これから「家」を持ちたいと思う、または大人になりたい人に、読んで欲しいと思うブログです…

あなたの「マイホーム計画」のお役に立つために…今日のお話は、元に戻って……!

 

 

 とりあえずビール…どうやらこれが僕たちの口癖、「始まり」の合図のようです…

ということで、あなたの近所のホームセンターのチラシを見て、すぐに道具を揃えたがる前に、少しこれをお読みください…

 

 チラシだけではなく、スマホやPC、それに TVショッピングにもたくさん道具が紹介されています…どれも便利そうで、一家に一台…というような気がしてきます…がそれらはあくまでも商売品…大事なのはあくまでも目と掌・たなごころ、実際に触って確かめることをお勧めします…「無用の長物」にならないためにも…

 

 「安物買いの銭失ない」の言葉のように、つられて買っては後でほぞ(臍=へそ)を噛みます…

「後悔後に立たず」いや「後の祭り」です…ちなみに仕口でも「ほぞ」というのがありますが、関係ありません…あくまでも自分の「ヘソ」のことです…ご注意です!

 

 まず、すべての道具には「適材適所」があるということを知ってください…

アレコレ先っちょを取り替えて、便利そうに見えるものは、実は使い道がありません…!

 

 先にも書きましたが「玄能」げんのう・カナヅチに隠れた秘密があるように…「鋸ノコギリや、「鑿ノミにも、それぞれの秘密があります…正しい使い方もあります…よくいう「基本のキ」です…

 

 この先あなたの「家」にこれらの道具を動員するのなら、必ず良い道具を選んでください…

道具にはその形=デザインの必然性があります…道具に敬意を払うことは基本的な心の資質の問題です…

 

 特にリノベーターなら、忘れてはいけない大事なことです…!

 

 

 

 では「ノコギリ」の話から…

最近は作業の簡素化から刃先だけを取り替える、いわゆる使い捨て=簡便型ノコギリが流行っています…

柄=えの部分を残して取り替えます…切れなくなったら先っぽだけを使い捨てするわけです…

 

 柄への固定はネジ式差し込み式があります…特に差し込み式は柄の下部をトントンと床などに軽く打ち付けて、しっかり差し込まれていることを確認してください…いずれの場合もノコギリ部分は紙か布切れで覆ってください…ケガと刃先を守るためです…!

 

 やがて切れなくなりますが、鍛造してないから「目立て」という刃先の研ぎも無理なようです…

 

 刃先をよく見てください…

ひと刃ずつ刃が左右に開いていませんか?…これを「アサリ」と言います…そうあの「浅利貝」のことです…砂抜きするアサリが開く時の触手のようすが似ているからこの名があります…このアサリには「木屑おがくず」を外に排出して「目詰まり」をなくし切れ味を保つという大事な役目があります…このアサリが鈍くなったり、刃が一つでも欠けると切れ味が落ちます…同時に切り肌にも傷がつきます…

 

 一方でこのアサリは左右に出っ張っているので切り肌に傷をつけます…なので製品に傷を残さないような木のダボを切る専門のノコギリには片面だけがアサリが付いていません…この側を製品側に使います…簡単な方法では、ハガキなどの薄紙を円く切り抜いてダボに刺し、アサリを隠して普通のノコギリで挽きますが、ハガキの紙厚の分が残ります…その部分を紙やすりなどで落としますが、今度はヤスリの跡が残ります…

 道具には「適材適所」があるということの所以です…!

 

 切れる寸法の幅は、このアサリの幅です…ノコギリの胴=金属部分の厚さではありません…!

では線の右か左か、それとも真ん中? どこを切るのかという「メジャーリング」は後述します…

 

 よく新品ので手を切ります…スパッとした刃物よりヒリヒリ痛いのは、よく見ると紙の断面がアサリのようになっているからで、これが傷を複雑にします…ヒリヒリ〜痛っ〜

 

 大抵は両刃付きを買います…片側の刃先は細く、反対側は粗く大きめです…

細かな方が横挽き=木の繊維を横に切るために使います…反対の粗い方は縦挽きつまり木の繊維を縦に切断する時に使います…簡単ですが、木や棒を切るのには横引きを使っています…

 また刃が片側だけのものは横か縦それぞれの専用になっています…当然ですが、刃が細かく、ノコギリ全体が薄いので切り口は綺麗になりますが、細工用と考えた方がいいでしょう…

 

 のこぎりの背中に当て金物が入ったものを「胴つきノコギリ」と呼びます…刃がまっすぐになるように考えられています…ただし胴の厚さが引っかかり板を切る角度を制約します…注意してください…!

 

 

 またノコギリの作業中は摩擦熱も発生します…切るコツは「切り始めは少し急ぐようにして刃をしっかり食い込ませ、間はそれよりもゆっくりと切り、最後はまた少し急ぐように切り落とします」…

摩擦熱を逃すようにして、のこぎりの重みを使って切ります…早く切りたいばかりにせわしなくのこぎりを動かす人がいますが、正しい方法ではありません…それにあくまでも引く時が切れる時てです…

始めの頃はストロークや角度がブレて上手に切れません…

たくさん切って慣れてください…! あくまでも道具に仕事をさせることです…!

 

 以上を考えれば、折りたたみ式の「植木用」や「簡易型」ノコギリは「家」には使えませんね…!

