これから「家」を持ちたいと思う、または大人になりたい人に、読んで欲しいブログです…

 あなたの「マイホーム計画」のお役に立つために…今日のお話は…屋根のお話その2です…!

 

 

 ところで、思いだしてみてください…実物を見ただけでなく、写真で見た方もいるでしょう…

越中五箇山の「合掌作り」です…これが国内最大の「切妻屋根」です…手が合掌した形に似ていることからこの名があります…

家族が寝起きするのは一階で、その上の階は全部がカイコ棚です…この地方では尊敬を込めて「おカイコ」さまと呼んでいます…それだけ養蚕が盛んな土地でした…

またこの屋根なら「雪下ろし」もラクというわけです…!

 

 その大きな「切妻屋根」の各階には障子窓があります…夏にはこれを開け放ち外気と換気するわけです…つまり「切妻屋根」のいいところはこの部分に開口部を設けることで通風=換気のできることです…

 

 また「切妻屋根」の最上部には化粧を兼ねた細長い窓や円形のガラリが見えます…このガラリが通気口です…外気がここを通ることで小屋裏は換気され、より外気温度に近くなります…

 

 最近はこの利点を屋根裏に積極的に取り入れて、天井裏を換気します…それをさらに進めたのが屋根のてっぺん、つまり棟に取り付ける「棟換気装置」です…ここから暖気が放出されます…

 

屋根上にある出っ張りが「棟棟換気装置」で、妻側にあるのがガラリです…

 

 ここで思い出してほしいのは「暖かい空気は上に上がる」ということです

この理屈から考えれば、当然低い方から入った冷たい空気は温められて上昇、逃げ場がなくなります…

それをスムースに排出する装置が、屋根のてっぺんにある「棟換気装置」です… 冷たい空気は屋根の最下部にある軒先から入ります…これを補強するのが「軒先換気装置」というわけです…

 棟から暖かい空気が排出された分が、軒先から補充されます…自然が作る緩やかな換気です…!

 

入母屋では下端の軒先につけた「軒先き換気装置」から冷たい空気が入りますが…

やはり上部の妻壁のガラリも有効です…

 

入母屋は妻壁がないので、軒先=ひさしの下の換気から冷たい空気を入れ、暖まった空気を棟から放出します…

 

 「入母屋」や「片流れ」など「妻壁」を持ったところは、この特徴を使って通風=換気をします…

反対に「入母屋」や「方形」にはこうした妻壁がありませんから…通風=換気が難しくなります…

 

妻壁の無い入母屋や方形では棟と軒下に換気装置が必要になります…

 

 このことからも通風=換気が、家族だけではなく「家」にも大事だということがわかるでしょう…

屋根の下の屋根裏=小屋裏に熱を溜めない重要性は、伝来の「蔵・倉(くら)を考えるとわかります…

 

 換気には通風つまり「風」が大事です…

どうですか?「乾燥の条件」に不可欠な要素だということがわかりますね…洗濯物の外干しが大事にされるのもこれが理由です…

 

 こうしてみると人間の生活に四季折々の自然=気候と通風が深く関わっていることです…

 

 現代の家造りではこの屋根裏の通風を重要視します…

私たちが通常屋根裏と言っているのは、専門的には「小屋裏(こやうら)」と言います…

 

 小屋裏の温められた=熱い空気は切妻屋根のてっぺんに集まります…集まった空気は「棟換気装置」や「ガラリ」から排出されて、また新しい=より低い温度の外気が「軒先換気」から補充されます…

 

 換気装置では羽根状のルーバーが外部からの雨水の進入を防ぎ、空気だけを通します…自然に吹きわたる風の作用を利用して、内部のに暖かい空気を排出するというわけです…

一連の動きは自然に任されます…その動きを助ける補強装置だと考えてください…

もちろんこれを機械的に動かす強制的な装置もあります…でも自然のサイクルには人間も勝てそうにありません…どうやらこの自然換気の方法が良いようです…

 

 

「キューポラ」と「ティーピィー」…大きな換気装置です…

 

 よく大きな洋風の家の屋根のてっぺんにあり、その上で風見鶏なんかがくるくると回っているのが「キューポラ」です…これも自然型の大型な換気装置です…同時に「家」のデザインにもなっています…

「キューポラのある街」(吉永小百合さんと浜田光夫さん、個人的には東野英治郎さんが良かったなぁ!)という日本映画の名作がありました…舞台は埼玉県の川口、当時は鋳物工場が多く高温な炉の温度を排出するためにキューポラが林立していました…ちなみにこのてっぺんの風見鶏、英語でウエザーコックがこれです…

日本でも地方には囲炉裏の煙を抜くための「煙窓」を持ったところがあります…

 

 今はネイティブ・アメリカンと呼びますが、インディアンの移動型住居のテントが「ティーピィー」です…

彼らはこの中で煮炊きや暖房に焚き火を使います…その煙出しや換気に使うのが…てっぺんで収束された柱に巻きつけられたテント(バファローなどの皮をなめしたもの)の一部です…その一端は、その時の風の強弱や向きに合わせ、柱一本で簡単に開閉できます…

 ここにも「家」と換気の大事な関係性があります…

 

 このように屋根や小屋裏をできる限り自然な温度にすることが重要だということがわかると思います…

ナゼか? という詳細は後述します…

現代は昔とは格段に進歩した断熱材やコーキングがあり、工法も進んでいます…施工の現場は様々な要求にも応えます…

 

 それでも屋根の形状デザインが複雑化すれば、それだけ樋の水処理やメンテナンスに後々困ります…

なるべく単純な屋根デザインを選ぶことが「マイホーム計画」を経済的にするはずです…!

 

 

 

 ここまで読んでくれて、ありがとうございます! 

 

 次も「まぁ、や〜ね!」という「屋根」の話です…!

それだけ「屋根」は「家」に大事なところです…家が仕上がってからでは見えないところです…内部の構造も複雑です…

屋根の大事さをあなたに解ってもらえることを願います…

かなりクドイ話になりますが、お付き合いください…

 

 正しい知識さえあれば、設計士にも施工現場にもニラミを効かせられます…

もちろん「正しいリノベーター」が育つことを願います!…彼らに頼る若い世代の「家」が増えることも…!