これから「家」を持ちたいと思う、または大人になりたい人に、読んで欲しいと思うブログです…

 あなたの「マイホーム計画」のお役に立つために…今日のお話は…

 

 今回はル・コルビジェです…近代建築=モダニズムを大きく進めた建築家です…

彼の作品は世界中にあり「世界遺産」にも登録されました…当然ですが日本でも彼の手掛けた作品は多く、彼の影響を受けた建築家や建築も多数あります…

 

 それだけコルビジェは世界の建築に多くの影響を与えました…彼はただの建築だけではなく都市計画や家具、特に椅子や絵画など、その活躍は多岐にわたります…

現代の建築を理論やデザインでリードした彼は「モダニズム」を提唱します…

彼が唱えた「ブルータリズム=野生論」はその後の「家」(住宅)にも大きな影響を与えました…

 

 ここでは建築の五つの原則を発表しています…

 

 その一つは「ピロティ」(元はフランス語)があるということです…マンションや大型の集合住宅を想像してください…つまり二階以上に住居を作り一階部分は開けたままにしておくという考えです…この一階部分が「ピロティ」です…

 

 その二は「屋上に庭園を作る」ということです…これだと建物の周囲に自由な空間を確保することができます…一回の庭園はがないから建物の外観はそのまま風景化し、環境との親和性もできます…

 

 その三は「建物の内部は自由な平面」を取り合えるということです…家具やパーテイションで仕切ることで新たな空間を生み出すことができます…つまり従来固定されていた壁に移動性を持たせます…

 

 その四は「建物には水平な窓」を持たせるということですが、この窓は基本的に連続することで建物の水平性を強調し、外部との親和性も確保されます…

 

 そして最後の五つ目は「自由な立面」を作るということです…移動性の家具やパーティションで空間を仕切れば、最も暮らしやすい空間を作れるということです…

 

 こうした原則を駆使することで、より自由な空間=部屋割りを建物内部に作ることができます…

 

 どうですか?…もう一度思い浮かべてみてください…

柱だけのピロティは駐車場に利用され、屋上には庭園だけではなくソーラーパネルや菜園に利用され、現代のエコ化時代の大事な要素になっています…さらに2×4やマンションでは広々とした空間を自由に仕切って、とはいえ一般の「家」では建築基準法で耐力壁の設置などでそんな自由は贅沢になっていますが…

窓も今では2連3連といった連装窓が水平感を強調します…

 

 あなたの街中にも少数ですが、こんなコルビジェ風の「家」はあるはずです…それだけ彼の住宅の5原則は広まったということです…何よりもこの日本にも原則を率先して取り入れた気鋭の建築主がいて、その再現に取り組んだ職人たちがいたということです…施工現場の熱気が想像できます…!

 

 

 彼の代表作の「サボア邸」はこの5原則を体現したはじめての「家」として有名です…

写真で今見ても美しい「サボア邸」には近代建築にコルビジェが開けた風穴の一つを確かに感じます…

あなたは建物の内外でそのたたずまいの美しさを見ることができるはずです…写真でもわかります!

 

 また代表作の一つ「ロンシャン礼拝堂」の建築的な造形は特異です…コンクリートがなくてはできない造形です…でも内部のあちこちに開いた、というよりも穿ったような小窓のステンドの光で「自然」を感じることもできます…自身敬虔なクリスチャンだった彼が作る神に祈る場所もここではこんな形です…フランス人の造形は独特です…クルマで言えばドライエやブガッティ、シトロエンなどは十分にフランス的で独創的です

彼の都市計画や建築にはこの文化的とも言える発想の自由があります…生涯をフランスで活躍しましたが彼はスイス人です…!…絵画好きな彼が地上に描いた絵かもしれません…!

