これから「家」を持ちたいと思う、または大人になりたい人に、読んで欲しいと思うブログです…

 あなたの「マイホーム計画」のお役に立つために…今日のお話は…「ノリとシックハウス」のおハナシです…!

 

 ムダ話から始めます…

 第二次大戦で日本が唯一アメリカ本土を爆撃したのが「風船爆弾」です…

風船を膨らませた気球の爆弾を…大平洋を超えるジェット気流でアメリカ本土まで運ばせる爆弾です…

 そのうちの何発かがアメリカ本土で爆発しますが…報告された被害の…最大のものはオレゴン州の山中まで飛来、女子や児童を殺傷したという悲しい事実です… ただこの爆弾は、自然まかせ風まかせで、爆発のコントロールができないなどの理由で日本軍では採用されなくなります…

 

 ただしアメリカ軍が受けた衝撃は大きく、捕獲した「風船爆弾」の分析が機密扱いで始まります…

本体の和紙はすぐわかったのですが、どうにもわからないのが風船の接合に使われた「ノリ」の正体です…この爆弾の日本の通称は「こんにゃく爆弾」…日本では当たり前の「こんにゃく」ですが、彼らには食べたことのない意味不明のもの…空気の希薄なジェット気流で何千キロも飛ぶ強靭なノリとは…?

この「こんにゃくノリ」がその正体でした…「こんにゃくノリ」は手芸店でも買えます…

 

 このように西欧で発達した化学系のものと、日本古来の由来から発達した自然系のものがあります…

試験管で作られて呼吸器系に影響のあるものと、天然由来で呼吸器系に優しいもの…あなたの「マイホーム」を考えるヒントにとお考え下さい…「漆」を利用した「金継ぎ」の技法も日本古来の接着かもしれません…!

 


  「接着剤」や使用箇所の研究は日進月歩であり、歴史もあります…古代の漆喰から、モノとモノを接着するというは人間の夢かもしれません…

「木」を張り合わせた「集成材」もその例外ではありません…資源の枯渇を防ぐというのはその答えの一つだという理由です…新たな強度や剛性を再生するということに、「接着剤=ノリ」の存在は欠かせません…!

 

 

 前回のブログでもお話しましたが…接着剤は「化学製品」です…

保管だけでなく、応用方法、応用後の方法にも「天然」にない「危険」があります…毒性もあります…

 燃焼して有毒ガスが発生するものもあります…!

 

 「家」の各所に使われる「集成材」はいつも人間をネラってきました…その最たるものが「化学物質」で「ノリ」に含まれているものです…皮肉にも、この「化学物質」が放出するガスや匂いなどに反応したり、誘引しやすい体質を作って、原因を突き止めたのが彼らでした…「化学物質過敏症」です…!

 

 「ホルムアルデヒト」の禁止に動いたのは建築業界です…

ホルムアルデヒトとは「ノリ」に含まれる成分でホルマリンとも呼ばれます…理科室の瓶詰め標本の液体がこれです…なぜ標本に使われるかといえば、ホルマリン液が生物の死後変化を止めるからです…あまりじっと見たくはないのですが、カエルなどの解剖標本が今でも当時と同じように見られるのは、ホルマリンがその後の変化を止めているからです…腐りませんね…

 

 これが「接着剤=ノリ」に入っていました…理由は上記にほぼ同じ理由です…しかも安価です…

つまりノリを長時間安定させることができます…そのノリが空気に触れて乾燥=硬化する過程で空気中に放散されますが…それを人間が吸って「過敏症」の原因を作ります…「シックハウス」です…ノリの中のホルマリンが空気中に放出されてそれを吸引したり、皮膚に付着することで起きる「病気」です…

 

 身近な「壁紙」を貼る作業には大量のノリを使います…このノリが放出するホルマリンの放散が空気を汚染します…これは壁紙が乾燥することとノリが固着することの相互関係にあります…壁紙が十分に乾燥しないと、表面のツレやシワ、汚れやすくなりカビが発生します…カビは微生物、生き物なので繁殖をします…あるいは空気中を浮遊します…この空気を吸う生活があなたの体を限りなく病気に近づけます…

 

 

 「家」の構成部材はそれぞれの乾燥時間が違います…施行中の天候や日照にも左右されますが…

この中でも一番乾燥時間が必要なのはコンクリートです…水と親和性の高いコンクリートの特性です…

 

 またマンションなど界壁がコンクリートの場合、内壁の石膏ボードをモルタルを団子状にしてくっつける「だんご貼り」があります…この場合コンクリートは露出したまま石膏ボードと並立しますが、コンクリートとの時間差で湿気を生みやすくなります…これも乾燥時間を考えないからです…

 施工現場の技術的なレベルの問題と言えるでしょう…施工後の時間軸が決定的に欠落しています…!

 

 

 こういう話を聞きます…

古いマンションのリノベーションの方がホッとする、というのはコンクリートも木も十分に乾燥し、ホルマリンも感じないからかもしれません…新築マンションではホッとできないという問題です…!

