これから「家」を持ちたいと思う、または大人になりたい人に、読んで欲しいと思うブログです…

 あなたの「マイホーム計画」のお役に立つために…今日のお話は…「木または樹」の強さのおハナシ•2です…!


 

 前回は「木・樹・き」の不思議さに触れました…!

 

「樹」そのものが「大きな生命体」で、その存在が私たち生きとし生けるものの「生命維持装置」だというのも分かったと思います…!

 

 私たちはこの素材を身の回りで活用することを覚えました…「家」もその一つです…

ただし「家」の素材として活用するにはまず強度を求めます…変形することを嫌います…

 

 言い換えれば、伐り出してからの第二の歩みを求めます…「家」はこの第二の歩みの上に成り立っています…地に生えていた自然の不思議を、今度は「家」の便利さに利用するわけです…

 

 前回ブログでお話ししたように、木はたとえ燃えて灰になっても生きています…

 

 

 伐り出された「木」は製材されます…

 

大きな丸太状の木はその中心部分を「心材」その周りの表皮かわ に近い部分を「辺材」と呼びます…

当然ですが柱や梁など強度が求められるものは心材から取り出します…

 

 「木」の中心に近い方を「木裏」反対に表皮に近い側を「木表」と呼んで区別します…

特に辺材ではこの表と裏の特徴がはっきりします…建築の部位でこの表と裏の使い方が違います…

木は製材されるとまるで長年の呪縛から解き放されたように、に向かって反りはじめます…反りは木の部位や製材方法で違いはあるものの、これは避けられない生き物の証と言えます…

 

 手近な板をよく見てください…表面に何本もの木のスジ=年輪が見えるはずです…これが長手の方向に伸びているのが「柾目まさめで、反対にスジが板の短手に見えるのが「板目いためです…

薄い板目はスジに沿って簡単に割れますが、柾目は簡単に割れません…これも製材には必要な読みで、主に板の強度を取り出します…

 

 辺材の多くが家具や工芸品などの利用されることが多いのはこのためです…

 

 また木には「節ふしがあります…元々はそこに枝などが生育した跡で、繊維も密集していたので固くて色も違っています…この節は製材の後も残りますが、スカスカに抜け落ちて穴が開くのを「死に節

反対に抜け落ちないのを「生き節」と呼びます…

 

 また表皮がついたものは「耳付き」と呼ばれてインテリアなどに利用されます…

 

 

「木」は限りのある資源です…巨木の多くは数も減少し保護されて伐り出しにくいのが現状です…

 

 また製材された木の断面口を「木口こぐちと呼びますが、露出させたままではここから湿気を呼び込みます…そのため建築の時、この木口を「玄能げんのうで叩いて導管の口を潰して湿気の侵入を防ぎます…これを「木殺し」と言いいますが、おっかない言葉ですね…これも木が生きている証です…

というよりも「木=家」の大敵は湿気だということです…いってみれば「家」を作ることはこの湿気から守ることだというわけです…

 

 四角い柱の一面を上下に切り傷が走っているのをあなたも見かけます…これも日本の大工仕事が見つけたもので「背割れせわれと言います…特に柱のように断面の大きな木は、さながら身をよじるかのようにねじれます…この時には大きな力が木の内部に働きます…これを「木が暴れる」と言いますが、予めこれを考えて、力を逃がすように木の面を切っておくのが背割れです…日本独特の方法です…

このように木には背中(曲がっている方)と腹(反対に凹んでいる方)もあります…

この背割れを目立たないように立てるのも技術です…

 

 

 ログハウスに泊まって夜中にびっくりすることがあります…積み上げられたログがねじれたり割れたりしてピキッ、バキっと大きな声をあげます…ログが自然に呼応する叫びです…木が生きていることを実感します…やがて数年たちログは落ち着き、この声も聞こえません…これはログが死んだのではなく、新しい住環境になじんだということです…ログは新しいこの土地の空気を吸って家族を守ります…

 

