その方は　80代の男性だった。

パーキンソンが進行して　ほとんど寝たきりで食事を摂ることもつらそうだった。

わがまま放題の奥様を　いつも静かに悲しそうに見ていた。

仕事で入った私に　ある日

「人生は短いよ　楽しんで一生懸命生きなさい」

まるで娘に言う父親の言葉のようで　いつまでも私の心に残っている。

健康で　身体が自由に動く時間は短い。

辛くどうしようもない問題が解決しない時　いっそ人生が終わって　この悩みからも解放されたらどんなに楽だろうと思う。

あと自分のこの世での時間はどのくらいあるのだろう

全てから解放され　静かな平安の世界に行きたい

あの男性は　身体の機能がどんどん失われていく中で　どんな思いでこの世での自分の時間を受け入れ過ごしたのだろう

疲れたら　休めばいい

煮詰まったら　忘れよう

なるようになる

でも　どうぞ　良い方向へ　と願っちゃうんだよね

これって　やっぱり欲が深いのかな

私の目をまっすぐ見て　伝えてくれた言葉を　時々ふっと思い出す。

人生は　短い

そして　いつか　必ず　終わる

「人生は短いよ」