これから「家」を持ちたいと思う、または大人になりたい人に、読んで欲しいと思うブログです…

あなたの「マイホーム計画」のお役に立つために…今日は「くたばれ、ラストサムライの家」というお話です…!

 

 

プレイリー派のバンガローです…

正面は左右対称で、ポーチの奥の窓が装飾的です…

室内もアーツアンドクラフトで、住む人の個性に溢れています…

 

 

 最近のブームに、地方では「古民家」を再生して地域の「再生」につなげたい、または目玉にしたい…という風潮があります…

 

 

 そのままただ古くなっただけでは「古民家」とは言いません…まず建築材料や仕事が、その土地固有の技術や様式を守って造られたものかどうか…そしてそれが実際の生活の中で維持され、使われていたものを「古民家」と言います…

 

 人が住んでただ古くなった、新しい時代のものは「古い住居」です…この二つは全く違います…

くれぐれも「古い」という言葉で混同をしてはいけません…この違いの境界線はどこか?…正しく理解をする必要があります…

 

 

 

 以前にも書きましたが、古来日本の家には掲額された文字や絵と同居してきた、伝統ともいうべき過去があります…そのための床の間があり、先人の詩歌や仏画、さらには花などを飾って季節=自然を取り込みます…さらに、床の間の違い棚や屏風、露出した柱や長押のタテやヨコの線…まるでモンドリアンのコンポジションを想像させます…十分にアート的です…!

 

 襖や障子、屏風などに書かれた文言のほとんどは教訓的で、言って見ればお説教臭かったのですが、それが「サムライ」的だということで、今ではハリウッド映画のサムライの家は、たとえ近代的な家でも、ワケのわからない漢字が大書されていて、僕たちにも読めません…どうやら漢字さえ書けば「サムライ」=「日本」だと考えているようです…

 

 

 たとえ意味不明な漢字で中国と混同して、日本人が「?」となるのもお構い無しです…

これで世界に「サムライ世界」を拡散します…いわゆる西洋の伝統的なキリスト教的視点では、東洋は今もって日本も他の中国や韓国と同じ漢字文化の国と考えられているようです…これらを見る限り、日本は日本という国ではなく、相変わらずただの東洋の一角でしかありません…

 

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 ムダ話です…

 あのブルース・ウイルスが主演した映画で、彼は中国空軍の白人教官を演じます…でもゼロ戦と称する日本軍の機影は明らかにスピイトファイヤー似であり、星型エンジンはめちゃくちゃなデザインでキャノピーはまるでオープンカーのように開いたままです…こんな空戦もゼロ戦もありえない映画です…全く史実を調べもしない、信じられないバカバカしさです… 

 そのあまりの荒唐無稽さで見るのは途中でやめましたが…こんなハリウッド映画が最近も出回っています…ハリウッドの単純な史観です…半世紀も前のマダムバタフライやサヨナラの時代と変わっていません…あの頃はゲイシャ=ニッポンで、やがてヤクザ=ニッポンです…たかが映画、ましてCGが発達したむちゃくちゃなストーリーとはいえ…そんなウソに目くじらをたてるほどのことはないのかもしれませんが、どうにも居心地、いや見心地が悪いのも事実です…

 

 

 僕たちもこれを笑えません…

こうした風潮が日本文化=サムライ文化と同義語になり「ラストサムライ」的な家が人気になっているからです…でも僕たちはあんなふうに障子や襖に墨で大書はしません…まして垂れ幕を下げたり、やたら燭台や薪を燃やしてはいません…暮らしに邪魔です…それにちっとも「質実剛健」じゃありません…

 

 日本は木と紙の国だと言われています…でも例えば、西洋でもっとも日本的風景と評価の高い、あの世界遺産「白川郷」では…障子一枚が風を防ぎ、雪の湿り気と寒さを遮ります…雪景色でも障子の白さは際立ちます…真冬なのに障子一枚です…! それはこの地方の気候が生んだ独特の「手漉き和紙」が役に立っています…風に強い柔軟性と、雨や雪に強い耐水性があり、障子一枚で一年を暮らせます…しかもこれがお蚕=おカイコの小さな命をも育んでいます…これと同じことはこの地方の豆腐も気候に合わせて強く出来ています…ここに色濃く伝わる「コキリコ節」で使われる楽器の「ささらこ」にも美しさは宿ります…

 このように特殊な地域性がそれぞれの文化を生んでいます…このことでもわかるように「文化」を作るのは暮らしの「必要性」です…「用の美」が生まれます…!

 

 以前下見板を張ったことがあります…主流の「ドイツ下見板」は何度か張ったのですが、本格的な下見板を研究して幾つかの「家」を見せてもらいました…その時に見たのが「ささらこ下見板」でした…通常のただ胴縁を当てる荒っぽい下見に比べて厄介な仕事でしたが、出来上がりはさすが!でした…

 冬になれば雪かきの市電の先頭車両に「ささら」が付いているように、きっとこの下見板の張り方も日本全国にあるのでしょう…日常的に「竹・笹」と暮らした先人たち…トンカチしながらそんな「文化」に思いをはせられるのも、この仕事の面白さでした…! 得難い記憶です…

 

 

 なんども言いますが、この国は南北に長く、梅雨があり、台風や野分けなどの強い風が吹き、海沿いの潮風やヤマセが吹きます…夏の強い日射があり、冬には雪が積もります…それぞれに地勢の違いがあり、その違いがその土地ならではの多様な文化を生んでいます…どうやらそれぞれに違う「家」の形や構えはそんな文化が結実した結果で、その屋根の下の暮らしもまた「文化」なのです…!