 前回も書きましたが、木には優れた消音効果もあります…音波とは波です…この波形を木は消します…

ちなみに「無響室」ではこの波を消すためにのとんがりが無数に出ています…木のスピーカーがよく聞こえるのも木のせいです…特にかっての高級スピーカーのバフレスではこの木を折り曲げて何メートルもの道を作って音を走らせます…

 

 また波を消せるのは振動も同じです…鉄道の枕木もかつては木でできていました…何十トンもの列車が通過する時の重量や音は半端じゃありません…それを受け持ったのも木です…日本では強い栗の木が使われました…最近はどんどんコンクリート製に替えられていますがこれも鉄道輸送の量的変化や速度などの他にメンテナンスの問題があるとはいえ、木の特質が捨てられたということではありません…

 

 アメリカでも最近の金属製のやぐらで組んだジェットコースターよりは、旧式の木製の方が乗り心地がいいというのもこの微妙な揺れの違いかもしれません…

 

 また最近の園芸ブームではこの枕木も日本は無くなりオーストラリアから輸入しているそうです…

狭軌と広軌の違い、長さも犬釘の跡も違いますが、ユーカリ製だというのもうなづけます…

 

 

 

 もちろん木にも棲み分けがあります…大きく分ければ南方などの高温多湿な国の木には それこそ水に浮かない(比重の重い)鉄のような「アイアンウッド」と呼ばれ桟橋や船舶などに使われる木もあります…一方で年間を通じて低温で湿気の少ない北方では、寒さから身を守る表皮の厚い木が育ちます…根や幹にも違いがありますが…地球全体を木が覆った時代から、木はそれぞれの生命と文化を育んで来ました…

 

 TVのミス・マープルに出てくる住居の壁の柱は曲がりくねっています…ヨーロッパで広く見られるハーフティンバー様式です…この間をレンガや漆喰などが埋めます…レンガの積み方にもイギリス式やドイツ式があります…

屋根も日本ようなわら屋根や、スレート=石積みなどがあり、天井の低さにも驚きます…

その一方で灰色頭脳のエルキュール・ポワロの活躍の場はたいてい貴族の館です…ここで起きる事件のインテリアを見てください…建物はモダニズムな傾向が強くても、インテリアやボートまでもが木をふんだんに使われています…柱に手斧(ちょうな)の痕や節の多い壁の庶民性と、天井が高く痕のない壁や装飾的な意匠性が高い貴族性の違いは木の扱いにも出ています…こんなところに注目してみるのは僕だけか?…

 

 

 国土全体が木の資源に恵まれているとは言えないこの日本…しかし木への希求が強いのもこの国の特徴です…現在建てられている家のほとんどは「木」また木らしきものです…そのほとんどが輸入だということも事実です…あなたの木の家にはこの国には本来ないような木が作っているのです…

 

 日本は木の国だといっても、実情は木を管理する伝統や伐り出す経費の高さがネックになり、そのほとんどが利用されていません…家具も工芸品にばかり使われるだけでこの国では木は高価です…

 

 以前「日本のスギがなぜまっすぐなのか?」という中国人を杉林に案内して、間伐材や下草刈り、枝払いなどで大事に育てられていることを説明したことがあります…彼らの感心!はそのまま「木」を大切にする日本の文化を語ります…同時に今も大事に育てる山林に携わる人たちの苦労も語ります…

 

 住宅問題はあっても需要のない、これらの諸問題が解決されれば木をめぐる環境も好転するでしょう…新しい需要と開発を生み出すのも若い世代です…同時にこの需要を生み出すのもあなたの「家」です…

俗な言い方ですが、異業種も巻き込んだ二代目=次の世代に期待します…! それぞれの知識と理解こそ大事です…意味は違っても「木を見ても森を見ない」世代が生まれています…!

 

 良いリノベーターが育つこと、彼らを育てる世代の「家」が現れることを心から願います…!

 

 

 

 ここまで読んでくれて、ありがとうございます! 

 

 次はこのブログについての「私的」な話です…! 

 

 正しい知識さえあれば、設計士にも施工現場にもニラミを効かせられます…情報を共有してください…

もちろんあなたの「マイホーム計画」が成功することを願います…!