあったが、その目的は底辺で生きる一族を救うためである。そのために廖停雁の極寒の体が必要なのだが、屈託なく友情を信じる廖停雁を利用することの出来ない良心はきちんと持っていたことに安堵する。

今のところ、悪巧み連中には袁觴の死も廖停雁の死も嘘だとは知られていないが、師千縷にとっては、司馬焦の存在を封印するか、又は殺めるか、どちらでも構わないと思っている節がある。司馬焦が亡くなれば霊火を得る手段が無となり、目的である修仙もまず無理である。それでも命を獲ることを厭わないのは、代替になる何かが既に出来つつあるんだろうか、あの赤焔城に？

面白い。干物がどう変わっていくかも、既に眼差しが愛の司馬焦も楽しみすぎる。

つづく

追記ネタバレ　第10話～第13話。

師千縷がコソコソ行っていることを探るため、二人は早速赤焔城へと出向いていくが、ここでなぜか司馬焦の霊火が反応する。これを探っていくと、司馬一族と同じ血脈である奉山一族の末裔に辿り着いたことに、なるほどとなる。

おそらく奉山一族という呼び名は、霊火を継承する一族全体のことで、その中に司馬一族も含まれているという解釈をしているが、霊火を継承する司馬一族では司馬焦が唯一でも、全体では他にも残っていたらしい。

少し前に、師千縷には司馬焦を殺めた後の代替策があるのかと思ったばかりだったが、その理由は、火焔の痣を持つ奉山一族の厳恒に多くの娘を嫁がせて子を産ませていたからである。その子どもらは当然奪われて、拠点である百鳳山へと監禁され、子孫を残すためだけの道具として奴隷のように扱われていた。

司馬焦には強大な力があって、その力を封印するまでに留まっていたが、厳恒や百鳳山に囚われている者たちは力を持たないために抵抗も出来ず、師千縷の思うがままにされて人としての扱いも受けていない。弟子の命すらも惜しまぬお前なんかが仙道を進んで、そんなゲスな根性でいずれ神となるのか、てかそんなヤツがなれるの？それでも保剣鋒がやさ顔のためあまり悪くは見えないんだけど笑

この運命から逃れられず絶望し続ける厳恒の心は既に壊れており、生きる気力も失って死だけがこれを解放出来ると信じている。ゆえに何とかこの運命から解放させるため、二人は真相を追及して解決の糸口を懸命に探すことになる。

厳恒の境遇は、幼少から司馬焦が同じ様に味わってきた苦しみであり、その死を求める思いは互いにしか分からない。それでも自分のことのように寄り添う心優しい廖停雁のおかげで、今の司馬焦の心は救われている。この間も、二人の距離は急速に縮まっていくが、人の真心を知るだけの司馬焦が、逆にその術を反射で当てられて「因為我對你珍而重之不想讓你受絲毫傷害」（君を大事に思ってるから傷付けたくない。）などとキラキラの瞳で言っちゃってるのは、ほぼ告白ではないのか、、、顔面が優しすぎてドキドキだったよ笑

なんとか救いたかった厳恒の心だが、二人の尽力も虚しく、彼にとって絶望から逃れる術は自身の消滅であり、唯一手元に残された子に同じ運命を背負わせないため共に昇天することを選択する。

子の命は何とか守れたものの、心を壊された厳恒の命は終わりを告げ、司馬焦の心もまた深く傷付いてしまう。逃れたくとも逃れられない運命から解放され、自分を含めた一族も同じ選択をすれば血脈によって利用されることも無となる、とも脳内には過ったかもしれない。悪夢の中で見せた母親の言葉に困惑する司馬焦が切なすぎた。

背負った運命の結末に迷いながら、巡り巡って百鳳山まで辿り着いた司馬焦は、奉山一族の強いられる悲惨な日々を目の当たりにする。「血をあげるからお粥をちょうだい。」というほんの小さな子どもに胸を痛め、同じ一族が惨い扱いを受けていることにその怒りは頂点へ達する。

あの奴隷のような日々を送る人々の周りに、司馬一族肉体は残らず骨珠が黒い花となる、というあの花が点々と散らばっていたが、あれはここで命が尽きた人々のものなんだろうか、、、と考えていたら猛烈に苦しくなった。

