『滤镜（濾鏡）Filter』

2025年　２月～　中国　全32話

脚本　桐华（桐華）

出演

唐奇→檀健次

苏橙橙（蘇橙橙）→李兰迪（李蘭迪）

苏渺（蘇渺）→罗秋韵（羅秋韻）

普段、事前に内容を確認せず配信されたものを順に見漁っているため、日常の恋愛ドラマかと思って覗いてみたが、SFファンタジーでちょっとびっくりした笑

都市劇を２つ同時に観ることはほとんどないが、これもちょっと面白い。

ネタバレ　第１話～第３話。

まず初めに、蘇橙橙が「難看」と言われ続けていることに説得力があまりない。

だって李蘭迪（左）ですよ。このドラマでは、ほぼスッピンを晒しているが、溢れ出る可愛らしさでぷすというにはあまりに無理がある。ファンタジーのため、度々、蘇渺（右）にも変身するが、こちらは皆が振り向く程の絶世の美女という設定である。どちらも美しいよね。

橙橙は、求職中で面接を受け続けているが、服装にも拘らず見た目も良くないために悉く不採用とされている。それでも人並みの倫理観を持ち、知らぬ人のためにも勇敢に戦って人々を救っている。おそらく仕事に関しても卒なくこなせるんだろう。なにより身体能力が桁外れに高い。

一方の唐奇は、千鳥集団の美容品開発研究者であり、こだわりが強く一風変わった男である。

この二人は学生時代の同級生で、橙橙はこれまでずっと唐奇に恋をしていたが、唐奇にとっての橙橙は少し怖い存在で、どちらかといえば敬遠していたようである。

それも純粋な想いを伝えようとしている橙橙が不器用すぎて、唐奇の目には、力の強い怖くて奇妙な少女にしか見えなかったからである。

ほどなく二人は同窓会で再会することになるが、橙橙の緊張とは逆に、化粧の崩れた橙橙の顔への感想を「好難看」と口にした唐奇の言葉で、慣れている他人の反応でも思いのほか傷付いてしまう。

おそらく唐奇は、美容品への感想を口にしただけで、容姿に関してそう言ったわけではないが、あのタイミングではそう思われても仕方ないかもしれない。

傷付いてトボトボ家に帰る途中で、橙橙は花売りのおばあちゃんに腕輪を貰うが、その奇妙な腕輪の作用で、ある時突然美女に変身する。

その変身した顔面で、新商品のモデルを捜していた唐奇に遭遇するわけだが、唐奇にとっては、車に轢かれそうになった子供を助けた橙橙の行動＋蘇渺の顔面のダブル作用で、どうやら一目惚れをしたようである。これが橙橙の顔面であっても惹かれたかどうかは、これからを見ないと分からないな。とにかく蘇渺をモデルに使いたくてたまらない気持ちになった唐奇は、やっとのことで彼女と再会する機会を得ることとなる、、、と思ったら、現れたのが橙橙だったことにあからさまに落胆する。

ちょい、その態度はあまりにも失礼だろ笑

見た目は重要視していないと思わせて、結局、顔かよ、と思われても仕方のない態度に、訳も分からず着飾らされた橙橙はぷんすこである。この唐奇の反応は、学生時代のイメージが脳裏に刻まれているからだと思われる。

この後、蘇渺に変身して、美しさの定義を語る橙橙の言葉に感銘を受けた様子の唐奇は、ますます蘇渺に固執することとなる。これがぷすの言っていることなら、反応は違ったかもしれない。同じ言葉でも、容姿の違いで受け取り方は良くもなり悪くもなり得るのだから。

というわけで、ただのSFファンタジーのラブコメではなく、割とテーマのあるドラマのように感じた。

この後、自分の要求通りのものを完遂した唐奇に押し切られ、結局、モデルを引き受けることとなる橙橙だが、同じ会社で働きながら変身してモデルを続けるには、あまりにも無理があるため、どこまでこれを続けて、どの辺りでバレるのかが気になる。

やっぱ檀健次は芝居が上手いな。

つづく

追記ネタバレ　第４話～第５話。

モデルと職場を行ったり来たりで一番頑張っていたのに、蘇渺だけが絶賛され、橙橙は早くも職場の同僚に煙たがられる。そりゃそうなのだが、陰でも面と向かっても嫌味を言われる橙橙を見るのがつらい、、、といっても今のところはコメディなので、そう深刻ではないんだけど。