 

 日本でも上野の「国立西洋美術館」は彼の作品です…彼の「家」体験をできる場所です…厳密には「家=住宅」ではないですが…彼の作った家具のレプリカであなたもコルビジェ体験をしているはずです…

寝椅子の「シェーズロング」やナンバーリングされた黒皮張りのソファなどはいまでも映画やTVで近未来的な形として堂々と登場します…前回のF・R・ライトと同じで彼もまた、特に椅子のデザインに凝りました…作品の存在感は建築と同じだったのかもしれません…

 

 僕の記憶に残るのはもう何十年も前の月刊「SKI」誌に載っていた、小さな白黒写真の山荘とその図面です…山中に彼が建てた雪に覆われた山小屋です…二階建てで山の傾斜地にそれはあります…多用された丸太や石が温もりを感じさせます…その外観からも生活の楽しさが感じられる印象的な写真でした…!

 

 コルビジェはこうも言いいます…

 「住宅とは、住むための機械だ」と…彼が両親のためにスイスのレマン湖畔に建てた家は10×3メートル…わかりやすく言えば約5間半の長さに1間半の奥行きです…連続した窓は水平を強調し、湖の景色や光を取り込んだり、閉ざすことが自由にできます…小さな庭には大きな木が一本枝を広げます…その下のティータイムを楽しむテーブルの横には建物に呼応するように大きなコンクリートの壁があり、そこの窓穴が湖の風景を額縁のように切り取ります…レマン湖はそれこそ借景のようです…

水平を強調する横長の建物がこの壁でその物語を完結しているのがよくわかります…!

 

 

 そして最愛の夫人のために建てた地中海に面したカップ・マルタン村の家は3,66×2,66メートル=約2間×1,5間(六畳間)の広さで…質素で素朴な小屋のような家です…屋根は片流れで、建物の外には丸太を割いて張り付けられているので、一見丸太小屋のようですが、反して内部はベニヤが覆います…そこに小さなベッドやステンレス製の洗面器、テーブルなどが取り付けられています…日本の茶室のような狭さです…

 コルビジェ自身はこの小屋をたいそう気に入っていたそうですが、贈られた夫人はどうやらこの狭さがお気に召さなかったと言います…

 

 確かに妻には調理やその他の家事には不向きな広さかもしれません…でもこの小屋での食事や睡眠は別で、隣接する友人の建物と密接に関連した小屋だったようです…いわば機能が連結したその一部がこの小屋というわけです…でも都市計画や大きなビルを相手にしてきたコルビジェが唯一少年に戻れるのがこの小屋だったとすれば?…男の中にはいつだって小屋が住んでいるのかもしれません…!

 

 1965年8月に彼はこの小屋の前で水泳中になくなり、今は最愛の夫人と小屋のそばに眠ります…

この小屋の大きさが彼の提唱した「家」の最小限モジュールでした…

 

 生前彼はこれらの「家」の修理を自分でやったそうです…その作業中に実際に触れて確かめたのが彼が提唱する「家」の本質だったのかもしれません…!

 

 日本でも古来から「人間立って半畳、寝て一畳、天下とっても二合半」と言います…人間そんなに欲をかくものではない、という意味ですが…最近流行りの狭小住宅にも彼の建築モジュールは生かされているのかもしれません…それでもしばしばこのご夫婦のような問題が起きるのは人間の感情が不確実で、数学的なモジュールがないということなのでしょう…男と女の情感の違いかもしれませんね…?

 

 先述しましたがコンクリートは造形的にも構造的にも建築の可能性を大きく広げます…

コルビジェの心=建築への情熱は彼の死後も生き続けます…そして自然も生き続けます…!

 

 「家」を作るということは、その中に住むあなたや家族の問題と向き合うことに他なりません…

彼が提唱した「建築の5原則」を改めて考えてください…その上で「住むための機械」になるように努力してください…あなたの「マイホーム計画」に加えてほしいことです…!

 

 ここまで読んでくれてありがとう!あなたのダンボの耳に届いたでしょうか…?

 次は、ミースです…流行りの「断捨離」に関係ががあるかもしれない…こちらも「家」に影響を与えた人です!

 

 彼らを知ることは「家」と「暮らし」方を知ることにもなります…もう少しお付き合いください!