すかさず師千縷の手下どもを滅して、人々は救われたかに見えたが、結界を出れば命は尽きる運命からは逃れられず、囚われていた一族は全て命を落とす。この残酷な仕打ちは、一度自分に過ぎった思いを再び呼び寄せる結果となり、奴らの思い通りにはさせぬため、一滴の血も残さず自分の命を捨てて解脱を果たすことを決意させる。

最後の力を振り絞って敵もろとも焼き尽くす寸前のギリギリでそれを止めたのは、カワウソ姿で駆け付けた廖停雁の存在である。

傷付けたくないと言っていたその言葉は嘘ではなく、好いた女の命を守るため破壊を留まった司馬焦は、力を使い果たして虫の息。

謎の仙者によって、一旦、追手の宮主たちには見付からぬ別次元に隔離された二人だが、瀕死の司馬焦を救える希望の光が自分かどうか試してみないと分からないなどと言われた廖停雁は、仙者がかつて授けた封印の珠を外すことに挑戦する。

あっさり外れた封印に若干困惑したが、開幕で、あの珠に呼ばれて穿越したことを考えると、これも運命だったんだろう。その後も、司馬焦を善へ向かわせる役割や、残った霊火を良い方向へ解決出来るよう、側で支える役割を念押しして静かに去って行った仙者、、、司馬焦という不安定な存在をよもや廖停雁に丸投げするとはね笑

これで目を覚ますと思いきや、そう簡単にはいかない。

今度は、司馬焦の一体となっている霊火によって、こいつは君のことが好きに決まってるんだから霊府へ入って救えるか試してこい、などと言われた廖停雁は、訳も分からぬまま、おでこコッツンで司馬焦の霊府へ入って行く。この霊府とは、仙侠ファンタジーでよくある識海みたいなものだと思われる。

試せ試せと言われてばかりで大忙しの廖停雁だが、おそらく運命で決まっているため、この過程は必須である。これが突然エロくなるもんだから若干の困惑はあるが、ここに至るまでの心を寄せ合う過程と、背負った運命による一族の悲劇など、ガチとコメディの緩急が絶妙な混ぜ合わせで進むため、ほんと面白い。心の動きに伴う陳飛宇の表情が抜群だな、、、

既にお互いの霊府に行き来する仕様になっているのが謎だけど笑

師千縷の手には、他にも霊火を継承する何かが残っているようだから、次はこれも見付け出さねばならないが、赤焔城で起こった悲劇の苦しみを癒すための穏やかな時間があるといい。

他にも、殺意みなぎる洳凌の存在と、魔域出身の廖停雁が今後どうなっていくのかも見守らねばならない。

つづく

追記ネタバレ　第14話～第17話。

奉山一族の血を奪うための拠点だった百鳳山を破壊された師千縷は激おこで司馬焦を探し回っているが、今のところ、司馬焦は停雁と共に得意技の別人に成り代わって追跡を躱している。

人々は、司馬一族の助けを借りて飛升する者を地上から羨望の目で見ているが、実は飛升の途中でその神魂は塵となり、それが地上への霊気となって分散している。そのため飛升した者たちは誰も神には到達出来ず散っていくだけの存在だという。この天道の呪いを解くには、霊火との融合しかないが、この秘密は司馬一族のみが知ることで、他の者は知らずに飛升を繰り返していたようだ。

これが司馬一族の助けを借りずに飛升すれば、呪いを受けずに済むのか正直分からないが、庚辰仙府の者は皆、司馬一族の恩恵で修仙を行っているため、この呪いから逃れることは出来ないんだろう。

この司馬一族のみが知る秘密を謎に知った師千縷は、霊火との融合のために奉山一族の血を奪っていたのである。全ては飛升して己の命を延ばすための身勝手で貪欲な悪行というわけである。この融合とは、自分の血と霊火を持つ一族の血の融合なんだと思う。

追跡を躱して停雁を守りながら、傍らで残った霊火の在処を探す司馬焦は、遭遇した師千縷の手下を軒並み傀儡にして回り、根回しは行き届いている。

この間、停雁との世界はまるでこの世に二人だけかの如く、メロメロな日々を送っているが、互いの想いがその芝居から伝わって視聴者としても実に心地良い。師千縷が大事に飼っていた霊魚を食べまくったのには笑ったけど。ただこのメロい日々もどこかで虐へと向かう伏線かと思うと若干怖い気持ちはある。

