これから「家」を持ちたいと思う、または大人になりたい人に、読んで欲しいと思うブログです…
あなたの「マイホーム計画」のお役に立つために…今日のお話は…近代建築の四大巨匠のひとり…
ミース・ファン・デル・ローエです…ドイツ人です…
彼は自身の建築で「ユニバーサル・スペース」というものを提示します…
「ユニバーサル Universal 」とは狭義に「普遍的」な事柄、と理解していいでしょう…
最近やたらと耳にする「ユニバーサル・デザイン」というのは「すべての人が使いやすい」デザインという事です…身の回りのモノだけではなく、建築的に工夫されたデザインもこう呼びます…
僕たち世代は、同名のハリウッドの映画会社で知っています…地球がぐるぐる回る例のやつです…そういえばこの言葉には「全宇宙的」という意味もあるそうですが、最近になって知ったことです…それで地球が出てたんですね…納得!
つまり本質的に「良い」デザインという事です…
ここで提唱された彼の「ユニバーサル・スペース」の考え方は…その後の建築の核になりました…
この論の意味は…おおざっぱですが…
「柱や梁の均質なラーメン構造こそが、その内部にあらゆる構造を受け入れる」という事です…
簡単に言えば、正しく作られたラーメン構造の柱や梁があれば、その建物の外力や応力はこの構造が受け持ち、その構造に囲まれた内部の空間は自由に使う事が出来る…という事になります…
ちなみに家の建築でも散見するラーメン構造とは、例えば梁と梁を結んで強度を上げる時、それを結ぶ鉄骨が四角形で連続して結ばれるのがラーメンで…反対にこれを三角形が結ぶのをトラスと呼びます…
露出した鉄の骨組自体が全体の強度を支える鉄橋などを目にするときには、この構造の違いにも注目してください…
話は戻ります…
外周が一面のガラスに覆われているビルがあります…え、強度のないガラスなのに?…
これはカーテンウォール工法と呼ばれます…ガラスは構造的な強度を支えないので、外周の窓だけではなく建物内部の壁やドアもガラスにできます…その結果ビルの内部は広々として、自由に使えます…
では構造的な強度は?…というと、建物には人間の背骨に相当する骨組み=柱があり、これも人間の骨格のように張り出した梁が走って、基本的な構造の強度を担当します…
たいていは中央の背骨部分にはエレベーターシャフトや配線、配管など通ります…
この構造のおかげでビルの周囲をカーテンウオール=ガラスで覆うことができます…
実際この工法で建てられたビルを僕たちはたくさん目にすることができるはずです…
この提唱者がミース・ファン・デル・ローエです…彼のこの提唱が後の建築を大きく変えます…
鉄やアルミ、コンクリートにガラスの自由な造形性が産んだ近代建築だからの発想といえます…
彼の建築を体現したような「家」がシカゴの郊外にあります…
「ファンズワース邸」(1951年)です…周囲は森の中にあり、緑の濃さがこの建物のプライバシーを守っているようですが…全体はガラスの箱とも言えるもので、全ては丸見えです…まるで大地が突き上げたように建っています…日本の高倉式のような高床住宅を想像してください…もともとはシカゴの裕福な女医のエディス・ファンズワースが週末の別邸として彼に設計を依頼したものです…
建物は平屋で8本の鉄柱が地上から1.6mの高さに吊っています…この数字は近くの湖の洪水どきの高さから割り出されているようです…当然ですが建物はガラス張り、壁は内部にもありません…その代わりに最低の備品、寝室とバスルームだけがこの建物の仕切りです…ミースはこれを建築の「核=センターコア」と呼び「ユニバーサル・スペース」の重要な要素です…
けれどもこの「家」ではファンズワース女史も、当然ながら女性であるがゆえに落ち着きません…
一方でミースも頑なに自分の論にこだわって建物内部の変更を許しません…こうしてこの建物をめぐって両者の間には訴訟問題が起きます…結果はミースの勝訴になるのですが、今となってはそのたたずまいの美しさと、彼の「家=建築」の一つの原点ということで、今も世界中の見学者を魅了する「家」の名作です…実際この「家」に触発されてそっくりな家を建てた人がアメリカにいます…! オドロきです!
当然ですがこれらにはより正しい現場作業=施工が求められます…
「神は細部に宿る」God is in the Detail と彼は言います…キリスト教徒ならではの引喩ですが、日本の職人技にも共通しませんか?…図面通りにきちんと仕事をして…造った後の家族と共有する時間軸の概念…こんな現場ならレオパレスの問題もなかったはずです…こんなことを考える現場は近頃はなさそうです…!
彼は若い頃に椅子の名作「バルセロナ」をデザインしています…こちらもレプリカがあります…
彼を有名にした万博のバルセロナ館のものです…どうやら建築家にとって椅子のデザインも「解」のない永遠の問題なのかもしれません…フレディ・マーキュリーとアン・ヘレスのデユットも「バルセロナ」…ついでに僕が初めて買った「カルメン」のアルバムは彼女のものでした…余談です!
また彼はこうも言いいます…
「より少ないことは、より豊かなこと」Less is More …ファンズワース邸に見せたこだわりは、僕たちにモノとの付き合い方を示してもいるようです…
モノがあふれ、ものをより手軽に生活の中に取り込める時代は、一方でものを捨てることや溜め込むことも当たり前にします…近頃はやりの「断・捨・離」や「ミニマリスト」になるか「モノに囲まれて暮らす」か?…どちらにも利点があります…
大事なのはあなたが選ぶ暮らし方です…百人いれば百様の「暮らし」があるように、「家」もまた百態あります…大事なことは「家=家族」のこれからを見据えた「マイホーム計画」を立てるということです…
この言葉に反対するかのように、近代の建築家ロバート・ベンチュリーこう言います…
「なにもないのは、退屈だ」Less in Bore と…!
ここまで読んでくれてありがとう!あなたのダンボの耳に届いたでしょうか…?
次回の最後はバウハウスの「グロピウス」です…こちらも「家」に影響を与えた人です!
彼らを知ることは「家」と「暮らし」方を知ることにもなります…もう少しお付き合いください!