唐奇はしつこいくらい蘇渺に夢中になっており、橙橙を見る目は引き続き冷たい。しかもだ、この出会って間もない段階で、結婚まで考えている。本人は否定していたが、橙橙が言っていたようにやはり顔なんだろうか。確かに見た目が良ければ多少の欠点も欠点に見えないのは否めないが、唐奇は蘇渺の違う面も見ているし、まだ分からないな。

この魔法のブレスレットは、天気に左右される代物らしく、これに振り回される橙橙は、タイミング悪く現れる唐奇にも誤解を招くような行動をせねばならない。当然、唐奇は勘違いして告白までしてしまうのだが、元に戻るタイミングを自分では決められないため、もうヤケクソ（湖にダイビング）である。

盛大なハチャメチャコメディで、この繰り返しがどれだけ続くのかは謎だが、この先の展開で、結局、唐奇は容姿しか見ていないのか否かが気になる。個人的には、一目惚れなどしたことがないため、その心境は分かりかねる。もちろんあらゆる場面で、見た目が重要なのは分かっているが、そこだけではないという全人類の希望をドラマでくらいは味わいたいところではある笑

つづく

追記ネタバレ　第６話～第９話。

うそやろ笑

コメディが突き抜けておる、、、

断っても断っても追いかけてくる唐奇を諦めさせるため、どんな手を使うのかと思っていたが、なんと、蘇渺をこの世から抹消する計画を立てていた。あれよあれよという間に、葬式まで用意した橙橙以下同志（姉と林媛）が嘘泣きしている横で、一人本気の涙を流す唐奇との組み合わせが可笑しい。すごい笑ったのは、蘇渺との思い出の臓物を並べて大泣きする背面で流れる「等不到的等待」（相柳の歌）。臓物オェーの唐奇とセットで流れるこの曲に笑いが止まらんのだが、完全に遊んでおる、、、

短期間ながら、結婚を考える程惚れていた蘇渺が亡くなり（実際は存在しないが）、心底悲しむ唐奇に、多少なりとも罪悪感を抱く橙橙だったが、それでも心配事が減ってひとまず安心を得る。

この後がまたすごい。

アルパカ出て来たよ、、、蘇渺だけでなく、色んなものに変身出来る機能が拡張されている笑

唐奇に奪われた遺品から足が付かぬよう、取り返しに行った橙橙は、やむなくアルパカに変身することになるが、唐奇は、その自分に向かって色んな心情を語り始める。ここでもアルパカ橙橙と真面目に交流を図る唐奇が純真すぎて面白い。ガチでバッグの紹介してるやん笑

結果的に、彼が四色視者だったことで過去の橙橙の傷も緩和され、この男が表面だけで人を見ているのではないことが分かり、長年抱いていた橙橙の恋心がまた正常な道へ戻りつつある。個人的には、唐奇の役柄が期待通りで安堵した。

唐奇も悲しんでいるばかりでなく、きちんと仕事も進めているため、思い出に浸りながらある意味吹っ切ったようだ。しかし悲しむ芝居は秀逸ながら、コメディが突き抜けすぎて全く辛さは感じない。

ほどなく姉の友人のために、浮気男との財産分与を巡る戦いへと、その友人に変身して挑むことになるが、ここでも唐奇との運命は交差する。

今のところは、学生時代から続く誤解で偏った目のまま橙橙を見ているが、今後、惹かれた人間（アルパカ含む）が全て橙橙だと知ることになる唐奇を妄想すると、ちょっと面白いね。

イラつく人間が皆無のため、そこに割くストレスがなく、真面目に嘘みたいな偶然を演じる役者を見るだけでなんか楽しい。

つづく

追記ネタバレ　第10話～第13話。

昏睡している方謹に代わり、彼女に変身して浮気夫を出し抜く策で唐奇と商談をせねばならない橙橙は、一人二役を担っているため、かつての蘇渺の時のように大忙しである。さすがに分単位の変身とか大変すぎるやろ笑

頻繁に唐奇と対面する方謹姿の橙橙だが、毛糸の解けたセーターを何とか手伝おうとして逆に自分が絡まるとか、そんなことある？笑

しかしここでも唐奇の方謹へのトキメキは止まらない。蘇渺を失くして間もないうちの他者へのトキメキは、唐奇にとっては恥ずべき行為であり、そんな自分を責めているが、なんかそれも笑えるんだよねごめん、、、