正直いって、この二人＋廿九以外は、洳凌ですら打算や陰謀が背面にあって信用出来ぬ存在ばかりである。

その洳凌は、一族を救うためのあの屏境を破壊するため、司馬焦の命を狙っているが、これが師千縷の利害と一致し、信頼関係はなくとも現在は協力体制にある。そのために純粋な廿九の想いを利用していることは看過出来ないが、たった一人で背負った一族の運命と良心の挟間で苦しむ洳凌には少し同情する。停雁を犠牲には出来ないため、今のところの洳凌の選択肢は司馬焦の命を獲る以外ないが、その他に方法が見付かればいいなと思っている。

ほどなく化神期の停雁への渡劫が近付いてくる。

化神期だというから、この試練を果たせばおそらく神へと飛升するんだろうが、あの能天気な感じで大丈夫なんだろうか笑

それはともかく、定番の雷刑で受けるダメージを阻止するため、出来る限りの法器を手作りして停雁を守るその気持ちだけでちょっと感動物である。

天に疎まれる司馬一族は、その霊気を感知されただけで試練は過酷となるため、自分は遠くで見守るだけだが、あまりの激しさに法器も滅多打ちにされた停雁を守る次の手は、自身の身体を盾にすることである。目の前に立ちはだかって雷を受けては逸らし、どこまでも停雁を守る司馬焦には素敵しかないが、停雁の胸もドッキドキである。

この様にして、与えた分だけ返してくれる二人の心の寄り添い方がすごくいいと思います、、、

いよいよ袁澈が疑われ、師千縷が策を練ってくるが、これを見越した司馬焦の本命が傀儡になった手下だということを師千縷は知らない。

つづく

追記ネタバレ　第18話～第19話。

司馬焦の罠にかかった師千縷が他に気を取られてる隙に、共犯である息子の真緒を追って太微山へと足を踏み入れることとなった司馬は、この過程で、その真緒の命を停雁の手で奪わせる。

停雁の手で人の命を奪わせることに意味があるのかは謎だが、常に命を狙われてきた司馬焦には、貶められる前にヤるという繰り返しが日常だったため、それが停雁にとっては傷を負うだけの行いだったことを知るためだけの描写だったのかもしれない。そのため、二度と望まぬことを強要しないと誓い、ヒビの入りかけた関係もすぐに修復したことに安堵する。

ほどなく太微山で師千縷の秘密基地を見付けた司馬焦は、そこで奉山一族の血池を発見するが、その下層に閉じ込められていた謎の声に呼び寄せられてその男と対面する。

これが父親だったことには驚きだが、あの火祭りで亡くなったわけではなく、その後500年間この地下で生かされていたのである。

この父親から聞かされた話は、飛升の呪いを解くために融合した霊火が必要だという少し前の話で受けた自分の解釈から少しズレていた。

元々、融合した霊火を欲した八大宮が司馬焦の両親を婚姻させたのだが、より純粋な霊火を持って生まれた司馬焦の存在によって欲が欲を生み、更に多くの子を産ませるために封印されていた。この道具とされる司馬一族の運命を終わらせるため、一族全ての霊火を司馬焦に融合させてより強大な霊火を培養し、現在の司馬焦が持つ霊火となっている。

前回の話で、司馬一族の霊火が問題で飛升出来ずに塵となるのだと思っていたが、今回の話を聞くと、飛升の呪いというものが元々あって、それを解くのは融合された霊火であり、それを持つのが奉山一族の血脈だった。八大宮はその血を得られねば飛升出来ないため、司馬一族を道具としていいように利用してきたが、500年前のあの時、これ以上、司馬一族の血脈が犠牲を強いられないよう、一族全員が命を捧げて融合させた霊火を司馬焦一人に委ねて散っていき、その融合した血を現在は司馬焦一人が貪られているという話なのだ。

ならば大人しく恩恵を受けていればいいものを、師千縷は自分が庚辰仙府を支配せねば気が済まず、司馬焦に媚びることなく支配下で霊火を得るために奉山一族の血を奪って、生かされた司馬父の身体で霊火を培養していたんだと思う。