 

 

 

 僕たちがまだ子供の頃から飛行機の翼には霧を吹いてだらりとさせ、そのあとで乾かしてピンとさせます…同じように母たちは張ったばかりの障子に霧を吹いて濡らしてから乾かします…こうすることで、雨が多少降っても障子はだらりとしません…だらりとした状態では、暮らしだって不愉快になりますよね!… でも結局は紙と木の本質や使い方を知らないから、文化への探求や敬意のないままにこれが「サムライ」だと言って世界に発信しています…

 こんなことも知らない大半の大工さんがあなたの現場を仕切っています…

 

 

 お隣の韓国の…囲炉裏の代わりのオンドルは優れた暖房装置です…今ではともに環境問題から姿を消しました

その熱を拡散するオンドル紙は表面が滑らかで丈夫です…これは優れた素材です…家のモジュールの違いから、庇の影が陰影を深くさせます…そういえばあのキムチも日本のぬか漬けと同じ発酵の保存食です…日本が学ぶことはいっぱいあります…きっと経度が違うだけで、温暖に差があっても生活は同じです…

 

 また話が違いますが…日本の論語では「男女七歳にして席を同じくせず」と戒めます…でもこれが中国のベッドの「蓆」なら日本の「席」と同じ読みです…いつまでたっても同じベッドにいるって?…これは今だって要注意です…日本ですら混同して…理解していません…ちなみに「論語」は男尊女卑の産物なので、だからこんな言葉で戒めたのかもしれません…

 

 

 北回帰線と南回帰線…太陽の移動範囲ですが、これも地球から見た相対的な移動です…季節だけが変わります…あのクリスマスの絵のほとんどは雪景色=北半球です…ハワイのサンタさんはサーフィンです…ぐるっと反対側の向こうの国でも文化が育ち、暮らしがあります…それを助けるのが「想像力」なのですが…「日本」が特別に優れているワケではありません…日本で忌み嫌われる北も、南半球では南です…全く逆です!

 

 あなたのところでも、知らぬ間に光が部屋の奥まで差し込んでいませんか…日本では少しずつ「冬」に向かい、南半球は「夏」に向かっています…季節は確実に移ろいます…!

 

 それだけに「ラストサムライ」的な家が各地に作られる不思議…⁉︎

それが町おこしだと考える自治体の「ステレオタイプ」な視点…僕たちもまた世界を「ステレオ」で的に見ていますが…誇張された映像がいつの間にかそんな視点を生んでいるようです…

 

 あるいはひょっとして、こんな風に僕たち自身も西洋を「ステレオ」で見ているとしたら?…

スマホ情報の「本物」と「偽」フェイクの分別すらできなくなっているとしたら…⁉︎

 

 歴史を正しく知る教育は大切です…真の意味のグローバリズムとはこういうことなのではと考えます…

日本は決して「神国」しんこくなのではなく、実はそう信じる感覚が「深刻」しんこくなのです…

 

 

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 同時にこんなことを地域おこしに利用する地方の自治体…自分たちこそ、足元の貴重な「文化」をわかっていないということを「わかる」べきです…セッシュウやクロサワ以来、最近は日本人のハリウッド進出も盛んです…それでも漢字や風習の混同…中国や韓国と同じに同一視される現実…この日本文化への「ステレオタオタイプ」な見方をこの先は建築から、ゼヒ変えなくてはいけません…

 

 

 「家」を作る若者はこうした自分たちの「文化」を読み、その違いを知るべきです…!

その上でそれぞれの優れた点を生かしてください… 例えば最大の関心事は地震ですが…でもその予防のためにごっつい櫓を部屋の中に組んでも、ただ部屋が狭くなって日々の暮らしが鬱陶しくなるだけです…それなら始めから鉄骨などを組み込んで補強したハイブリッドな家を設計してみてはどうでしょう…いくらスマホやPCがプレゼンテーションに役立つとは言っても、最後はあなたの言葉と心です…説得力の問題です!

 その色彩のデザイン化には「暮らし方」を知る女性の感性が役に立はずです…家を作る男性のハードウエアを、女性がソフトウエアで助けます…両刃の剣というわけです…!

 

 

 職人の国なら、もっとクラフツマン・スタイルの家つくりを目指してください…「リノベーターは率先してその機運を高めるべきです…くれぐれも「ラストサムライ」的な、なただのハデ好きな「家」作りはやめるべきです…!

 

 

 

 

 

 くどい文章をここまで読んでくれて、ありがとうございます! 

 

 

 

 次回は「香りと健康住宅」の話です…! 

 

 「家」の基本は材料と道具の本質を知ることです…情報を得て共有することです…

高い買い物です…当たり前といえば、当たり前なんですが…どうにも他人任せのようです…

あなたの「マイホーム計画」が成功することを願います…!

 

 Renovationには修理や修繕の他に刷新や元気回復という意味もあります…

「家」を新しい力で元気にさせる…「リノベーター」に応しい言葉ではありませんか…!