これから「家」を持ちたいと思う、または大人になりたい人に、読んで欲しいと思うブログです…
あなたの「マイホーム計画」のお役に立つために…今日のお話は…「家」の屋根形状のアレコレです…!
またしつこく屋根の話をします…
「マイホーム」が完成すれば見えにくくなり、構造上でもとても重要なところです…
こんなに重要なのに「家」が完成すると忘れられてしまう場所です…でも大事なんだから〜ね!
私たちが天井裏というのは正しくは「小屋裏(こやうら)」と呼ぶのは前回書きました…
ここの構造が屋根を支えます…同時に「軸組工法」が完成する大事なところです!
この小屋裏、一年間を通してとんでもなく過酷な状況になります…言い換えると、この過酷さからこの小屋裏と屋根がマイホーム=家族を守っているということになります…
大きな問題の一つが「温度」です…屋根は太陽に直面するので、受ける温度も半端じゃありません…
小屋裏には大量の空気があります…断熱効果の高い空気がここでは大きな熱の塊になります…空気には湿度もあります…これが作用して熱が伝導され小屋裏全体を大きな熱の塊(空気)にします…
外気温の上昇とともに小屋裏の温度もグングン上がります…夏は50〜70度以上!になり…夜には外気温近くまで下がります…とは言ってもいきなり下がるわけではなく、ゆっくりと冷めるから小屋裏の空気は暖かいままです…夜間だってそんなには下がりません…暑苦しい夜は外も同じだということです!
冬場も日中は太陽と共に気温が上がりますが、夜はガクンと下がって冷えた塊になります…あなたが感じる外気と同じです!
このように小屋裏の空気は温度の塊(かたまり)です…これが小屋裏に溜まれば、天井を通して室内の温度も影響を受けます…空気が温まれば壁や柱も家具まで温まって、当然ですが家族も暑くなります…
これも伝導熱のせいです!
この伝導熱が部屋に溢れてエアコンもフル稼働です…
冬に寒く感じるのもこの空気の塊のせいです…この塊、温度変化の仕方が尋常じゃありません!
当然ですが、結露の原因も増えます…
スキマ風でもあれば、冬は「開けとけ〜閉めとけ〜ぇ」の声が響きます…
このように小屋裏の空気の塊は、昼と夜、夏と冬などの気温の上がり下がりに敏感です…
外気の還流がない密室状態は「保温」にもなります…ここで起きる温度変化の過酷さにあなたもびっくりするはずです…Tシャツだけで この高低温を体験してみてください!しかも飲み水も無く24時間です…う〜ん!
当然ですがこの熱の塊の湿度は、周りの構造材、束柱や梁などの木部に吸収されます…
毎日一年中繰り返される熱の塊の膨張(熱い空気)と収縮(冷たい空気)が生み出す湿気は小屋裏の木=構造材が受けます…やがて木は乾燥し、縮んで寸法も形状も変わります…その結果これらの木の仕口はゆるゆるになり、現場が打ち込んだ金属製の鎹(かすがい)もサビて開ききって役に立ちません…
どうですか? この熱の塊化の原因は空気が密室だから起きます…
こんな状況ならあなたは窓を開けて風を得ようとするはずです…小屋裏も同じです…!
そこで空気穴を設けます…対流させることで小屋裏をなるべく外気温に近づけるわけです…
切妻壁に設けられたガラリや、棟の換気装置が大事だということがわかりますね…
空気は水と同じです…出口(胸換気、ガラリ)をつければ、入り口(冷たい空気のは入り口)もみつけます…これが軒先換気装置です…とは言っても、アルミ製のただの吸い込み口です…
もちろん熱の塊を小さくするには、屋根からの熱(伝導熱)を遮断して小屋裏を守る(伝導熱・輻射熱)のに使うの断熱材です…文字どおり熱を遮断する材です…
断熱材の厚さや素材は断熱性能や経済性にも影響してきます…しかも軽量でなければなりません…
厚さは基本的に50ミリと100ミリなどがありますが…素材は繊維系と発泡プラスチックがあります…
これを屋根で断熱するには屋根の真裏、つまり小屋裏側に貼り付けて、主に屋根の伝導熱と輻射熱を遮るように施工します…つまり小屋裏の空気を熱の塊にしないという方法です…
断熱材を間柱の間に貼り付けて小屋裏全体を覆うように施工しますが、定尺でないところは断熱材を切って使います…この時の切断面は露出します…湿気はここから侵入してカビになって繁殖、あっという間に広がります…つまり断熱効果はありません…面倒でもここも防湿シートで覆うべきです…
私が現役の頃この部分を中心に大きく黒カビが生え、その重さで垂れ下がっているのをたくさん見ました…繊維系のものでしたが、施工業者の現場の良心が求められます…こんなところ見張れないですよ!
対してこの断熱材を天井裏、つまり小屋裏側に敷き詰めて熱の塊が室内に伝わらないように(伝導熱)する方法があります…前者を「外断熱」後者を「内断熱」と言います…
最近はこの断熱性を利用して基礎と連動…冬には熱の塊をコンクリートに蓄熱して床下を温め、自然の熱を家中に循環させる方法もあります…これなら「開けとけ〜閉めとけ〜ぇ」も叫ばなくなりそうです…
これも高断熱、高気密な「家」だからできることと言えます…でも送風ファンやダクトが、うねうねと走り回っているから大変です…それに電気のランニングコストの計算もしなくちゃいけません…!
いずれにしろ小屋裏の空気は密室状態では常に熱の塊です…これを防ぐのが通気用のガラリや換気装置です…最近はこれを取り付ける方法が主流になっています…つまり小屋裏にも呼吸をさせるわけです…
とは言ってもこの小屋裏の換気量を大幅に大きくしては、夏は涼しいけれど冬は寒すぎるという問題も起きます…設計の腕の見せどころはこんなところに発揮されるべきです…
同時に「マイホーム計画」でチェックすべき大事なところなのです…
ちなみに小屋裏は…日本式を「和小屋」と呼び、2×4 などの洋風は「洋小屋」と呼びます…
ここまで読んでくれて、ありがとうございます!
次も「まぁ、や〜ね!」という「屋根」の話・3です…!
かなりクドイ話になりますが、お付き合いください…
正しい知識さえあれば、設計士にも施工現場にもニラミを効かせられます…
もちろん「正しいリノベーター」が育つことを願います!…彼らに頼る若い世代の「家」が増えることも…!です…