どうもズレているのは、司馬一族の未来の犠牲を終わらせるための当初の目的だが、そもそも一族って司馬焦一人しか残っていないんだけど、、、結局、その唯一の存在をより強大にして司馬焦一人に犠牲を強いているのは八大宮と何が違うんだろう。という司馬焦と同じ疑問にぶち当たるが、その回答がよもや、この輝かしい力を持つ司馬一族は、お前がそれに耐えて生き続ける限り絶えることはない、とかいう話になるとは驚きである。

というわけで、元々の目的とてんで違った自分勝手な血の存続欲へとズレていることに困惑する。かわいそうな司馬焦、、、

これを息子へ伝えるためだけに生を保っていた父親は、達成した途端に塵となっていく。

ここから師千縷の陰謀は、司馬焦の手によって破壊されることになるが、一方で、囮として囚われていた停雁も太微山の破壊に巻き込まれ、必死の捜索も虚しく未だ行方は分かっていない。

18年が経ち、眠り続ける司馬焦の傍らで、魔域との争いが激化している仙府では、戦いに挑む廿九が一段と凛々しくなっている。

師千縷の霊火のための策略は失敗し、目を覚ました司馬焦の、次の舞台は魔域へと移るようだが、それでも未だ師千縷は生き永らえていた。しかも当時記憶を失くした停雁を謎に傍らに置いて洗脳し、相変わらず司馬焦の命を狙っている。

霊火を巡る取り合いに、弱点である停雁が利用され、魔王も参戦するとなると、更に不憫な立ち位置になってしまうよ、、、

今回、袁澈を守って息子の袁觴が消滅するシーンがあった。

せっかく父親が隠してくれていた亡くなったはずの存在を、目を見張るポンコツっぷりで台無しにした袁觴は、そんな自分を懲りもせず守る父親を庇って命を落としたのだが、ポンコツでどこも良いところがなく、特に思い入れもなかったのに、あの一連の庇い合いが謎に苦しくてこのドラマ初、涙を流した。

つづく

追記ネタバレ　第20話。

司馬焦が眠り続けている間、魔域との屏境に亀裂が入り、多くの仙府の住人が魔域に連れ去られていた。

18年前、取り残された停雁を救った洳凌は、ヒーヒーで逃げ出して爆発を回避したが、しぶとく生き残った師千縷は、二人を捕えて魔域へと連れ去ってしまった。というわけで行方知れずだった洳凌も、記憶を失くして停雁と共に魔域で生きていた。今は、一族を救う重荷を忘れて穏やかな日々を送っているが、停雁の方はそうはいかない。

停雁の特殊な身体を利用して司馬焦の命を奪おうとしている師千縷に、停雁は救われた恩を感じて期待に沿おうとしているが、腹が立つことに、師一族の目的（霊火を奪って司馬焦をヤる）を台無しにして地に落とし、真緒は停雁を庇って司馬焦に命を奪われた（実際は停雁が手を下した）などと言って、殺意を抱かせようと必死である。その上、無理矢理洗髄などという儀式で停雁を苦しめて、極寒の技を極めさせようとしている。この様子だと霊火に対抗出来るのはどうやら停雁の持つ極寒の体のみらしい。

てか師千縷さぁ、少し落ち着けよ、、、ことある度に血管浮かせて怒鳴り散らしてんじゃないよばかめ。それでもやっぱり保剣鋒のやさ顔がそう悪く見えないの、ほんと困る笑

同じように、魔王も寒魚（停雁）の行方を血眼で捜しているが、全ては司馬焦を消滅させて師祖の霊火を奪うためなんだろう。

四方から狙われ利用される停雁は、このまま穏やかに生きていくだけでいい、という元々の気質は変わらないが、師千縷に急かされる日々で、以前のような能天気な姿を見られないのがちょっと悲しい。

停雁は司馬焦への恨みも持たぬため、急かされても全く気乗りはしていない。これが再会した時の救いではある。

司馬焦はひたすら停雁の行方を捜すだけの日々を送り、魔域の城という城を落として支配下に置いているが、遂に停雁の住む城までやってきて、べらぼうにイカした廿九（蛇姿）と共にド派手に入城する姿にはゾクゾクする。

