愛里跨(ありか)の恋愛スイッチ小説(飛香&愛海編54) | 愛里跨の恋愛スイッチ小説ブログ

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愛里跨の恋愛スイッチ小説ブログ-バラの花3


 

54、苦い過去と隠れた目的


 

アンティーククロックの時を刻む音だけ鳴り響く店内で、
沈黙のまま立ち尽くす三人。
赫怒の東さんを何とか収めようと慌てる大佐和さんとは対照的に、
叩きつけられた現実に、悲しい顔で愕然と肩を落とす飛香さん…

 

大佐和「光世。いきなり個展を取りやめて帰国しろなんて言わずに、
   とにかくよく話し合おう。

   ねっ、飛香さんも分かってるよね。
   ここ最近、僕も他の商談でここに居ないことが多かったし、
   二人に店を任せたこともあったからね。
   飛香さんの仕事の時間を割いたこともあるからさ、
   本当に申し訳なかったよ」
光世 「直弥。なんでお前が謝る。
   お前は、自分の仕事をこなしてるだけだろ。
   僕は飛香ちゃんに言ってるんだ。
   飛香ちゃん。僕の言ったこと理解できてないわけじゃないだろ。
   今から彼女を起こしてくるんだ」
飛香 「……」
大佐和「なぁ、光世。ちょっと落ち着いて」


 

♪~♪~♪~♪~♪(光世の携帯着信音)


東さんはズボンの腰ポケットからゆっくり携帯を取り出し、
着信の表示をみて、通話ボタンを押した。
 

光世「もしもし。…生、…ああ、話せる」
 

今にも泣き出しそうな表情の飛香さんを横目で見つめながら、
東さんは話しながら店の玄関に向かい外に出ていった。

 



大佐和「飛香さん、本当にごめんね。
   なんで光世はあんなにむきになるんだろうなぁ。
   見てるとまるで、愛しの恋人を恋敵に取られて、
   嫉妬してる男のように見えるよ。
   飛香さんと村勢さんは女性同士なのにさ」

飛香 「嫉妬」
大佐和「まぁ、それは冗談として…あの、飛香さん」
飛香 「はい」
大佐和「光世はさ、

   本気で飛香さんとの契約を切るつもりで言ったんじゃないよ。
   仕事のことになるとあいつはストイックで、

   妥協を許さないやつだから、
   どうしても周りに厳しい言動になるんだよね。
   僕なんていつもだから、免疫ついてるけどさ。
   だから、さっきあいつが言ったことは気にしなくていいよ」
飛香 「はい…。すみません。
   大佐和さんにまで気を遣わせてしまって。
   でも、東さんのいうことは間違ってないし、言われて当たり前で。
   今日一日、私が仕事を放ってたのは事実ですから」

 


愛里跨の恋愛スイッチ小説ブログ-大佐和の店

 

(モンルージュ。大佐和の店“Le Petits Bonheurs”玄関先)

 

光世「えっ…。わかったのか」
神道『ああ、わかったよ。名前を聞いた時からピンと来てはいたんだが、
  調べてるうちにすごいことまでわかったんだ」
光世「すごいこと?」
神道『彼女の父親は建築評論家の村勢俊亘(しゅんこう)。

  自宅は日本橋。
  彼女の爺さんは、MIRASEコーポレーションの会長だ。
  彼女には姉がふたり居て、ひとりはMIRASEリビングに勤めてる』
光世「え!?…(汗)MURASEリビングって…」
神道『そうだ。以前穂乃香さんが勤めてた会社だよ』
光世「……」
神道『姉の名前は長女が庄司紅子(べにこ)、次女は竹浪翠(みどり)で、
  今はふたりとも結婚して苗字が変わってるが、

  次女の旧姓は村勢翠だ』
光世「村勢翠って…。生、それって…」
神道『そう。穂乃香さんの元親友だった、あの村勢翠ってこと。
  お前さ。穂乃香さんを通じて、以前彼女の妹に会ってるんじゃないか?
  まぁ、どちらにしても俺たちはあの日、

  関わりたくない人間を助けちまったわけさ。
  それで?あれから彼女とはどうした。依頼断ったんだろ?」
光世「あ、ああ。とりあえずはな」
神道『光世。お前程の男ならわかると俺は思ったんだが、
  彼女の苗字でピンとこなかったのか?
  それとも、ビジネスパートナーに心奪われて、
  それどころじゃなかったのか」
光世「生、茶化すなよ。彼女がここに訪ねて来るまで、
  あの雨の日の女性だったことすら気づかなかったんだ。
  東京から9370kmも離れてるここパリで、