 

 

 この汚れた空気をエアコンや空気清浄機、換気扇などの機械的な換気処理にも気をつけないと、今度は温度差から「結露」という新たな問題を抱え込むことになります…たまには「窓を開け放つ」自然換気こそ大事だということです…! もう一度「乾燥の条件」を確かめてください…

 

 今では「家」の中に化学的に結合された「集成材」製品があふれています…

家族には目のつかない「構造材」の他に、カウンターやテーブル、椅子などです…あなたの体は常にこんな化学物質に向き合っています…あるいは病気の予備軍ということです…

 

 ひとくちに「集成材」と言っても、「構造材」と「内装材」に分けられます…「内装材」でホルムの放散量=基準値が小さいからと言っても「過敏症」の人は反応します…生来のものか、それまでの生活がだんだんと重篤にしたのか、あるいはキッカケになったものがあったのか、 その個体差はなんなのか…?

 いずれにしても「家・house」が「病気・sickness」を作ったのだとしたら…「マイホーム」作りに重くのしかかってくる大きな問題です…

 

 

 「接着剤=ノリ」の成分は複雑です…いろいろな成分が混ざり合ってできています…! 

その多くは空気中に放出される度合いによって人間の健康被害に及ぼす影響を最小になるように可視化されるようになりました…このホルムアルデヒトが化学物質の悪い子の代表にされます…成分はホルマリンだけではないのですが…

 

 以前の現場でこういうことがありました…

長いこと呼吸器関係の問題を抱えた主婦が車の排気ガスを避け、引っ越し先の戸建ての家を仲介業者がそれなりにリノベーションをしましたが、彼女の症状が改善されません…そこで改めて僕に依頼が来たのですが、以前のリノベーション箇所や使用材料を検討し、彼女の部屋の空気も検査することにしました…

東京にはこれら化学物質を調べる公共機関があり、そこで手のひら大のパッチを渡されました…!

 

 このパッチを部屋の中央に彼女の口の高さに合わせて24時間ぶら下げておきます…このパッチに付着した空気成分を調べるわけです…分析結果は24時間後に出ますその結果心配していたホルムアルデヒトは平均値をやや上回る程度だったのですが、約40倍という異常に高い数値を出した薬品がありました…

テトラデカンと言いうこの成分の放出先で考えられたのが、当時彼女がTVショッピングで購入した日本の桐たんすを模した中国製のタンスです…この合板に使われていたノリにこの成分が含まれていました…

早速このタンスは「惜しい!」と言う彼女の悲鳴と一緒に壊しましたが…屋外で壊したのにその作業中に顔面蒼白で「気持ち悪くなった!」というアルバイトの若者にびっくりしました…その旨を早速販売会社に連絡、何日か(すぐじゃない…)後に撤収されます…

 

 

 この事例から学んだことがあります…

個体差では、工事に必要な部材や商品は必ずその会社に同行して、その環境で呼吸して触らせて本人の反応を確かめることが大事だということです…実際、はやりの珪藻土も数社を回って選び抜きました…当然作業は通気のある自然環境で行うこと、などです…タンスの件も「販売会社」(かなり有名)は十分な検査を行わずに危険な商品を販売していて…TVや有名人の言葉を信じやすい…など改めてTVの影響力の強さ、怖さを思い知ります…

 

 

 「公的な機関」は各府県にもあると聞きます…「家」を考えるなら、あるいは家族に異変を感じたなら、こうした機関を活用してください…ただし東京では、検査項目ごとに値段が設定されています…検査項目を欲張ると思わぬ高額になります…検査項目を予め決めておくといいでしょう…

 

 

 当時の(といってもほんの少し前ですが…)中国は農産物を含めて農薬の使用が基準値以上というのが当たりまえの頃でした…安価な労働力に頼って作らせた商品の代償がこれでした…今の中国は世界の工場を脱して世界の消費者になり、環境問題にも関心を寄せています…


 

 木の種類や使い方によっては「集成材」の方が耐久性や剛性に優れています…ただしあくまでも機械的に作られた「木」です…仕上がりの良し悪しに工場のレベルによって差異があるということを理解しましょう…商品の信頼度の高さだけが良い「家」を作ります…

 

 

 

 ここまで読んでくれて、ありがとうございます! 

 次回の旅の続きは「構造合板・コンパネのハナシ」です…! 

 

 正しい知識さえあれば、設計士にも施工現場にもニラミを効かせられます…情報を共有してください…

もちろんあなたの「マイホーム計画」が成功することを願います…!

 

 

 ところで、この業界では建てる人を「お施主さん(おせしゅさん)」と言います…イミも含めてもともとは仏教用語です…僕のブログではあえてこの表現は使いません…今までもこれからもです…!

 同時に今までの「リフォーム」は英語のフォームを変えることを意味します…スポーツのフォーム(形)とか、書式のことです…「Renovation(リノベーション)」が正しい言葉です…教育の英語化が叫ばれているのに変な使い方がまかり通っているのもこの業界です…

 

 Renovationには修理や修繕の他に刷新や元気回復という意味もあります…

「家」を新しい力で元気にさせる…「リノベーター」に応しい言葉ではありませんか…!