もはや４人の再会の時は近いが、停雁も洳凌も記憶を失くしているため、ちょっと切ないターンになりそう。

今回は、あの哀しい最後を迎えた厳恒の娘が生きていたことに安堵するが、すぐさま奉山一族の霊気を隠す術を施す師祖が優しすぎて好きしかない。

つづく

追記ネタバレ　第21話。

面紗で隠れた洳凌の顔面は曖昧でも、マスク姿の停雁には余程確信のあった廿九は、割とあっさりと彼女を捕らえて司馬焦の元へと連れて行く。

ここでついに再会を果たすが、記憶のない停雁には師千縷の言い分と司馬焦の言葉がてんで真逆なことに混乱する。

再会だけを夢見て過ごしてきた司馬焦は、静かに目の前の停雁を抱き締めるが、記憶を失くした姿に取り乱すことなく、戻ってきてくれただけで満足げである。

聞かされていた姿とは全く違う優し気な司馬焦に、懐かしい思いを感じた停雁には、無理強いされた殺意なども長くは続かない。少し前に襲われて命を落とした洳凌も、再び蘇らせるという神業を約束されたこともあって、悪人ではないことは感じ取ったようである。この術は、司馬焦の身体にも相当な負担がかかるようだが、その代償も甘んじて受け入れる覚悟はある。

再会したのはめでたい出来事だったが、周りの動きが不穏すぎて不安しかない。師千縷や冥離（趙順然）に加えて、停雁を好いてる様子の風起（吴宇恒）のウザ絡みが今から想像に堪えない。

てかこれって悲恋なのかな、、、どう考えても停雁を生かすために命を投げうって散って行きそうなんだけど。

つづく

追記ネタバレ　第22話～第23話。

敵の根回しに悶えながら今は辛抱の時、、、

相変わらず記憶のないまま、司馬焦の優しさに絆されていく停雁だが、厄介なことに穿越前の鄒雁（現代）の記憶は残っている。そのため、司馬焦が道侶といって愛を向けている停雁は、自分ではなく穿越前のこの身体の元主だと勘違いをしているのだ。いや、過去も現在も君なんだよなぁ、、、

太微山爆発の後、師千縷に連れ去られ、記憶を失くして魔域で過ごした日々は簡単ではなく、ヤらねばヤられる世界で人を殺めることを躊躇ってはいられなかった停雁の記憶を見せられると、実に苦しいものがある。ゆえにかつてのように能天気ではいられず、本質は失くさずとも18年の間に少しずつ変わっていったのは事実である。

司馬焦を愛した記憶も失くし、その彼が初対面同様の停雁にとって、洳凌が戻ればここを出て二度とあなたの前には現れない、と言っちゃったりするのもごく自然なことだろう。

ただし、そう言われてひたすら哀し気な司馬焦が不憫でたまらないよ、そんな縋るような表情は反則だろ！！それに加え、回復せぬ身体で無理に力を使うことも、この先の不穏さが否めない。

この辺りで、司馬焦の追っ手から逃げ惑う師千縷とその妹（千度）を捕えた実に優秀な廿九だが、千度はしょうもない兄を逃がして司馬焦との対面を果たす。てか、この千度って誰よ笑　全く覚えてないんだけど、どこら辺にいたっけ、、、

ともかく、この千度の記憶を辿って、師千縷が嘘で塗り固めた過去の事実を停雁へ証明することになったことで、ひとまず安堵していたのに、根回し良く記憶の改ざんが行われていたことに仰天してあっという間に悶えるハメになる。

事前に自分の記憶を探られることを見越していた千度（こういう悪智慧に関してだけは賢い）は、改ざんした記憶を見せられた停雁に湧いた憤怒を煽って司馬焦をヤらせてしまおう、師家の仇討ちは必ず果たさねば！、、、とか言っちゃってんだが、仇討ちとか滑稽が過ぎる。先祖の代から脈々と受け継がれる、人を利用して私利を得るという愚行は、むしろお前らが率先してやっていたのだが、仇を討たれるならまだしも仇討ちなどとどの口が言っているのだばかめ。

このせいで信じかけていた司馬焦へ再び疑心と恨みを抱いた停雁だが、自身の霊府で目撃した事実と、今しがた目の前で行われていた千度の記憶が食い違っていることを思い直して、やはり師千縷に騙されていたのではないかと思い始める。