唐奇は、人の何倍も色を識別出来る目を持っているが、人でも動物でも表面では見えないその奥の、同じ橙橙という存在に惹かれている。だとすれば、学生時代にも橙橙に惹かれていたはずである。なぜ橙橙本人には反応しないのか、またはそう装っているのかは謎だが、段々と唐奇の特徴が見えてきて、今ではこのドラマがちょっとした楽しみになっている。

唐奇が方謹に不利になる証言をして浮気夫の味方になったかに見えたのも、何も隠さず正直に話す唐奇の空気の読めなさで、結局、方謹の方が有利になっていたし。

ほどなく目の醒めた方謹が浮気夫に拉致られる事件が発生するが、昏睡中に橙橙が起こしたアレコレを夫に糾弾されて、本物方謹は困惑する。そりゃそうだよね笑

それを見掛けた唐奇は、持ち前のしつこさで後を追うことになるが、後に駆け付けた橙橙方謹と遭遇する。

この時点で、二人の方謹が存在することになり、入れ替わり立ち代わりで二人と接することになった唐奇は、好きな方謹と好きではない方謹を目の当たりにして混乱する。

もちろん好きなのは橙橙方謹なわけだが、見えない部分でそれを判断出来る唐奇はエスパーかなんかですか、、、てか芝居上手すぎやろ。

方謹を守ろうとする気合だけは十分の唐奇だが、サクッと秒殺されるぶさかわ状態。

大陸の都市劇は挫折することが多い中、そんなことある？が連続するこの様なドラマで、謎の吸引力を味わっていることが我ながら珍しい。顧嶼も林媛も周錦礼も蘇青梨（姉）も皆いいんだよなぁ。

つづく

追記ネタバレ　第14話～第15話。

ひどい、油断してた。

こんなぶっ飛んだドラマでおいおい泣いてしまうとは、、、今日の配信が1話分から２話分に変更された意味があった。

会うと心臓が高鳴る方謹とそうでない方謹に混乱する唐奇は、悶々と日々を送る。訳の分からないことを言い出す唐奇に、顧嶼は困惑するものの、じっと側で話を聞いてあげる優しい男である。結局、真剣に悩んでいる時も二人の芝居で笑わされるんだけど笑

方謹の方は、新作化粧品の発表会で大衆に姿を現さねばならない事態となり、慣れない格好で挑むことに怯んでしまう。

正直なところ、方謹も美しいと思いながら見ていたため、ここでも外見の提起があったことが予想外だった。容姿が整っている者には分からない気持ちを、橙橙が理解して方謹を励ます言葉は、この二人の容姿では無理はあるものの、そういう設定だからね笑　

しかしこの辺りの外見だけではないと思わせる台詞は、やはりルッキズムへの提起でもあるのかな。

二人の方謹の間で困惑する唐奇には、当然ながら答えは見付からない。それを確かめたくて頻繁に方謹と対面することになる。

その過程で、たまたま二人に見えた虹が美しく見える根拠を、唐奇が科学的に説明し始めるが、当然、同じ科学者である方謹の見解とも一致するはずである。

それでも虹が美しいのは虹が虹だからだよ！からの浪漫のある回答をした彼女を奇妙に思うどころか、感銘さえ受けた唐奇は、想いの勢いが止まらず思わず告ってしまう。（この気持ちの高鳴りから台詞までの「間」が上手い。）その後訂正して、何を言うのかと思えば、愛上你だからね、本人は真剣だがどうも笑ってしまうな。

諦める様子のない唐奇に困った橙橙が次に思い付いたのは、二次元を三次元に変身させる腕輪の拡張機能で、全勝唐という人物に変身し、方謹の彼氏として紹介することである。

全勝唐とは、林媛が描いた漫画の登場人物だが、もはや林媛にとっては驚くことでもなく、自分の作ったキャラが漫画から出て来たことに大喜びしていたな、全て唐奇に勝つとかいう名前が酷いよね笑

全勝唐といちゃいちゃの方謹に闘争心の湧いた唐奇は、ガチの勝負を繰り広げるが、やはり自分の方謹ではないことに気付く。エスパー？？

結局、方謹のことばかりを考えて唐奇が出した結論は二重人格だったが、治療の間も自分が支えると言い出して、ますます困った事態となる。このどこまでも真剣な唐奇に合わせ、病を治療して自分の人格を消すことで諦めさせる策を思い付いた橙橙は、それを告げることにする。

