旦那さんの、おかしな言動に、まだ心の病だと気付かない私でした。

ホテルの部屋に戻ると、上司に電話をした旦那さん…

わーわー泣きながら、部屋から飛び出し、廊下で泣きわめきました。

その夜も、鏡に映る自分を見ては座るを繰り返していました。


ゆっくり眠りたいと言う旦那さんの為に、睡眠薬を求めてドラッグストアを探してもなく、調剤薬局に駆け込みましたが、当然処方箋がないとダメだと断られ、突然の睡眠薬の申し出に、不可解な顔をする薬局の方。


常に、監視の目を恐れている旦那さんに、どうしたらいいかわからないまま、その日はペンションに泊まることにしました。

ペンションが落ち着いたのか、この日はぐっすり眠っていました。

ぐっすり眠れたからか、家に帰りたいと言い出し、自宅に戻ったのですが、鏡を見ては座るを繰り返すのは変わらずで、ひたすら私に謝っていました。

旦那さんが気になり、ずっと眠っていなかった私は、疲労で眠ってしまいました。

ふと何かに起こされ、旦那さんを見ると、手に包丁を持ち、手首を切ったところでした。

「チッ!起きやがって!もう少しだったのに!」

慌てふためき、包丁を取り上げた瞬間、家のチャイムが鳴りました。
旦那さんの上司と産業医のような方でした。

突然の訪問に、私を外へ押し出し、自ら命を経とうとした旦那さん…

産業医のような方は、

「ご主人は、心の病だと思います。病院に連れて行きたいのですが、奥さんの許可が必要です。よろしいですか?」


旦那さんは何も言わず大人しくなり、私も承諾をしました。

車で、ある精神病院に連れて行ってもらい、即入院することになりました。

私の精神病院のイメージが、牢獄のように、鉄格子と金網に囲まれたところだったので、私自身が興奮してしまい、廃人になってしまうと泣きわめき、過呼吸になってしまいました。
興奮する私に注射を打とうとしたことにも拍車をかけました。


こうして、旦那さんは閉鎖病棟に入院することになったんです。


短く長い数日間でした…


あの日は綺麗な夕焼けでした