このドラマは、ストレスターンをあまり長引かせないところが良点の一つである。ゆえにすぐに改ざんされた偽の記憶だと気付く方向へと向かっていることにいくらか溜飲は下がった。

それでも風起が謎に運命だと思い込む停雁への粘着度と、冥離の策略が控えていることを忘れてはならない笑

他にも、寒魚だという停雁の元主の魂はどうなっているのかな。

つづく

追記ネタバレ　第24話～第27話。

洳凌の重生は成功し、少し幼い姿で戻って来て一安心。大人の事情で口に出来ないことも、思ったことをポンポン口にする洳凌の言葉に皆が気まずい思いをするが、逆に言いづらいことを代弁する洳凌は、風起にとっては都合が良かったのかもしれない。

今の18年間の記憶のみしか持たぬ停雁には、洳凌と風起だけが気を許した友人だが、風起はその利点を生かして司馬焦から引き離し、寒魚の頃の記憶を蘇らせることに必死である。記憶が戻ったとてどうなるわけでもないだろうに、停雁の心も手に入れられるという妄想で突っ走ったあげく、師千縷や冥離と手を組んで悪巧みを始めるんだけど、、、自分の想いだけを貫くために、好いた女を窮地に落とす風起は、善人ぶっていてもただ自分勝手な我儘を通すだけの存在で、この男の粘着質な行動全てが気持ち悪い。

逆に、その風起を利用して前魔王の復活を果たそうとする冥離には、謎に腹は立たないのだが、師千縷や風起と違ってその中には私利だけでなく忠心が存在しているためかもしれない。個人的に趙順然が好きってのもある笑

停雁に避けられる司馬焦は、無理強いはせず彼女が起こす行動も本人に委ねてじっと耐えていたが、その周辺に迫る危機からは目を離さない。それでもその不憫な姿は今回も長くはなく、自身の霊府で失くした記憶を探った停雁は、記憶は戻らずとも彼は自分が愛した男なのだと気付く。同じタイミングで、長年、師千縷に騙されていたことも明白となったため、以前と同じように関係を築き始めて安堵する。

「我們巳經過了嗎」からの「我不明白」返しをする司馬焦の顔面に萌えを感じました、、、

重生した洳凌から以前にも増して塩対応を受ける廿九はちょっとかわいそうだけど笑

以前から、師千縷の療養のために谷雨塢へ移住することを考えていた停雁は、その思いを利用した悪三人組の策略でその地へ向かう流れとなるが、実際は、寒魚の育った地である白骨淵を谷雨塢と見せかけた幻想の地だったのである。住民には停雁を安心させるためだけの存在で清谷天の師父もいたが、これも洗魂術を使ってその姿に成りすましただけの悪巧みの手下だった。

何も知らずに訪れた停雁の、寒気の力をより増大させるこの地で過ごす間、停雁へ与えた防衛鐲から伝わる強い寒気で司馬焦の身体は相反して衰弱していく。

この間も涼しい顔をして停雁を気遣っている様子の風起には、人の心を顧みない貪欲な腹の底が見えてイライラする、、、

ここで過ごす間、以前のように睦まじくなってきた二人だが、互いの身体の異変に薄っすらおかしいことに気付いた司馬焦は、推測を事実にするためこの幻想の破壊を試みる。

桃源郷だと信じていたその地は、見る間に寒々しい雪山に変わり、すぐに悪巧み連中との戦いへ突入する。

その間、現魔王を生贄にして前魔王を復活させる準備を進める冥離だが、これを成功させるためには、力の源となっている血池を奉山一族の血で満水にせねばならない。そのために司馬焦の命を狙っていたのだが、その命を奪えるのは寒魚の停雁のみである。

これまで防衛鐲で守られていた停雁の命は、逆にこれが司馬焦の命を縮めていることを知った停雁が自ら外してしまったため、逆恨みの仇討ちでのこのこ現れた師千縷と冥離によって簡単に囚われてしまった。その上、気を失っている間に寒魚としての本能が目を覚まし、救いに現れた司馬焦の命を奪ってしまうという惨事に発展する。記憶とは言わず本能と言っている辺り、停雁が言っていたように寒魚だった元主の魂は塵となり身体には残っていないようだね。