別れが悲しげな唐奇の、最後に一緒に虹が見たいという願いを叶えるため、虹の見える場所に二人で向かったんだけど、、、

全く予想していなかった虹の存在と、二人の芝居が極まっていたこのシーンは、笑えるどころか逆に泣いちゃったわ。好いた人が消滅する事実を受け止めて、別れを告げる唐奇の想いがその芝居から痛すぎるくらい伝わった。

それが伝わった橙橙もまた、本気の涙を流していたが、自分へのものではないと分かっていても、その涙も言葉も自分への想いに感じたんだろう、それ当たってるんだけど。涙涙の再見→すぐ会います。

このぶっ飛んだコントのようなドラマで、不意打ちを食らった15話、、、演出と芝居が極まっている。

てかさ、今後、橙橙全勝唐と接することがあれば、性別関係なく好きになっちゃわない？

つづく

追記ネタバレ　第16話。

病を克服した（という芝居で橙橙を諦めさせた）方謹は、遂に唐奇の元を去っていく。

自分の方謹は消えてしまった、、、という侘しさを抱える唐奇だったが、今度は自分の世界から色が無くなってしまう。

その中でも、なぜか橙橙の周りだけは色彩鮮やかに見えることにまたもや混乱する。失恋で泣くのはいいけど、死ぬのはだめだよ！と叱られる間も、そんな言葉は脳内で霞むほど自分の目を疑う唐奇、、、次から次へとそんなことある？の連続でほんとかわいそう。

段々と無意識の感情が心と繋がりながら、やっと矢印が橙橙に向いてきて俄然面白くなってきた。

雨宿りのために、橙橙を家へ上げたうえに同じ食卓で夕飯を食べる、なんてことは唐奇の性格ではありえないが、灰色の世界が橙橙一点の存在により、今日のご飯は美味しいなくらいは思ったものの、色を成す謎にはまだ気付いていない。

唐奇が最後の水ギョーザを口に入れるまで待ってあげる橙橙やさしい、、、虹階段のくだりのせいで、もはや何でも泣けてくる薄っぺらい自分が憎い。

蘇渺やアルパカでの傷心では変化のなかった世界も、方謹の喪失でこの症状が現れたということは、己で己の心を気付かせようとする圧力がより強く働いているのか。医者には、目を治すための鍵である橙橙と接触を増やせと言われ、またも悶々とする日々の始まりである。

16話最後に見えた色は、ひょっとして橙橙全勝唐かな。そうなると、例の如く胸が高鳴ってしまうな。

つづく

追記ネタバレ　第17話～第18話。

今度は、全勝唐との入れ替わりで橙橙は大忙しとなる。

唐奇にとっては、橙橙だけでなく全勝唐の色も見える謎が解けず、余計に混乱が生じる。ほんとかわいそう笑

橙橙には、自分の色だけが唐奇に見えていることを知らされていないため、目の調子が悪いのかも、と思っては、やっぱり大丈夫みたい、という思いを繰り返している。自分と自分が触るものには色が見えることを、本人に知らせればもうちょっと噛み合うのにな。

このまま色が回復しなければ、仕事にも大きな支障が出ることを考えると、ひたすら橙橙を側に置かねばならなくなるが、未だ、この謎を解明するために必死の唐奇は、橙橙から見ればただの挙動不審な上司である。

これまでは、色の問題がなかったために、入れ替わりで別人になっていた橙橙を注視していなかった唐奇も、こうなると彼女だけが特別目立つため、注視せざるを得なくなってしまった。

苦しい言い訳でも躱せていたこれまでとは違って、唐奇の目が橙橙を特別追う形となった今では、この秘密が知られる日は近い。既に全勝唐と、これまで心惹かれた人間が重なって見えている。まだ互いが再会していない序盤の頃に、橙橙が唐奇に飲み物を渡したシーンもその中にはあったが、心には刻まれているものの、やっぱり橙橙の存在だけが見えていないようだね。

