ドラマや映画で、高校生の恋を観ると、自分の高校時代の恋を思い出す。



席替えで、彼が私の後ろの席になり、何故かやたらとペンシルを貸してって言ってきた。



授業中は、私の席にピッタリくっ付けて居眠りをしていた。



私達のクラスは仲が良くて、団結力があった。



高校最後の学校祭の打ち上げで、彼から好きだと言われた。



だけど彼には、中学の頃から付き合っていた彼女がいた。



彼女がいるのに好きだと言う彼に、戸惑ったけど、いつの間にか好きになってた。



彼から手紙をもらった。



お前のことは好きだけど、やっぱり彼女のことが大事だと。



そして卒業式、みんなで集まって飲んだ。



帰り際、
「帰らないで」
と言われて、彼の家に泊まった。




卒業して、別々の道に進んだけど、私は彼に会いに行った。



彼はオーストラリアに行くことが決まり、日時は教えてくれなかった。



ある日、私は学校に行く途中、



「彼は今日オーストラリア行く!絶対!」



と思い、学校には行かず空港に向かった。



空港で、絶対来ると確信して待っていると、彼が現れた。



誰にも日時を言ってないはずなのに、私がいることにビックリしていた。



飛行機の時間まで、他愛もない話をした。




時間がきて彼は最後に、泣きじゃくる私の頬を触り、オーストラリアに旅立った。




1年半後、彼から手紙をもらった。




何度も寮に連絡をしたけど繋いでくれなかった、会いたいと。



私の心は、もうなかった。



あの時、飛行機に乗せた。




いつ帰って来るかわからない彼を、私は待てなかった。




彼に
「あの時、待っていてくれと言ってくれたら、待ってられた」
と言った。


彼は
「いつ帰るかわからないまま、待っていてくれとは言えなかった」
と言った。



最後に、彼は


「お互いに別々の人と一緒になって、何十年先になったとしても、最後に一緒になれたらいい」


と言った。



あれから何十年、彼には会うことはなかった。




数年前、ふとしたことで彼に会うことになった。



何十年ぶり。



お店を経営していた彼の店で、彼の料理を食べて、



他愛もない話をして…



お互いに、お互いを思い出すことがあると話をした。



彼は最後に私の頬を触り、別れた。



あの時と同じ。




お互いに大切な人がいて、幸せを確認して、安心できた。



これからも、こうして彼を思い出すことはあると思う。



思い出として。









いつかの夕暮れ、空と海。