  そんな相手と会うなんて想像もしない。
  今、お前に内容を聞かされて、
  穂乃香と繋がりのある相手だったってことだけでも面食らってるんだ」
神道「すまん。とにかく厄介な相手ってことだけは間違いない。
  かき回される前に、お前のビジネスパートナーとこの子を引き離せよ。
  昔の話を穿り出される前にな』
光世「ああ、そうだな…。そうするよ。
  僕もなんとなくだが、彼女と逢った時から何故だかわからないけど、
  距離を取らないといけないという気はしていたんだ。
  始めは、冥界の人間と結婚を望んでる、
  未来に絶望した女性とばかり思ってたが、
  まさか、見えないところでこんな関わりのある女性だったとはな…」
神道『穂乃香さんのこと。

  その子には知られないようにしろよ。
  たぶん、いきさつを聞いてるはずだぞ』
光世「そうだな…」
神道『光世。ここまでわかってしまう俺ってすごくないか?
  この刑事並みの勘と探偵並みの調査力』
光世「そうだな。頼もしいダチだよ。
  生、お前も忙しいのに調べてくれてありがとうな」
神道『いいさ、このくらい。

  大親友のお前からの頼みで一大事だからな。
  そうそう、11月にパリに行く予定なんだ。
  日にちは今度のお前の個展にかかるようにしてるから、
  その時にこの間話した写真集の企画の関係書類渡すよ。
  じっくり検討してみてくれ』
光世「あ、ああ…。わかった。じゃあ…(携帯を切る)
  まさか…。穂乃香と関わりのある人物だったなんてな…
  村勢寿里ってあの時の子か…」

 

東さんの心の奥底に眠る苦い過去。
まるでパンドラの箱を開けるような、
内臓の奥から湧き上がるもやもやした不安と、
先の見えない恐怖が彼に襲い掛かる。

 


愛里跨の恋愛スイッチ小説ブログ-要、好奇心

 

東さんが電話を終えて店に入ってくると、

飛香さんは何も言わずにただ頭を下げて、
寿里さんを起こしに二階の部屋へ向かう。
しかし、飛香さんの部屋に彼女の姿はなかったのだ。
テーブルの上に残されたメモ。
そこには、宿泊先のホテルに帰ることと、
飛香さんの優しい心遣いに対する感謝、
そして、亡くなった彼との結婚式を諦める言葉が綴られていた。
そのメモを持つと、両頬を静かに伝う涙を手のひらで拭い、
飛香さんはゆっくりと部屋を出て階段を一段ずつ下りていく。
店に入ると寿里さんが一人で帰ったことを告げて、メモを東さんに渡した。
東さんはじっと彼女のメモを見つめ、
読み終わると左手で力強く握りつぶしたのだった。



愛里跨の恋愛スイッチ小説ブログ-光世の考え

 

光世 「本当に身勝手で危なっかしい子だな。
   ここを何処だと思ってるんだ。こんな勝手なことをして…」
飛香 「東さん。こんなことになってごめんなさい。
   私がもっと早く東さんの言うことを聞いていたら、
   こんな風に彼女を帰すことにはなってないのに」
大佐和「僕が今から確かめてこようか。
   いつ出ていったか知らないが、そんなに時間は経ってないだろうし、
   お前は飛香さんと打ち合わせに入って、明日からの準備をしろ」
光世 「直弥。わざわざ行かなくていい。

   電話でホテルに確認しろ。
   フロントに事情を説明して、
   ホテルに帰ってきたら連絡をくれと頼んだらいい」
大佐和「ああ、わかった」
光世 「飛香ちゃん、分かってくれたならいい。
   飛香ちゃんは僕のビジネスパートナーなんだから。
   パートナーが足並み揃わなければ、

   歩幅の揃わない二人三脚のようにすぐ躓いてしまう。

   本来、同じ土俵に立つパートナーってのは一心同体なんだ」
飛香 「そうよね…」
光世 「同業者はもちろんだが、写真や花のことをよく知らない素人でも、
   個展を見に来たお客にも僕らの心を見られてしまうんだ。
   それだけ作品は作者を投影するんだからな。

   それだけは忘れるなよ」
飛香 「ええ。東さんのいう意味、わかるわ」  
光世 「大きなイベントの後だし、君も大変なのはわかる。
   それに、彼女の訪問で彼のことを思い出してしまって、
   苦い過去を呼び起こしてしまったことも、僕にはわかってる」
飛香 「東さん…」
光世 「僕もそうだった。

   正直、この再会で僕は心乱されてる。
   だけど、そんなことは個展に来る観客や協力者にはまったく関係はない。
   心に何を抱えていようが、それが苦虫を潰したような想いをしたとしても、
   真実を隠して最高のショーを見せる、それが僕らプロの仕事だ」
飛香 「ええ、そうね。

   私は中途半端のまま日本には帰らない。帰りたくない…
   東さんが傍に居てくれるなら、私は最高のショーを演じられる」
光世 「ああ。心配するな。僕は飛香ちゃんの傍に居るよ。
   もしかしたら、東京の君の熱烈な愛好者が嫉妬するかもしれないが」
飛香 「もう…。東さん」
光世 「あはははっ。それは冗談だけどね。
   もう泣かなくていい。