橙橙本人は、よもや自分が特別だとは思っていないため、唐奇の苦しみも全く分かっておらずマイペース。それでも唐奇の目の病を心配して気遣う、実に優しい娘である。

あーほんと面白い。中盤超えた辺りからの演出が秀逸なんだけど。

林媛へ心を寄せる顧嶼は、今がチャンスとばかりに半ば告っていたものの、激しく拒絶反応を示した林媛の姿で、会えなくなるより友人のままでいる選択をする。それでもいずれ林媛の気持ちも顧嶼へ向くんだろうから、全く心配はしていない。

序盤に橙橙のアイディアを盗んで、二次元孫悟空で痛い目に遭った同僚の娘は、新商品のキャンペーンイベントで、ライバル会社の職と引き換えに唐奇の目の異変を漏らしている。パッとしない上にスパイかよ、、、とはいえ、唐奇と橙橙二人が面白すぎるため、些細な存在にそう腹が立つこともないけど。

面白すぎて脚本はどなたなのかと調べたら、長相思の原作者（桐華）だった。どうりで、、、

つづく

追記ネタバレ　第19話～第20話。

案の定、ライバル会社が唐奇の病を利用して貶め作戦に入るが、窮地での灰色の世界で色を携えて現れるのは橙橙である。

今の唐奇にとって、自分が正常である証明を唯一持つのは橙橙であり、その安心感がおそらく突然にして恋心へと変わったようである。この時点ではそれが100％ではなかったのか、事情を明かされた橙橙が頬にキスをした瞬間、世界が色付いていく。ということは、ここで自分の恋心を自覚したのかもしれない。

序盤の「好難看」から「很美」へと見事に逆転した唐奇の言葉も沁みる。

無意識と意識が一致して灰色の世界が消えたという理由は自分の勝手な妄想だが、それ以降の唐奇が、ひたすら橙橙を目で追っているのを見ると完全に矢印は橙橙へ向いたようである。

しかしこのせいで、より橙橙の動きを察知出来るようになり、全勝唐と橙橙が同時に現れぬことがおかしいと思い始める。一長一短だな。

この後は、まるでサスペンスのように唐奇の追及が続くが、度々の苦しい言い訳で一応は難を逃れる。車内での王怡のしつこい電話も笑ったが、幻影のくだりなどは、自分も幻想を見たと思わせて誤魔化す返しに、頭の回転はええなと思った笑

それでも探求心の強い唐奇は、はっきりと証明されない限り、心に湧いた疑惑を消すことは出来ない。科学的には有り得ない事象を科学者の唐奇が真面目に追っていることが若干奇妙だが、この事実を求めるしつこさが科学者としては重要なところでもある。

唐奇の疑いを逸らすため、橙橙が考えた策は蘇渺と同じく、この存在を消滅させることである。

うーん、、、他に方法はありそうなもんだが、さすがに何度も目の前で人の死を見せられる唐奇が気の毒すぎるわ。このせいで自分が病だと思い込み、自分の探求のせいで二度をも死を招いた自責の挟間で苦しませるのはどうかと思う、、、

しかしあの全勝唐はどういう仕組みなんだろう。宿屋の姿は映像だとしても、あんな至近距離で死に際を見せる技は空間ディスプレイでは無理だよね。

直前に腕輪の更なる拡張が始まっていたため、その拡張機能で第三者も変身させる機能でも追加されたんだろうか。

返り血が本物の血でないことに唐奇は気付いたようだけど。

つづく

追記ネタバレ　第21話～第22話。

やっぱり腕輪の拡張機能か。

唐奇の動きが予想外に早く、焦ったあげくの愚策だと橙橙にも分かっていたようだが、この愚策が新たな展開を生むことになる。

まず、自分の服に付いた返り血が本物でないことに気付いた唐奇は、騙されていたことに気付き始める。そのため未だ全勝唐が存在しないという確証はないものの、真相を追って橙橙をじわじわと追い詰めていく。

橙橙は嘘に嘘を重ねてどうにも誤魔化せないところまで来ているが、全勝唐の祖母のフリまでは一応こぎつけたところで、唐奇が失明をするという事態が発生する。これも唐奇のカマかけ作戦の第一歩なんだが、橙橙にとっては、自分の苦し紛れの愚策が唐奇の心理を不安定にさせたあげく、失明させてしまったことに心苦しさがつのる。

ここから立場が逆転して、今度は橙橙が騙される番となるが、以前の唐奇と同じようにして、おかしな彼の要求を真面目に受け入れ、全勝唐が亡くなった時の状況を再現する、とかいう奇妙な芝居を始める笑

