これから「家」を持ちたいと思う、または大人になりたい人に、読んで欲しいと思うブログです…

あなたの「マイホーム計画」のお役に立つために…今日のお話は、元に戻って……!

 

 

 「三和土」は「たたき」と読みます…

 

 こんな読み方ができる人はあまりいません…昔の家の土間などの堅い土のところをこう呼びました…

懐かしい言葉の一つです…今でも玄関などの地面…もうとっくにコンクリートになっているんですが、ここを「たたき」と呼んでいます…文字通り固く引き締まった土、叩いて仕上げたのでこの名があります…

 

 元はにがり、消石灰の三種を混ぜ合わせたので「三和土」というそうです…

土は目の細かい「荒木田」のようなもので、にがり豆腐のあれと同じです…豆腐を固めるのと同じに「凝固剤」として使われるそうです…

 

 この土を踏んだり、文字通り叩いたり…一昔前の基礎作りの「よいとまけ」木のやぐらの真ん中に大きな木槌をぶら下げて…それを何本もの縄でおじさんやおばさんが引き上げてはドスンと落として搗き固める…

その時のさまが「よいとまけ」です…正しくは「お父ちゃん(オ母チャン)のためなら〜エンヤコ〜ラ」ドスン…

当時は大事な日当仕事でした…美輪明宏さんの歌にもありますね…

 

 大工仕事では妙な名前に出くわします…僕も最初は言葉と意味がわからないままでしたが…

入母屋屋根の上りを「けらば」と言いますが、これも「ケラ羽」…あのオケラ、懐がすっからかんになるのを、オケラになるなんて言いますが…あのオケラの羽みたいだから、ここをケラバというそうです…

部屋の中の「鴨居」かもいなんていうのも、鴨が居ません…また窓の上枠は「まぐさ」と言いますが、馬の食べる草のこと? なんて考えますか…ちなみにこれは窓を目に例えて、その上の眉を漢語がこう言ったからという人もいます…というように大工仕事には時代の風景も読み込まれているということです…

 

 というワケはさて置き…「たたき」とは本来固く搗き締めた土の地面のことを言いました…

 

 それでもこの「たたき」はセメントの代わりをするくらいに堅いものでした…これを撞き締めたこの土が多くの建築の大事な基盤=基礎になります…

 昔の基礎は「独立基礎」です…この基盤の上に束石が置かれてその上に束柱が立ち、家を支えます…

そのための「たたき」の硬さがいかに重要だったのかわかると思います…

 

 この「たたき」が、神社仏閣や塔の基盤を揺るがないように、しっかり支えます…建築物と地面を密着させる関係では特に重要です…

 

 想像してみてください…あの山中の寺院や伽藍、城は、もともと地盤が安定をしなかったところに造られたものです…この何百年もの間に何度もの地震が襲ったのですが、塔も城もびくともしません…

唯一の弱点は戦乱の焼き打や振袖火事などの大火…こればっかりはいかに大工でも対処できなかったようです…

避雷針もなかったから塔などは落雷にも無防備です…すぐ火の手が上がります…

それでも創建当時の土木力大工の技術のレベルの高さに目を見張るでしょう…

 

 そんな地形に立った伽藍の足元の「たたき」にはスゴさを感じます…土を搗き固め水を誘導して整地をした土木技術のスゴさ…そんなスゴさは今の「家」作りにも共通する問題です…あの熊本地震で崩れた石垣の上に乗ったままの熊本城…崩壊しない木組みのスゴさと一本になっても城を支える石垣に日本の技術の物凄さを感じませんか?…しかもそれを復元する現代の技術力にもです…!

 

 考え方ですが、現代は材料がセメントになり、水や糸が電子的な測量器械に変わっただけです…問題はいつだってそれらを正しく制御できない人間の側にあるようです…あなたが「家」を持つことは、こうした人的な管理力なのかもしれません…曖昧な工事、検査数値のごまかし、見えないところの手抜き工事などなど…

 

 

 ムダ話です…

 以前に木曽の山の中の古刹を訪れた時にご住職に聞いた話です…そこの庫裏には大きな梁や柱がありましたが…記録では過去もっとも大きな地震に、礎石の上の柱は1〜2センチほど動いただけだそうです…そこには幕末三舟の一人高橋泥舟の書がありました…またその時に妻籠近くの民宿に泊まりましたが…その夜、囲炉裏のそばで宿の古老が土地のヒノキを削って My 箸を作ってくれました…そのケヤキの箸はどんなものも摘めると言います…確かに丸箸でもつかめない小さな煮豆をやすやすとつまめた時には驚きました…礎石といいケヤキといい、その地に暮らす人々と地域の密接さが思われます…

 さらに高山の朝市で数枚の歯車を買ったのですが…全て木製で、削って作っています…多分機織り機やロクロなどの生活用品に使われたのでしょう…その中にはなんとインボリュートギア(とても科学的な歯車だと学校で教わり、製図した覚えもあります)もあり、それらの全てがノミで削ってあります…今でも残った数枚がコースターで活躍中です…木肌に染み込んだくるみ油といい、スミ跡の残る多様な歯車といい、そこには木を熟知して科学にも転用を図って実用した、天領飛騨の人々の生活の技に驚きます…高山周辺の農家の蔵の作りもさすがです…でも昔は天領なるがゆえにヒノキは使えなかったそうです…

その矛盾が飛騨の「匠」として技術で日本を支えたのもうなずけます…もう何年も前、日本の大工道具を使うアメリカ人大工が、なんと高山の鍛冶でスペアを買って帰りたいと言ったのには、え?ってなったものです! ちなみに彼は「地下足袋」も買って帰ったんですが、当時はなかなかデカいサイズがなくて大変でした…

 

 

 そんなすごい「たたき」が古くから日本の建築を支えて来たのだとしたら…

どんなに基礎が大事か、あなたもわかるはずです…

ここが、動く地面と動けない建築物=家の大事な接点だということもわかったと思います…!

 

 

 

 ここまで読んでくれて、ありがとうございます! 

 

 次回は「とりあえず…」の道具のお話です!

 

「家」の基本は材料と道具の本質を知ることです…「暮らし方」はそのあとにお話しします…

 もう少しお付き合いください・!

 

 正しい知識さえあれば、設計士にも施工現場にもニラミを効かせられます…情報を共有してください…

この情報をもとに「マイホーム計画」が成功することを願います…!

 

 Renovationには修理や修繕の他に刷新や元気回復という意味もあります…

「家」を新しい力で元気にさせる…「リノベーター」に応しい言葉ではありませんか…!