これから「家」を持ちたいと思う、または大人になりたい人に、読んで欲しいと思うブログです…

 あなたの「マイホーム計画」のお役に立つために…今日のお話は…「家」のよろいというおハナシです…!

 

 

 あなたが家を作る時に必ず「サイディング」「リシン」という表記にぶつかります…

 

 

 この二つは言ってみれば「家」の(よろい)です…

全身にまとって外敵から「家」と「家族」を守ります…敵とは雨や風で時に火の粉からも守ります…

「サイディング」とは建築用語の下見板、羽目板、板ばりなどのことです…「リシン」というのは日本では「吹き付け」と呼ぶもので、この二つの方式は広義に家の「よろい」と言ってもいいでしょう…

 

 まずは「サイディング」について述べます…「リシン」は次回です…

 

 「サイディング」というのは、金属でできた「金属系」と、陶器のように作られた「窯業系」に分けられます…金属系は鉄やアルミなどで作られますが…錆びやすいか錆びにくいかということで…値段に差があります… 見わけ方は簡単です…磁石がくっつけばで、反対にアルミはくっつきません…

 

 最近は「ガリバリウム」鋼が使われます…強くて重厚感もあり新築に多用されます…

 

 窯業系は、割れたりヒビが入るなど壊れるともう使えません…金属系は、折れ筋やシワは元のように修復できません…金属疲労の一種です…それぞれの基本的な性能の違いです…ちなみに「窯」とは、かまど=ようの事で、かまどで焼成する仕事を指します…サイディングの「窯業系」とは、その焼き物に似ているのでこの名があります…

 

 それぞれに重量があり、熱膨張もあり金属系の方が薄く仕上がります…屋根材にも使われます…

 

 ただし金属の特性上熱伝導も強く、夏の温度上昇や冬の低温の影響を受けやすく、断熱の仕方を工夫する必要があります…また音も大きく、屋根材の使用には天井を遮音しないと、とんでもないことになります!

 

 窯業系は、燃えにくく熱伝導も低くされています…降りかかる火の粉にも強いというわけです…

出来上がりのデザインも、レンガ調やコンクリート調など様々で、個性も表現できます…

 

 窯業系のほとんどは横に張ります…柱の出っ張りを出隅(でずみ)、ヘっこんだ入隅(いりずみ)にはそれぞれデザインを合わせた専用の部材があります…役物(やくもの)と呼ばれます…もちろん雨水の落下を考えた縦張りもあります…

 

 窯業系には厚さがあり、幅=高さはたいてい30,3センチ=1尺で、長さは30,3センチの倍数で、それぞれが重なるように施行されます…重ねるのは上からの雨対策です…この重なる部分には互いが接着するようにシーリング材が出荷時に施されています…毛細管現象で水は細い隙間ほど入り込むからです…

 

 よく見ると一定の間隔で釘の頭が見えるはずです…と言ってもサイディングと同色だから目立ちませんが

たいていは両端と90,9センチ(3尺)=桟の間隔 ごとに見えるはずです…特に柱の出ズミ部分は顕著です…

 

 長手のつなぎ目には1センチくらいの隙間=溝があってコーキングされます…つまりこの鎧(よろい)には縦につながったタテのつなぎ目(みぞ)があります…膨張率を考えてのことです…線路のつなぎ目と同じです…

 

 家はだけではなく、とも戦います…何気ないように見えても家は常に風圧を受けています…

例えば、道路に面した家ではバスやトラックなどの断面面積の大きな車が通るとカーテンも揺れるはずです…車の作る風圧のせいです…もちろん、その影響平家の方が小さくなりますが…

 

 この風圧はバカにできません…風が強い日には、風を受ける側の壁は凹みます…反対に受けない側は風圧を逃そうと凸状に膨らみます…目には見えないけれど外壁はこんなポンプ状態を繰り替えしています…大風ならいっそう大変です…「鎧」はここでも「家」を守っています…!

 

 施工、特に釘打ちでは、釘の緩みは振動を呼び打ち直せば痕が残り、その穴は使えません…サイディング自体に構造的強度がないからです…スキ間もでき雨水の侵入も起きやすくなります…最近はその「釘」をエアーで打ちますが、打ち込み深さが大事です…施工の精度が絶対に重要になるということです…!