唐奇は目が見えているのだから、当然、この謎にも辿り着いて、怒りやら混乱やらで取り乱してしまうが、騙されているとは知らない橙橙は唐奇が心配でたまらない。

その後も、じっと家の外で自分の愚策の結果を顧みて落ち込むが、唐奇の真相の追及はまだ終わらない。橙橙の尻尾を掴むため、チンピラ風情を雇って、自分に害を与える数々の策で橙橙の動きを観察していたのだと思われる。顧嶼が言っていた「収網了」は、おそらく橙橙のことなんだろう。

目の見えない（フリ）唐奇を案じて、黙って後から付いていく橙橙を見ていたら、またもやおいおい泣いてしもうた、、、あらゆる危機から唐奇を守る橙橙の姿に、本来の優しさが全面に出ていることが唐奇にとっては凄く良かったと思う。見覚えのある橙橙の仕草に、以前、心を寄せた人間もまた彼女だったと気付いたようだから。今の唐奇は怒っているのではなく、自分の心を確かめようとしているだけなんだね。

顧嶼にはそんな唐奇の気持ちはとっくに見えていて、他人が口を出すまでもないと背中を押すだけで、放っておいてくれるのが良いね。自分の方も念願叶って林媛との関係が100歩くらい前進している。ここは祖母がいい働きをした。

なんというか、ぶっ飛びコントで笑わされることも多かった前半とは一転、後半になると物語の核心が見えてきて、どうも泣かされてしまうな。続きが待ち遠しい。

つづく

追記ネタバレ　第23話～第24話。

笑いと涙のあとには、胸きゅん沼が待っていた、、、

薄々と気付いていた橙橙の秘密は、好意を寄せた全ての人間（アルパカ含む）への変身を目の前で見せられたことにより、その目も心も開かれる結果となる。この時点で、惹かれていたのは表面では見えない部分の橙橙だったことを確信する。

ここから唐奇の想いは一直線に橙橙へ向くこととなるが、以前と同じように告白までが早い笑　蘇渺も方謹も同じ橙橙だと思えば、ずっと同じ人に恋をしていたことになるけど。

弟に嫉妬したあげくの唐突な告白は、視聴者にとっても驚きだったが、思えばいつもそうだった、、、

なんというか、心の動きを表情で伝える檀健次の芝居がいちいち上手い。そのせいで胸がぎゅっとなって泣いたりときめいたりで情緒が振り回される。（私が）

しかし橙橙は、この世は顔面が重要だという経験を繰り返し受けてきたために、どう考えても顔面の冴えない自分を好きになるはずがない、という思いが捨てられない。

確信したら真っ直ぐに目標へ向かって進む唐奇は、明くる日も花束を片手に待ち伏せなんかして視聴者を笑わせてくるが、橙橙には、好きじゃない、と言われて毎度の如く一瞬だけは落ち込んでいたようだ。

しかし唐奇の良いところは、謎に前向きでしつこいところである。この１分間に16回も電話をかけ続けるようなしつこい性質が、顔面コンプレックスを持つ橙橙に対しては、かなり有利に働くのではないか。

というわけで、この唐奇に関してだけは、嫌われていようが全く諦めることなく我が道を進む姿が実に頼もしいところ。

フィルター（濾鏡）の掛かっていた過去の橙橙は、仕事を通じてかつての同級生に再会したことで、段々と外れていくことになるが、その外れたフィルターが唐奇の想いに乗っかって、さらに気持ちは加速していく。