   何も心配しなくていいから」
飛香 「はい…」
光世 「そうそう。今日、東京の神道から連絡あってね、個展に来るそうだ」
飛香 「神道さんって東さんの親友の」
光世 「ああ。僕の悪友だよ。神道がパリに来たら飛香ちゃんに紹介するよ。
   僕に引けを取らないくらいお節介な奴だから、
   飛香ちゃんが東京に帰っても、きっと良い付き合いのできる男だよ」
飛香 「ええ。お会いするのが楽しみだわ」
光世 「だな。…あぁ、そうだ。
   もうないとは思うが、もし彼女から連絡があっても僕を介してくれ。
   その時は僕が彼女を説得するから、
   君は個展が終わるまで作品のことだけ考えてほしい」
飛香 「わかったわ」
 

いつもの穏やかな東さんに触れて、

飛香さんも平常心を取り戻したのだ。

 

電話を終えて、奥の事務所から出てきた大佐和さんも、
そんな二人を目の前にして安堵の表情を浮かべる。
 

大佐和「おふたりさん。

   そんなに見つめ合って、

   今にもキスしそうなとこで邪魔して悪いけど、
   僕は今から君たちの頬が落ちるくらい極上の夕食を作る。
   なので、今から遠慮なく仕事をやってくれ」
光世 「一言うるさいやつだな。

   極上の料理って何作るつもりだ」
大佐和「貴族のように気品あふれるサーモンとバジルのテリーヌと、
   僕のハートのように赤く色づくトマトファルシさ」
飛香 「わーぁ、すごい。楽しみだわ」
光世 「ほんとかよ。じゃあ、夕食お前に任せていいか?」
大佐和「Oui、monsieur!(ウィー、ムッシュ!…はい。旦那様)

   さぁさぁ、ふたりとも打ち合わせ打ち合わせ!」

 

愛里跨の恋愛スイッチ小説ブログ-料理2


 

ブルーの窓からこぼれるオレンジの光が静かに揺れて、
“Le Petits Bonheurs”の店内に幸せな空気が流れる。
モンルージュの街は深々と更けていった。

                                                                          
愛里跨の恋愛スイッチ小説ブログ-まきストーブ



 

愛里跨の恋愛スイッチ小説ブログ-バラの花2


 

翌日…
飛香さんと東さんは、個展の準備と作成に取り掛かった。

飛香さんはマゼンダ色のバラ・ベイサージュを束ねて、
三日月のようなカーブのフォルムのブーケを作り上げている。
東さんも透明フィルムをコーティングした展示パネルを眺めては、
パソコンに向かい、新たな作品の構成を同時にこなしている。
今までの遅れを意識していたのもあったのだろうけど、
二人とも休憩も取らず、

無言のままで神経を作品だけに集中させて没頭する。
それはこの二日間に起きた寿里さんの出来事を、
なかった事としてかき消しているようにも見えた。
傍で見ていた大佐和さんは、
作品を見つめる二人の姿と眼差しに恐怖すら感じていたようで、
まるで白い壁に書かれた秘密の落書きを誰かに見られたくなくて、
大きなローラーを両手に持ち、全身を使って白く塗り潰しているような、
そんな異様な焦りと気概まで彼に想像させたのだった。

 



愛里跨の恋愛スイッチ小説ブログ-夜景2
 

完全に日が暮れて、街頭に明りが灯った頃。
東さんがやっと立ち上がり、携帯を取り出して電話し始める。

堪能なフランス語で話していたが、
飛香さんには内容が聞き取れないくらいの声。
そして、話し終わるとやっと口を開く。
 

大佐和「光世、やっと終わったのか」
光世 「ああ。ある程度は片づけた。
   直弥、悪いが今からちょっと出かけてくる」
大佐和「えっ。今からって何処にいくんだ?
   飛香さんももうすぐひと段落つくらしいし、
   終わったら三人で食事をしようと思ってるんだぞ」
光世「なるべく早く帰るつもりだけど、

  8時半を過ぎても僕から連絡がなかったら、
  申し訳ないが二人で先に食事を済ませておいてくれ。
  お前の車借りるぞ」
大佐和「お、おい、光世!」
 

東さんは大佐和さんの呼びかけには応えず外へ出て行った。



愛里跨の恋愛スイッチ小説ブログ-運転


 

車に乗り込んだ東さんはエンジンをかけて車を発進させると、
モンルージュの街並みを向け環状道路に乗り、
パリの中心から東南に位置する、

ベル=エールの街のある場所に向けて走り出した。
そのある場所とは、寿里さんの宿泊するホテルだ。
東さんは何故、突然居なくなった寿里さんのところに向かったのか…
それは…何も言わずに立ち去った訳を彼女の口から聞く為と、
彼女が語ることのなかった真の目的を探る為だった。


愛里跨の恋愛スイッチ小説ブログ-悲しむ女性2


(続く)

 

この物語はフィクションです。



 

 

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