昨日、久しぶりに授業に出席した。
今期、最後の授業ということなので、テストについてのアナウンスがないか確認するためだ。結果、特に何もなかった。なら出席しなくても良かったじゃないか。という気持ちを鎮め、本を読みながら教授の話を流す。
学校が楽しくない場所にシフトしたのは大学からだろうか。
まぁ、友達が少ないのもあるのだろう。そういう意味では、サークルに加入しとけば良かったと少し後悔している。とは言っても、何人か友達はいる。顔見知りも少しはいる。
「久しぶり。」
最近、大学に行くといつも言われる。
まぁしょうがない。事実として合っている。
「最近何やってるの?」
興味もないくせに。
「就活結構やってる感じ?」
三年生で学校に来ない=就活か。特にやっていないので「いや、あんまり。」と返す。
「へー。」
生産性のない会話なんてこんなもんで十分だ。
これで終わりでいい。
質問に対する乙の答えがつまらなすぎたのか、大体ここから甲の就活状況を喋り始める。
「俺は最近、外資系の選考とかベンチャー企業の説明か………
就活をしている甲と就活をしていない乙との間に不協和音が生じてこの先はあまり覚えていない。
人間はすぐに人と比べたがる。ヒエラルキー上での自分の立ち位置を明確に求めないと気が済まないのだろう。
解を求めるのが数学科の性か。笑えてくる。
学校を後にしてバイトに向かう。
いつもの電車内よりも静かな気がした。
適当に音楽を流す。Awesome city Clubの『アウトサイダー』が流れる。そういや、アウトサイダーってどんな意味だっけ。ググルと、仲間に加わっていない者、局外者、門外漢。余計者。
うるせぇ。
ただ、曲は好きなので最後まで聴いた。
バイトは長く経験しているということもあり、辛さは全くない。
中学からの友達もシフトに入っていたのでたわいもない話で盛り上がる。その友達も就活をあまりやっていないらしい。最近はバイト内外でもあいつ(この場合のあいつはかなり仲良い意味でのあいつ)と一緒にいる時間が長い。何か悪い影響を与えていないかと不安になる。あいつは本来、就活に早い時期から取り組む性格だ。俺が足を引っ張ってしまっているのではないか、と頭の片隅で感じる。
途中から大学一年生の女の子もシフトに加わった。
その子は可愛いより綺麗が強い印象。豆柴の大群で言えばナオ似。入れ替え時間にしか会ってなかったのでまともに話すのは初めてだ。近寄りがたい印象を少し抱いていたが、いざ話してみると全くそんな事はなかった。なんなら3人での会話はかなり盛り上がった。
あいつは可愛い女の子と話す際、声とリアクションが1ランクアップする。これは長い付き合いからわかる事だ。今日もそうだったので、本質的にはあまり変わっていないのだろう。心なしか安心した。
バイトを終えて帰路へ。
忘年会シーズンということもあり、ホームは人で溢れていた。
解放感からか、全員のネクタイは垂れ下がっていた。
いつも座って帰れるのに今日は立ちながら電車に乗る。
本を出せる状況ではなかったのでサザンの『愛はスローにちょっとずつ』を聴きながら暇そうな指がtwitterのタイムラインを上から下へ動かす。
大学生は就活をしなくてはいけないというリクルートが作った催眠の弊害だよ。就活なんかしなくても人生なんでもできるぞ。常に強気で生きろよ。若者よ。
という記事が目に入る。
弱気な心を貫かれたような気がした。そんな気がしただけかもしれない。
そんな気がしただけでも嬉しかった。