師千縷は、より生き続けようとする貪欲な心で霊火を利用し、それが息子の仇討ちへと変化しながらここまで来たが、18年間共に過ごした停雁への情は僅かながらも湧いていたようだ。それでも司馬焦を滅すことに停雁を利用することは止められず、その戦いで燃え尽きてしまった。当初の長寿という目的とは違っていても、今や仇討ちを果たせばこの死も価値はあったらしい、本人的に。それを果たしたと思いながら消えていった師千縷にとっては本望だったんじゃないか、まあ果たせてはいないんだけども、、、

しかし司馬焦を刺した直後に我に返った停雁はたまらない。

この絶望した勢いで霊府に入り、待ち構えていた記憶と合体してハートの部分での力を獲得し、その足で奪われた彼の血で復活を果たそうとした元魔王を滅するが、何故か欲しくもないその内丹を得ることになって、いきなりの新魔王の座を手にする。

ここから、息巻く魔域の連中を抑え、司馬焦を救いに飛んで行った停雁は、司馬焦の霊府でヒントを得て雷鳴山谷へ向かい、かつて自分の代わりに雷刑を受けた司馬焦の如く今回は自分がその役割を果たす。猛烈に降る雷の激しさも魔王の内丹の力で耐え凌ぎ、その電力が司馬焦へ伝わって、再び霊火が燃え始めて息を吹き返す結果となる。

まるで雷がスイッチのように霊火の動力になるこの仕様はイマイチ謎だが、目を覚まさぬ時間が一瞬で終わり、速攻で仙府と魔域の結束までいった流れに、問題を長引かせぬようとするこのドラマの意志を感じる笑

ただし元魔王の一筋の欠片はまだ消え失せていないため、コイツ＋冥離との戦いが最後の山場となりそうだが、奉山一族の生き残りである彼岸（王雅佳）が乗っ取られたことがきつい、、、あの哀しい惨事でなんとか命を取り留めた彼岸が、このせいで命を落としたりしなきゃいいが、たとえそうなっても、貰った命をここで返したとかいって死に意味を持たせたりしそう、、、

つづく

追記ネタバレ　第28話。

前回、前魔王が彼岸の身体を乗っ取って元神を修復し、九幽煉獄に封印された魔域の大軍を解放して世界を征服する、という悲願を語っていた。そのために忠臣の冥離が継続して風起を利用し、停雁に近付いてくる。

風起は、停雁の体内にある魔丹と彼女自身の融合が出来ず、その身を蝕むことを阻止するため、この時は純粋に助けるつもりだったんだろう。しかし事前に魔気を注入された風起は操られ、仙府と魔域の結束を揺るがす事件を起こす。あんな気のいい牛三がその生贄にされるとは、、、良い子だったのに。

民衆同志の些細なことからの争いも、この結束した二界に混乱をもたらすための魔気の仕業だったんだろう。

この冥離の暗躍はすぐに発覚し、司馬焦によって一瞬で塵となるが、これで冥離は退場ってことだよね、、、？となると、彼岸の身体を乗っ取った前魔王一人となり、どうみても悲願は達成出来そうもないが、乗っ取られた彼岸の命が心配だ。

一方、自分の望みを叶えるため、結果的に停雁を苦しめた風起は、やっとその事に気付き自害しようとするが、司馬焦に阻止されて追放された格好となる。

魔王はしぶとく存在するものの、ひとまず目の前の災難は去り、残るは停雁の中の魔丹の処理となるが、これが体内にある限り身体は侵蝕され続け、いずれ意識を乗っ取られて魔王の傀儡となる。

それを阻止して停雁を生かすため、司馬焦は自分の命と魔丹とを相殺することを一人決意するが、その表情は殊の外穏やかである。長い間、利用され続けたこの命は、停雁がいなければとっくに捨てていた命である。自分が消滅すれば利用されることもそのために争いが起きることもないと思い続けたこれまでだが、停雁の命を守るために落とすこの命には全く未練はないようだ。愛が深い。