どんな姿でも好きなのはあなた、を見事に証明している唐奇だが、どう橙橙の心を開かせるのだろうか、このめげないしつこさに期待している。

演出、脚本もさながら、主演の二人の芝居が上手い。ゆえに胸きゅんターンへ突入である。

つづく

追記ネタバレ　第25話～第26話。

不愧是唐奇！

ただ正直に自分の気持ちを並べただけで、橙橙の長年のコンプレックスを吹き飛ばすくらい、素敵な魔法の言葉になっていたね。

おばあちゃん姿になった橙橙にも、止まらぬ愛しさビームを向ける唐奇は、まるで表面など見えていないようだ笑　ちょっと顔心記を思い出した。

こうなると唐奇の鋭い観察力は、全力で橙橙に向くことになり、些細なところにも気付けるマメな男と化すが、それも献身的で優しさにあふれている、、、

今回の腕輪の拡張では、橙橙の心の声が吹き出しで表示される機能が追加されたが、吹き出しで自分の心が見られていることに、恥ずかしー、などは一切なく、それを楽しんで屈託なく喜ぶ橙橙がめちゃくちゃ良かった。対し、唐奇の方は相変わらず、科学的な方向で持論を展開している真逆の二人の構図が面白い。思えば恋愛初心者の二人には、吹き出しの助けくらいないとキスまでこぎつけることもなかったかもしれない、そのためのこの拡張だったのかな。それに比べて小慣れた顧嶼と林媛には、そんなものは必要なく盛大に熱烈キスを披露していた。

無事付き合い始めた二人は、ラブラブ過ぎてにんまりが止まらないが、キスしていたはずの橙橙がモップに変わっていたのは爆笑した。唐奇の驚き具合が面白すぎだよ笑

その後の、橙橙両親の正装でまた爆笑を誘うのがさすがと言うほかない。誰も彼もが素敵でほんとに良いドラマだ、、、

ほどなく新作香水の発表会が開かれるが、皆が残業三昧で苦労して作った会場でトラブルが起こる。これを補填するために腕輪の力を借りることとなるが、今やこの変身をすんなりと受け入れる唐奇の順応性の高さったらない。以前から唐奇の悩みをじっと聞いてあげていた顧嶼も、あり得ないものを受け入れる能力が高い。これで林媛も無理矢理な言い訳を作る必要もなくなり、キャッキャする４人の姿には、にんまりが止まらない。

残り６話となるが、そもそもこの腕輪は誰が何のために橙橙の手に渡らせたのかが分かっていない。根本のテーマは序盤に蘇渺が語っていた美しさの定義だと思うが、それが唐奇によって証明され、橙橙のコンプレックスも吹き飛んだ今、残りは腕輪との決別？なんだろうか。もう一騒動起きる予感はするが全然分からない。

つづく

追記ネタバレ　第27話。

にんまりしていたのも束の間で、今度は腕輪による副作用なのか、橙橙の姿が見えなくなるという事象が起きる。触れることは出来ても姿の見えない橙橙の不安を取り除き、これまでと同じように優し気な視線を送る（見えてはいないが）唐奇は、繰り返し口にしていた「不管你変成什麽様」の極みである。

存在が見えないという究極のところまでいっても、何の焦りも見えない唐奇の橙橙へ向ける愛は有言実行が過ぎるが、おそらく唐奇のめげない精神で腕輪のおばあちゃんを見つけ出し、後々解決するのだろうから心配はしていない。

この過程での檀健次の芝居で切ない思いはさせられそうだけど。

因みに、橙橙の両親が追っていたドラマが「長相思第二季」だった笑　おそらく、じーちゃんの幻想を見せられていた瑲玹のくだり。（適当）

こちらも点映礼が解禁されているけど、カレンダー通りの視聴の予定です。

つづく

追記ネタバレ　第28話。

他人には見えない姿となった橙橙の不安を感じさせぬよう、見えているかのように接して安心させる唐奇の愛が深すぎてずっと泣かされるんだけど、、、

腕輪のおばあちゃんの捜索を続ける唐奇は、橙橙を見付けられぬかもしれない不安から、外に出すことを避けるが、自分のために奔走する唐奇を思うと橙橙もじっとはしていられない。

この後の花屋の風鈴のシーンは、そう来るとは思っていなかったため、ちょっと感動しちゃったな。姿が見えないために、他人にぶつかられる橙橙を配慮する唐奇もなんか泣けるわ。

この腕輪の技術は、現実でも論理的には可能だとこのドラマでは言っているため、どこかでこの研究が行われていて、それが橙橙の手に渡ったということは前々から劇中で言われていた。

しかしあのおばあちゃんは、既に亡くなっているはずの人である。この腕輪の技術があれば、亡くなった人間にも変身出来るため、おばあちゃんを捜すことはほとんど無意味となってしまった。

序盤からのルッキズムの提起や林媛と顧嶼の会話を鑑みると、人は姿形が違っても同じ人を愛せるか、究極、姿が見えなくなっても変わらずその人を愛せるか、などという開発者の実験なのかと思ってしまうが、今のところは妄想しか出来ず全然分からない。