 

 動きの中でサイディングは伸縮を繰り返し、やがて釘もガタつきます…経年が鎧を老化させます…!

それ以上に大きな劣化が表面の塗装です…塗装は壁を美化し同時に防水の役目を果たしていますが…劣化で防水効果もだんだんと失われるわけです… だけでなく、太陽の光とも戦っています…その光線には赤外線もあって、塗装が褪色します…つまり色あせです…日に焼けると言っているアレです…

 

 古いサイディングの表面を触ってみてください…手に塗料がくくつきませんか?

これを「白化現象」と言い、褪色(色あせ)の始まりです…チョークのように粉が残る「チョーキング」限界のサインです…コーキングも硬化してヒビが入り、隣り合うサイディングを密着させる効果も失われます…防水効果が失われて「鎧」も末期的です… これが「耐用年数」です! 塗り替えの時期です…

 

 外壁の塗り替えというのは本来の効果を復元するために行います…

新たに塗装されてコーキングも新しくなります…浮いた釘も打ち直されます…防水効果復活です! 

 古い隙間から入り込んだ水で、湿気を含んだサイディングは新しいいものと取り替えます…費用はかかりますが、前向きに考えれば、新しい個性の誕生で新規一新です… でもあくまでも被害の状況や経済性など諸条件が違うので、検討の上で最良の方法をあなた自身が決めなくてはいけません…!

 

 「鎧」よろいはこんな仕掛けで「家」を守っています…衣の陰から鎧が見えるとは平静を装っていても、いつでも来い!ヤという身構えの例えですが…この鎧の身構えが「家」なのです…!

 

 

 築年数の古い家にはこんな備えがなく、怪しげなサイディングや屋根工事の訪問販売が横行しています…そのどれもが正しい工事ではなく、金額的にも法外です…特に老齢者の「家」が狙われて被害も増えています…絶対にこの商売に引っ掛からないように、地域で注意しなくてはいけません…! 特別だからと工事代金を他言させないのがその手口です…要注意です!

 

 悪質で不要な工事だという理由はいくつもあります…「カバー工法」というのは現状の上に被せる=カバーする工法を言います…工期が早いというのがその理由ですが、前述したようにサイディング自体にも重量があり、現状の重量にさらに加重され、躯体の負担が大きくなります…特に屋根に使われる金属系では、カビや藻なども閉じ込められます…臭いものに早く蓋をしてしまえ・だけの工事と心得てください…

 まして金属系、窯業系とも構造的な強度はないので、これでラッピングしても家は頑丈になりません…錆びにくいアルミで契約したのに、実際は安価な鉄で工事されたりと、彼らのダマしの手口も巧妙になっています…彼らは「家」のことを考えてはいません…儲けのことしか考えていません…!

 

 

 最近は、亜鉛とアルミの合金がメッキされた「ガリバリウム鋼」の家が、なんとなく頑丈そうで大人っぽいデザインになるからと人気があります…大抵はこれを生かした黒または銀の外観で、補強用のリブもデザイン的です…でもここにも落とし穴はあります…!

 

 ほとんどの業者が「ガリバリウム」鋼の利点を並べます…同じ金属でもこれは違う…とばかりにハウスメーカーも設計士も「半永久的な耐久性」「風雨にも強く」「遮熱性も高い」「絶対に錆びない」「究極の部材」など、半ば盲目的にその性能=利点を列挙します…聞く方も、専門家が言うのだから・と信じます…でもやはり「鋼」です…メッキです… 錆=サビびることは避けられません…そのサビから腐食が始まります…腐食の進行具合が遅いだけです…確かに他の金属に比べて「理想」に近づいてはいても「究極」ではありません…メンテナンスが必要です…「耐用年数」もあります…それがどれくらいか?  地域の違いや、暮らしのスタイル、経済性から正しく判断して選んでください…!