 

 

 

 「鑿=ノミ」は幾つものサイズがあります…サイズはノミの穂先ほさき=刃先の幅を表します…

ノミの先を「穂ほ」と呼びますが、裏の凹みは裏スキと言います…表面を表とは言いません…裏の対極は表なのに、と初めの頃に戸惑ったことの一つです…

頭のカナヅチで叩く部分が「かつら」です…割れないように金輪がはめてあります…孫悟空の頭みたいです…

 

 これも以前に書きましたが…日本の建築のモジュールは、30,3ミリ=1寸の倍数です…ノミの幅もこれに準じます…とはいっても実際にはこれよりも小さく作られています…あなたが目にするノミには、小は1寸の3分の1の9ミリ、以後は3の倍数ごとの、×3の24ミリくらいまで…もっと大きなものは42ミリまでありますが、この大きさは大工道具専門店でしか目にできません…あくまでもホームセンターは素人専用なのです…!

ここではミリ表示が当たり前ですが、こと建築では尺貫法の寸表示も併用されています…

 

 その中でも最低これくらいあればという3〜5本セットがあります…最近では柄全体が黄色に彩色されたプラスチック製もあり「洋ノミ」と言われます…DIYを楽しく見せているようです…

一般にはノミを使うことは滅多にないので、必要に応じて買い求めてください…!

 

 使用にあたっては使い方の基本を知ってください…例えば穂先で力任せにこじったり、斜めに使うと刃がかけます…「刃こぼれ」です…案外繊細なのも日本の道具の特徴です…「柔よく剛を制す」です…!


 一般のノミを「追い入れノミ」で、その仕上げに使うのが「向こう待ちノミ」と考えてください…

ノミは叩いて使うだけではなく、時には手で押して使い細部を仕上げます…それが「向こう待ちノミ」です…深堀用の細身のものなど柄が長く、かつらの金輪がないのが特徴です…叩かないからです…!

 

 プロは何種類もの形や大きさのノミをを使いわけますが「家」の手入れには必要なさそうです…

指物さしものや欄間らんまなど繊細な技巧の飾り職人さんなどは、穂先がカーブしたり極細だったりと専用のノミを50種類以上も揃えているそうです…必要な道具は自分で作る、という個人の表現の道具です…

 

 ノミの穂には「安来やすき「ハイス」とあります…共に使用している鉄のことです…

「安来」やすきとは、あのドジョウすくいの安来のことで、古来からこの地方で採れる砂鉄は刃物に最高なものとして大事にされてきました…いわば日本の刃物文化の原点が安来です…ここの製鉄風景は「もののけ姫にも出てきます…炉のそばの足踏みする大きはフイゴ、風を送って燃焼を高めますが、これが「たたら」です…よく「たたらを踏む」無駄足を踏むと言うのは、この足を踏み外す様子に例えるからです…反対に「ミエを切る」大げさな足が歌舞伎の弁慶の六方ロッポウです…余談です

古来から日本刀の刃をつけるのに最適なのが、安来産の鋼ハガネだと言われています…ノコギリやノミ、カンナなどは刃が命です…そこに安来産を使っているということです…

 

 また「ハイス」とは、いわゆる「洋鋼」のひとつで、High Speed Steel の略です…この中でも特に工具用に開発されたものが、のこぎりやノミに使われます…もともと大量生産で安価なため、その需要から広く使われます…ノコギリはハイス鋼をプレスで打ち抜いて作ります…

硬さと柔らかさを併せ持った工具専用の金属だと考えるといいでしょう…!

 

 日本の文化の特質の一つは切ることです…和包丁切れ味には世界が驚きます…家庭の包丁が刀のスゴさをを伝えるようです…一方でこの切れ味を保つために、研ぎの技術も発達します…ノコギリの目立てもノミの刃たても研ぎがなくては成り立ちません…

大工さんや料理人などのいろんな職人さんたちは刃物=道具を研いで自分のものにします…いわば刃と研ぎは表裏一体…不可分なものです…

このことも知ってください…大事な「研ぎ」についても後で述べます…

 

 「ノコギリ」も「ノミ」も湿気を嫌います・使った後は油を敷いた紙や布で覆うようにしてください…

 

 

 面白いことに、木を切断するノコギリは洋の東西とも同じですが、日本では引いて切り、アメリカなどは押して切ります…挽き方が全く逆です…人間工学的には日本の方が理にかなっているようです…

確かに僕も経験してみたのですが、日本型の引く方がいいように思います…慣れかなぁ?

 

 

 アメリカの大工雑誌にも日本の大工道具の広告が多くなってきました…彼らの道具にも胴つきノコや、ノミ、カンナ、カナヅチ、さらに地下足袋まであるのにはびっくりします…!

 

 

 ここまで読んでくれて、ありがとうございます! 

 

 次回は「その2・電動工具とその他」の道具のお話です!

 

「家」の基本は材料と道具の本質を知ることです…「暮らし方」はそのあとにお話しします…

 もう少しお付き合いください・!

 

 正しい知識さえあれば、設計士にも施工現場にもニラミを効かせられます…情報を共有してください…

この情報をもとに「マイホーム計画」が成功することを願います…!

 

 Renovationには修理や修繕の他に刷新や元気回復という意味もあります…

「家」を新しい力で元気にさせる…「リノベーター」に応しい言葉ではありませんか…!