それを知らされた廿九への衝撃は半端ではなく笑いごとではないが、腰にしがみつく姿がちょっとかわいくて笑っちゃったすまん。

明日（９月１日）の29話でそれを実行して、30話からの３話は人間編（カレンダー参照）のようだが、元神は消滅せずに人間界へ落とされるのなら、まだ希望はあるね笑

つづく

追記ネタバレ　第29話～第33話（最終話）。

魔丹は取り除くことが出来ず、体内でそれを制圧出来るのは霊火しかないため、司馬焦は自身の持つ全てを停雁に移して塵となるわけだが、残された停雁はたまらない。

停雁の統治で仙府と魔域の諍いはなくなり、二界には安寧が訪れるものの、失くした存在で空いた穴は塞がらず、幻を見ては涙を流す日々を送る停雁が不憫だ、、、かつての雷刑といい、この辺りもちょいちょい永遠の桃花～三生三世～がよぎる笑

19年が過ぎ、廿九の怪しげな行動から司馬焦が輪廻を経て人間界に存在することを知った停雁は、すぐに扈国へ向かうが、当然、司馬焦に前世の記憶はない。

以前と立場が逆転して、今度は停雁が耐えるターンとなるが、あの時の司馬焦と同じように、停雁もまた、生きていてくれただけで十分だったようだ。

司馬焦は、この国の君主という身分だが、国主の座を狙う南堰侯（黃海冰）の暗躍で、その座は常に脅かされている。そのため突然現れた停雁を、南堰侯の手の者ではないかと、まるで序盤の頃のように疑っているが、それも長くは続かないのがこのドラマの良いところ。司馬焦の母親（曾黎）が前世と同じ母親だったことも望み通りで、この辺りも視聴者を喜ばせるシナリオ作りに優しさを感じる。

魔王は相変わらず彼岸の身体で元神を修復しながら、利害の一致した南堰侯を利用して九幽煉獄を開こうとしているが、そのための策も先を読まれて悉く失敗している。この過程の、干ばつに苦しまされる土地で、洳凌や廿九と共に仲間たちが空からスイッと現れる姿には歓喜しかない。

なにかとセコい魔王の策だが、失敗続きの魔王と手を組むことを半ば諦めた南堰侯を動かすための策（娘を殺める）などは、どっかで見たと思ったら師千縷が真緒に仕掛けた技（恋人を殺める）と同じではないか。

一方の停雁は、司馬焦の策を円滑に進めさせるため洳凌や廿九と協力しながら尽力しているが、霊火で抑えられていた魔丹は日を追うごとに力が増し再び操られ始める。

この魔丹のせいで、一度は司馬焦へ刃を向けた以前の自分を思い返し、二度と操られるわけにはいかぬ停雁は、自身の霊力で霊火を増大させて魔丹を抑え込むことにするが、この代償はやはりその命である。いずれ全ての霊力を使い果たして消失することが分かっていても、司馬焦の最大の禍である魔王だけはこの手で消滅させねばならぬと停雁は密かに決意するが、その運命を受け入れて終活の如く死の準備をする姿には哀しいものがある。

やっと再会したかつての司馬焦のように、停雁もまた愛のために消え失せることを受け入れるこの相互の自己犠牲よ、、、

魔王を滅し（彼岸は無事だったはず。）、自分のこの世界での役目は終わった、といって塵になった停雁だが、度々描写のあった現代の状態と、最後の三界でもない別の場所という表現から、現代に戻るところまでやってくれるのかという期待で猛烈に胸は高まる。

九幽煉獄の入り口で塵となった停雁は、元の鄒雁の身体へ戻って現代で息を吹き返すが、司馬焦と過ごした日々が夢なのか現実なのかを考える間もなく、これまでの社畜生活に戻ることになる。

絆創膏装着でチャリンコを漕ぐ必死な姿に現代を見て、若干ふふっとしながらも、再会シーンには満たされた何かが押し寄せた、、、しかも序盤を踏襲して肩越しに見下ろすところまで同じだった。

この後の、出会ってからを振り返る編集で胸が一杯になりました、、、

終盤に入ってから、この先、現代には戻らないまま終わるのかと思っていたため、最後の再会にはちょっとした感動をもらえる。実際には、運命や輪廻などを信じている方ではないが、それがあることをドラマ内で想像するだけでも浪漫がある。

絶妙な相性で楽しませてくれた主演二人はどちらも良かったが、特に陳飛宇の、心の動きに合わせて微妙に変化する表情は必見かもしれない。16話辺りで宮主の娘に痛めつけられた停雁を目にして悲しむ表情が、光りすぎていて印象深い。

献鱼（献魚）When Destiny Brings the Demon 全33話