 

 一昔前の世代が必ず体験をしたのが、アルミのお弁当箱のフタの真ん中に、白いサビのようなものが浮き、腐食されていたことです…原因は日の丸弁当の梅干しです…あるいは、アルミサッシに置き忘れていた10円玉、その跡がやはりサビのように残ります…両方とも俗に「電解=電気分解」と呼ぶアルミ特有の現象で、鉄や酸などが接触することで起きる現象です…

 詳しいメカニズムはわかりませんが…電極なんてないのに? この言葉と梅干しの跡は今も覚えています…

 

 「金属系」のこんな特性とか、価格が高いのも考慮しなければならないようです…それにメッキだから「メッキがはがれる」こともあります…ただしあの厚さの中に断水や断熱などの、性能が何層も閉じ込められています…

 

 

 こうやって「鎧」も時代とともに強くなります…!

それだけ「家」への期待度が高くなっていると考えてください…その大きな要因が「環境問題」や「化学物質」だとしたら「家」は「生存」と同義語になります…環境汚染をもたらす「酸性雨」がこの「鎧」をさらに重くしているのだとしたら…家族や子供たちの世代に残せる「家」を作りたいなら…?

「家」を作ることは「時間軸」を考えることでもあるのです…!

 

 「鎧」が相手の太刀を防ぎ、生身の体を最終的に守ってくれます…たとえ「鎧」がボロボロになっても、また新しく変えられるなら… サイディングとはこういうものです… 同時にいつでも着替えができるように中身のメンテナンスを忘れないようにしてください…! あなたの責任です…!

 

 

 ところで関東大震災以後、東京は火災をほとんど恐怖のように感じて「燃えない家」を作ります…

そこで考えたのが、燃えない銅板あかがねで覆う方法です…これなら屋根葺きや飾りの伝統技術もあります…

家の正面をそんな職人の技術が飾ります…銅板が覆う当時の「家」の最先端技術です…建築に携わった大工や職人たちが、その手法を持ち帰り地方にも拡散します…昔の宮大工の技術が地方に持ち帰られたのと同じですね…

 特に大きな商店の開口部はこれ見よがしに完璧に覆います…ご存知のように銅板のつなぎには半田ハンダが使われますが、これでは半田の跡が銀色に残り見栄えもよくありません…だからアザ折などの折型を駆使して繋いで行きます…つづら、亀甲、矢はずなどの細工が「家」を飾ります…青海波には千鳥も飛んでいます…銅板ならではの巧みさです…最初はピカピカと輝いていた銅板はやがて緑青ろくしょうを吹き緑色に変色します…家の一角には細工をした職人の名前や屋号が小さく「銅なになに」と誇らしく残されます…

 特に延焼被害の大きかった下町に多く見られた建築です…今では「商店建築」(または、看板建築)というジャンルで写真に僅かに残るだけです…僕の近所のもあっという間に消えました…そのどれもがいかに火事を恐れ、自衛の大切さかを考えた庶民の知恵の表れです…! 各商店ごとにまるで職人たちの作品を見るような、凝った個性が軒を連ねる街並み…緑青を吹き重厚さを増した通りの美しさも、今はもう見ることができません…

 古くなったり、都市開発という美名で次々と壊され無くなってゆく「看板建築」…無名だった職人たちの仕事を目にすることもありません… そこには火事への恐怖美しさ昇華させた、職人と「家の物語」があります… 「家」作りにかけたオーナーとそれに応えた職人の心意気その一端を知ってください…! 

 あなたの地方にもこんな「家」が在るかもしれません…東京小金井の「えどたてもの園」には移築された家があります…

 

 

 

 ここまで読んでくれて、ありがとうございます! 

 

 次回は「リシン・吹き付け」です…同じく「家」の鎧についてです…

「家」の基本は材料の本質を知ることです…「暮らし方」はそのあとにお話しします…もう少しお付き合いください・!

 

 正しい知識さえあれば、設計士にも施工現場にもニラミを効かせられます…情報を共有してください…

この情報をもとに「マイホーム計画」が成功することを願います…!

 

 Renovationには修理や修繕の他に刷新や元気回復という意味もあります…

「家」を新しい力で元気にさせる…「リノベーター」に応しい言葉ではありませんか…!