道端で橙橙を見失った（見えてはいないが）唐奇は、自身の四色視者の利点とエスパー並みの嗅覚で彼女を見付け出すが、きちんと唐奇の特性をこの辺りにも繋げてくるのが上手い。

残り４話。

一日一話ずつを楽しむことにする。

つづく

追記ネタバレ　第29話。

そういうことかー。

橙橙には、万人は持たない勇気や優しさ、そしてそれを実行する力（腕力含む）を備えているため、容姿は関係なく彼女を愛する人は学生時代から多かった。しかしこの世界では、人となりを知らなければ外見で判断されることの方が多い。特に現代で生きる人々の美に対する価値観は、個人差はあるものの、一般的には概ね固まっていて簡単には変えられない。ゆえにこの世の美に対する人の価値観を変えるという話ではなく、まずは自分が自分を愛するところから、という意図で変身する腕輪が橙橙の手に渡ったわけである。

李蘭迪の顔面では全く説得力はないが（何度も言う）、ドラマ自体のメッセージは分かりやすく伝わった。

正直、自分が少女だった時代の体感では、醜美に対して誰もがそこまでコンプレックスを抱えることもなかった気がする。そう思うと、SNSの急激な普及で簡単に他人と比較の出来る現代を生きる若者は、色んな意味で息が詰まりそうではある。

ここのところの大陸ドラマでは、自分を大事にする、自分を好きになる、というテーマが多い気がするが、世の流れの乗っているのかな。といっても、にわかなので以前の都市劇がどうだったとか、世の流れがどうなってるのかも知らないけど。

外見はあまり関係ないという唐奇の一途な愛が証明され、自分自身への愛を認識出来た今、今後は泣かされることもなく、にんまりするだけになるはず。

つづく

追記ネタバレ　第30話。

残り３話は、フィルターの謎（開発者など）を解いてめでたく終わりを迎えると思いきや、林媛の妊娠エピソードが差し込まれて、一気に現実的描写になった笑

唐奇と橙橙は概ねまとまった後の、次は林媛の幼少時のフィルター剥がしとなるが、望まぬ妊娠を顧嶼にも告げられずに悩む林媛を、息の詰まるような気持ちで見ていた。いつも人の事ばかり心配して、それでも楽観主義の林媛は幸せそうだったが、幼少時の辛い経験から一気に表情は暗くなる。

橙橙の慰め方も、寄り添うだけでどちらかに引っ張る方法ではないのが良い。

妊娠したことを知った瞬間から生まれる母性には抗えず、かといって苦い経験で刻まれた記憶の挟間で苦しむ林媛の人生観を、顧嶼はどうより良い方向へもっていくのか。顧嶼が橙橙の父親から聞いた話をここで拾うのだな。

一気に現実的になったものの、これはこれで結末が楽しみである。

つづく

追記ネタバレ　第31話～第32話（最終話）。

不愧是顧嶼！

思えば、序盤から自分の欲求は押し付けずひたすらに愛を注ぐだけの男だった。その気持ちが林媛の人生観をゆっくりと変えていったのだな、まあ産まない選択肢はこのドラマではあり得ないとは思っていたけど。

なんでその話したか分かる、産んで欲しいと思ってるんでしょ。の後、しどろもどろに「我、、、我、、（無言）」の顧嶼がなんか泣けたわ、この男の優しさが全面に出ている。

幼い頃に父親を癌で失くし、その頃から我儘など言わず、母を思いやって二人懸命に生きてきた顧嶼は成熟しすぎて泣けるが、その母を思いやる林媛も感動物である。過去の傷で周りを振り回すことなく自身の中に留めて、受けた愛をきちんと返すことが出来るのは強い。というわけで、最終話までずっと泣かされていた。

このドラマは、お笑いSFから涙涙へと変わり胸きゅんを経て、この世に生きる皆に希望を与えながら現実に戻る、という、テーマを強く持ちつつも変わった構成のドラマだったが、違和感なく最後までずっと面白かった。皆が温かく苛立ちなど皆無だったことで更新が楽しみだったし、王道である最後などはにんまりが止まらない。結局、腕輪のおばあちゃんは何者か分からずだったのも、今となってはどうでもいい笑　

終始、檀健次の芝居が光っていて泣かされっぱなしだったけど、一番ぎゅんとなったのは、パン屋で弟とイチャついてる橙橙を見かけた唐奇の表情かな。

滤镜（濾鏡）Filter 全32話